河野裕のレビュー一覧
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ネタバレ登場人物の“能力”や、時間の巻き戻しがあるため、読み始めはかなり混乱した。けれども、読み進めるうちに面白くなってきた。
リセットに影響を受けない人物が存在することで、リセット後(やり直し)の世界が微妙に変化していくのが、面白い。
浅井ケイ、春埼美空などの会話が哲学的?で不思議な空気感。
浅井ケイの一度見聞きした事を忘れない能力は、便利な反面、可哀想。人間は辛いことがあっても、徐々に忘れることで生きていける事もあるのに、忘れることができないという能力は残酷だ。
本作だけで物語は一応の完結をみるが、引き続き、2巻以降も読んでみたい。 -
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世界的に有名なIT系大企業ハルウィンが出した、たった一名分の求人告知の内容は、「年収8000万円で65歳までの雇用を約束。ただし応募条件は超能力者であること」。
数多の応募者から審査を経て残った7名の「超能力者」たちが、社員の椅子をかけてコン・ゲーム形式の最終試験に臨みます。
超能力者同士の争いと言えば、横山光輝の「バビル2世」と言ってしまうと年齢がバレますが…
比較的最近なら飯田譲治さんの「NIGHT HEAD」や本多孝好さんの「ストレイヤーズ・クロニクル」、漫画なら「文豪ストレイドッグス」などが思い浮かびます。
ただ、本作の超能力者たちの能力はそれらの作品でメインとなっているような格闘や争いごと向けのド派手なものではありません。そう、時に地味ですらありますが、まさに騙し合いにうってつけの能力揃いなんです。
最終試験の時間は6時間。その間に7人たちは誰かと手を組み、また離れ、別の誰かと手を組むなど登場人物同士、何度も騙し騙されつつ、社員の切符を巡って手に汗握る頭脳戦を繰り広げます。
(社員という立場でなく金目当ての候補者たちもいるので、社員になった時の年収の分け前を約束すれば彼らを味方につけることも可能というわけ)
彼らの能力はどんなものなのか、それを使ってどんな風にゲームを進めるのかは述べませんが、タイトルの意味と合わせて、ぜひ本書を手にして読んで確かめてほしいと思います。
予想もつかない展開に目まぐるしく、でも心地よく引きずり回されて、たどり着くラストでは「あー、面白かった」と言いつつ、また最初から読み直したくなる。そんな体験ができること保証します!
※これは嘘ではありません(笑) -
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シリーズ最終巻。能力者をめぐる咲良田市の話もこれにておしまい。
咲良田市から能力が消え去った。過去四十年の能力に関する記憶は全ての人からリセットされ、偽者の記憶に書き換えられた。
浅井ケイ一人を除いて。
能力がなくなった街から、一人電車で咲良田を後にする。 向かった先では、かつて自分が捨てた家族がいた。
家族だったという記憶もない母親だった人にケイは謝り、
咲良田に戻る。
戻った先には一日前とは違う世界があった。
相麻菫は二年前に死ぬことなく普通の高校生だし、
皆実未来の性格は少し捻じれているようだ。
しかし、そこに春埼美空の姿はなかった。
何が正しくて、何が正しくないのか。
そんなこと決められるはずがない。
これは自分のわがままだ。
佐々野が撮影した写真を手にして、ケイは美空に会いに行く。
大団円のラスト。
今まで出てきたほとんどの能力を総動員して浅井ケイが浦地のシナリオを書き換える(使われないのは非通知くんと皆実の幽霊化能力だけ?)。
一巻では幽霊騒ぎを猫で捜査するという小さいストーリーだったけど、最後には街全体の記憶を書き換えるという大きな話に膨らんだ。
死んだはずの娘を再生した母親の話、
夢の世界のチルチルとミチルの話、
友達つくりに励む美空の話を含む短編の四巻、
話の本筋には関係ない話がキャラクターの性格を印象付けるのに必要だった。
最初から最後まで「正しさ」とは何かを考え続ける。
サクラダリセットは文句なしに面白いシリーズだった。 -
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終盤に向けて物語が一層加速する。
