河野裕のレビュー一覧
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ネタバレ果てしなく綺麗な、少年と少女の「祈り」の物語でした。
早く続きが読みたいけれど、読み終わりたくない。
そんな矛盾した気持ちを抱きながら、読み進めていました。
最終巻は一番分厚いですが、一番早く読み終わってしまったように思います。
咲良田の能力についての問題の結論と、ケイと春埼と相麻の関係への終止符がいかに打たれるかが気になって仕方がありませんでした。
ケイと浦地。二人は似ているけれど相容れない。
二人の思いの果てにあるのは常に優しさで、どちらが正しいとは決められない。そんな平行線からどう脱出するのか。
二人の心理戦にはページをめくる手が止まりませんでした。
そして、ついにケイと春埼と相麻の関係に終止符が打たれます。
どう足掻いてもケイの一番は春埼であるという事実は揺らがない。
それでも彼のために自らを傷つけてきた相麻菫の行く先は、幸せとは言いがたいけれど、きっと明るい未来があると祈っています。
長々としてしまいましたが、結論としては、この作品、作者に出会えて良かったという事です。
次回作も期待してます。 -
Posted by ブクログ
激動の巻でした。
序盤は、温かで幸せな日常風景。そこから段々と、咲良田全体を巻き込んだ問題が発生していき、いよいよクライマックス。
最終巻一歩手前なだけあって、ケイも春埼も1巻から随分と変わりましたね。
二人の関係の変化は、見守ってきた側からすれば嬉しいし微笑ましい。
でも、菫ちゃんの事を考えると、本当に切ない。終盤の、彼女が胸の内を晒すシーンでは、ケイでなくても胸が痛くなりました。
一方で、能力はあった方がいいのか、無い方がいいのかという問題にも直面します。
二人の思惑の果てには一体何が待っているのか。
多くの人が笑えるようなハッピーエンドを願うばかりです。 -
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ミニスカートと白いTシャツの死神の話、ということだけど……死神の女の子はあくまでおまけというか。物語のアクセントとして置かれているだけで、重要なのはそこじゃないです。4つの短編がそれぞれ少しずつ繋がって、なんかこう最後は良い感じにまとめる話。
こういう「綺麗な死」を扱った作品は少なからずあって、例えば電撃の『しにがみのバラッド。』とか、例えばSDの『テルミー』とか、例えばファンタジアの『神様のいない日曜日』とか。この作品は、それらと比べても頭一つ抜けていたと言って良いんじゃないかな。
死神だとか、魂の循環だとか、そういうのがなかったとしても。
生きている人、これから生まれてくる命が、死んでいった人たちの影響を受けて命を繋いでいくという事実だけは変わらない。
……という、まあ当たり前と言えば当たり前なんですが、それを非常に綺麗にまとめた作品だったなと思います。 -
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死んだ人間の魂を集める死神の少女が出会った、4人の人間の物語。
素直になれない少年。
自分を殺す作品を出版し、その後本を書かなくなった作家。
突然の事故で命を落とす予定となった青年。
誇り高きクラウン、若しくは、誇り高きピエロ。
彼らは死神に出会い、自身の死を知らされます。
終わりが見えたからこそ見えてくるものもある。
ただ一言いうのなら、彼らの死に様、そして生き様は、見事なものでした。
そして、また、新しい物語が始まります。
ベイビー、グッドモーニング。
作者はサクラダ・リセットの河野裕。
淡々としていながらどこか透明感のある文章は健在です。
ぜひ多くの人に読んで欲しい作品ですね。 -
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死神の少女とそれに出会った人々の様子を描いた連作短編が四編収録されています。
死神と出会った人たちというのはすでに近いうちに死を迎えることが決まっていてそのため読後感は少し寂しいものになるのかなあ、などと思いながら読んでいったものの決して虚無的に終わるだけではなく、どの短編も心に温かいものを残していってくれます。
どの話のメッセージもとてもまっすぐに感じられました。生と死というテーマながらも変に凝った方向にいかず一番綺麗なところでどの話も幕が閉められているなあ、と感じました。
一番印象的だったのが『八月の雨が降らない場所』この話の主人公となるハラダの「ねずみ講」の考えがとても好きです。そしてラスト数行も綺麗に話を締めてくれました。