始まりの三人、未来視の魔女と能力範囲制限の夫婦が作った咲良田市の能力者たちをあるべき姿に戻す。その信念で管理局の一部署、対策室室長の浦地が暗躍し、相麻菫が力を貸す。
文化祭での出し物の劇、演じるケイと美空の距離が縮まる一方で、美空を危険から遠ざけたいとの思いから彼女を一人にしたのが失策だった。
街の数か所で突然起きた能力の暴発事故、そして咲良田市を包み込む雨雲を一瞬で晴らして青空になったとき、能力者たちの街の終焉サクラダリセットが始まる。
能力を残せば、犠牲になる人がいて、救われる人がいる。
能力をなくせば、犠牲になる人がいて、救われる人がいる。
全てが終わったこの街で、ケイ一人が別の選択肢を探して走り出す。 -
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このシリーズ、巻数増すごとに面白くなっている。キャラクターが増えて、話が膨らんできている。
今巻では二年前、浅井ケイが中学二年生のとき、春埼美空に出会ったときと、その出会いに相麻菫がいたことが語られる。
小学六年生の浅井ケイは電車で咲良田を訪れた。
魔女から「咲良田はあなたを放さない」との警告があったにも関わらず。
自らの記憶能力に目覚めたケイは、咲良田の外に出ても能力のことを記憶してしまう。
そのことに不都合を感じた管理局はケイを咲良田に留め置く決定を下し、ケイもその決定に従うつもりだった。
気がついたら、時が戻っていた。世界のリセットを初めてケイが認識したのはこのときだった。
そして小学六年生のケイは、自ら両親と縁を切る選択をする。
二年後、中学二年生のケイは下駄箱に古風なハートマークのシールが貼られた手紙を読み、放課後の屋上へ向かう。
そこにいたのが春埼美空、世界リセットの能力を持つ彼女を引き合わせたのは、予知能力の相麻菫だった。
春埼がリセットをするときのルール、誰かの涙を見たとき。
公園で涙を流す女の子を見たとき、美空が使ったリセットでケイが動く。
本当はいるべきではない。
でも、母親と一緒にいたい。
少女の願いをかなえるためか、美空に感情を吹き込むためか。
リセット能力と記憶能力を駆使する。
そして、その先に今後ずっと後悔することがあることを、まだ知らない。
一巻二巻で何度も語られる、野良猫のように笑う少女。二年前に何があったのか、三人が管理局に逆らった事件が描かれる。 -
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ネタバレ入れ子式のストーリーを計算しつくしてるなぁと思った。映画のインセプションみたいだ。
まず事件が起きて、物語は三日前から始まる。これは春埼の能力リセットによるもの。時間は三日前にさかのぼる。
失敗を繰り返しながらも、どうにか解決できる方法を探して再び戻る。
さらに今回は新たに、写真の中の世界に入り込む能力で時間は30年前にまでさかのぼる。
サクラダリセットシリーズ2巻目、だんだん面白くなってきた。
ケイはとある初老の男性、佐々野に頼まれる。
マクガフィンが欲しいといわれ、またマクガフィンが、と思う。あれは、ただの石だ。
破れたジーンズをはき、十字架のチョーカーをつけた、赤い目をした女の子に能力を奪われ、マクガフィンでどうにかならないかという。
ポラロイドカメラで写真を撮る、そして写真を破るときの二回に能力を使うと、写真の世界に十分だけ入れる。思い出に浸るための能力だという。
管理局に呼び出されて、すべての未来を見通す能力を持つ女性に会った帰り、ケイは突然に赤い目の女の子に話しかけられる。
「やっほぅ、先輩」
彼女、岡絵里は、ケイが中学生のときの後輩だった。彼女は明らかにケイに敵対している。彼女は他人の能力を封じることができる。
そのタイミングで、春埼がビルから出てきてしまった。岡が振り向くと同時に、ケイはリセットを宣言した。
自己同一性の思考実験、スワンプマン。もし、沼の横を歩いていた男が雷に打たれて死に、雷の作用でまったく偶然に沼から同じ思考、記憶、容貌を持った男が生まれたとしよう。
今までと同じ生活を暮らし、他人もその男に気が付かない。しかし、男は確かに雷に打たれて死んだ。
沼から生まれた男は、雷に打たれた男と同一だと言えるだろうか?
写真の中に移っていた、二年前にケイが死なせてしまった少女。
ケイは、自分が求めていた能力を手にする。
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シリーズ完結。数々の伏線がきれいに消化かされてすごかったです。ケイが、時間の巻き戻った春埼に記憶を思い出させるために起こした行動で、泣いてしまいました。名前の由来とか、わざわざ相麻と話をしたりとか。初めてケイが泣くのは春埼のためなんですね…。みんなの能力がうまいこと組わせて使われてて気持ちよかったです。問題が必ずしもきれいに解決したわけではないけれど、そこがまたいいのだと思います。みんなでこれから、咲良田をよりよくしていくのでしょう。
相麻とケイ、春埼の関係も、なんとかなってよかった。
小説の最後の文章、わけもわからず涙が出ました。スケールの大きな話でしたが、結局は、二人の女の子と一人の男の子の物語だったんだなと思いました。
春埼がリセットした間の耳目ことを思い出して、ケイに語るシーンは、すごく、よかったです…回りくどくて不器用で素直じゃなくてややこしい二人がしあわせになってよかった。春埼とケイの成長があたたかったです。これから相麻がしあわせになれますように。 -
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物語がクライマックスに向けて動いています。激動です。前回からの続きで、ケイと春埼の関係がどうなるのか不安だったのですが、思った以上にしあわせな関係になっていてすっごくしあわせな気持ちになりました。しかし、そのしあわせな展開からの、相麻との会話や、浦地の計画、春埼の時間が巻き戻ったりと…怒涛でした。絶望的な気持ちになりました。このあと1冊しかないのに、みんながしあわせになるのか、計画は阻止できるのか。記憶は無事に戻るのか、心配です。ケイがどこまで信念を元に行動できるのか。彼の素敵な能力と言葉と対話で世界が、桜田が救われることを望みます。そして相麻と浦地も救われますように。
河野先生は、やはり言葉がきれいです。切なくてでも暖かくて、気持ちがいい。哲学的なお話も新しい視界が開ける気がします。独特な考え方や独自の世界観が大好きです。 -
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わかりにくい暗喩や言葉遣いや言い回しがたくさんあって、わかりにくいのに言葉がきれいで話にぐいぐい引き込まれました。小説の話は、難しいですね。天才の定義とか哲学的な話が相変わらず多くて息を飲みます。こういう捉え方があるかー、と、新しい視界が開けます。
今回は時間が行ったり来たりして時系列がわかりにくかったです。そして幽霊たちそれぞれの思惑も複雑でわからないことだらけで謎がたくさんですね。時間が完結?っぽいので、早く読みたいです。最後のオチが!そうだよね、そうなるよね、と納得しつつも、このあとどうなるのか不安で仕方ないです。相変わらず河野先生のお話しはすてきでした。 -
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三巻にしてようやくケイ、ハルキ、相麻の出会った二年前の話。ここでようやく張り巡らされていた伏線がすこし回収されてすっきりしました。ハルキとケイがどうしていまの信頼関係を築けたのかわかってよかったです。あと、やっと智樹の出番がきてうれしかった。ハルキが、そしてケイもとてもうつくしくて尊い人で、だれよりも善人である二人が、とても愛しい生き物に思えました。感動的な場面でもないのに、二人のあまりの澄み切ったうつくしさにある場面で泣きそうになりました。ハルキの涙はうつくしい。
そして、相麻が無事生き返ったことによる今後の展開が気になります。相麻の目的や意図が不明なのが、いいですね。どんどんおもしろくなっていて、物語に引き込まれます。作者の不思議な言い回しや比喩表現、哲学的な話が大好きです。自分にはない思考で、いつも考えさせられます。