ライトノベルといえば壮大なファンタジーやSF、またはコメディ要素の強い作品というイメージだったので、この作品の静かで少しシリアスな雰囲気は意外であるとともにとても好ましく感じました。
ライトノベルという概念に囚われずいろんな人に読んでほしい一冊です。 -
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「四」 この数字は「死」を連想させる。そう、死神を。しかし、読みすすめるうちにもう一つ連想させられる。心臓は四つの部位でできている、即ち「生」を。そして生まれた物語に、命に、語りかける。「ベイビー、グッドモーニング。」
「生と死」ではなく「死と生」を描いてるのだ、この作品は。しかしその「生」はなかなかやってこない。各編で魂を集め新しい魂を創ると死神は語るのに、私たちは気付かない。隠しているからだ。強い「死」のイメージによって。だからこそ最後にやってくる「生」に、より強く心を、魂を揺さぶられる。そして「生」で終わることは、私たちに未来をもたらしてくれる。それが、河野裕の作品の透明感なのだと思う。
素晴らしい作品だった。サクラダリセットとあわせて、気持ちいい時間を過ごせた。これからweb小説の方も読もうと思う。また、次回作にも期待している。 -
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ネタバレサクラダリセット最終巻。
この本はライトノベルに、はまったキッカケでもあるので最終巻は読んでいて感慨深いものを感じた。
この本を読んで感じたことは、当たり前のことなんだけど物語がページをめくるたびに終わりに近づいていくなと言う事だった。何を当たり前のことをと思う方もいるかもしれないけど、本当に一つ一つの要素を順番に拾っていき読んでいる途中に「これはここに来るわけだ」とか納得しながら読んだ。なんだかパズルのような作品だったなと思う。
後書きにも書かれていたけど、この作品は現在のライトノベルの主流の要素をあまり取り入れていない。でもそれがこの作品のいいところを作っていると思う。少なくとも私は、今まで読んできたライトノベルの中でこの作品が一番好きだ。
この作品らしい終わり方だったと思う。挿絵の入れ方も今までに無い感じでとても良かった。
最後までこの作品を読めたことをうれしく思う -
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ネタバレ咲良田市は市内限定で能力を発揮できる人のいる街です。
能力と言ってもアニメにあるような具体性のあるものは少なく、
1人が1つの能力に限られています。
そうした能力に目覚めた人達が社会的に問題を起させないよう管理する局があり、
その創設者の1人である魔女と呼ばれた女性の未来視により
問題が起こるのを未然に防いでいました。
主人公の高校生ケイは外から移ってきた絶対記憶能力を持ちます。
彼のパートナーである美空と言う少女は特定時間をセーブし、
3日以内であればリセットして過去に遡らせる能力を持っています。
リセットすると皆リセットされた分の時間の記憶は失ってしまいます。
だからケイの能力がリセットによる問題解決で効果を発揮します。
そうした街にあって、管理局を創り、能力のある世界を維持する為に人身御供となった父親を見
能力を不公平なものとして捉える管理局員の浦地という男が世界からの記憶消滅を目論みます。
前巻までで中学時代に自殺した同級生の少女を生き返らせる事を目指して行動し、
様々な能力を併せていく事で遂に生き返らせた少女も、
人と会話を交わす事で未来を見られる能力の持ち主。
実は再生に至り、浦地の目論みまでを少女・菫は想定しての自殺だった訳ですが、
この巻で「サクラダリセット」と言うタイトルの意味が具体化されるのですね。
てっきりリセット能力を持つ美空と、それを利用しながらも関係を深めていく
ケイとの物語だと考えてきていただけに、ここでの展開の変化には正直言って脱帽しました。
最初から普通の能力者の話とは雰囲気が異なるなとは感じておりました。
基本淡々と物語が進み、能力の利用場面では特別華やかさのある演出をする訳でもなく、
でありながらどことなく余韻を感じさせる物語と文筆には見るべきものがありますね。
次巻でラストを迎えますが、とても味わい深い良い作品です。
イラストを手掛ける椎名優氏もまた作品に彩りを添えていますね。
「れじみる」「アカイロロマンス」「モーフィアスの教室」「偽りのドラグーン」等の
イラストを手掛けておりますが、恐らくこの作品ほど氏の絵柄が
シンクロした作品はないとすら感じます。