河野裕のレビュー一覧

  • 愛されてんだと自覚しな
    千年の時を転生を繰り返した純愛のドタバタ喜劇。祥子と杏の二人の友情と隠された真実。綿々と綴られた「徒名草文通録」を巡っての泥棒たちと神の攻防。最後に嬉しい驚きとひとまず収まるべく収まった安心感。楽しい本です。
  • 愛されてんだと自覚しな
    輪廻転生を1000年も繰り返し、愛する人とそれぞれの時代で姿形を変えて出会う。そこに神様まで登場。
    なんだかとても壮大なストーリーなのだけど、ポップな筆致で楽しく読めた。
    現代での二人は…なるほどね。
    「愛されてんだと自覚しな」だなんて、言われてみたい!
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)
    シリーズの一作目とは思えないほど爽やかな読後感のある物語だった。主人公が知り得ていた情報を意図的に隠していることが多く、ミステリーとしてはイマイチに感じたが、階段島の秘密が明かされていく終盤は青春ものや新海誠のセカイ系のような切なさがあった。ここから完結までどう話が展開されていくのか気になる。
  • つれづれ、北野坂探偵舎 著者には書けない物語
    感想を書くのを忘れていました。少し読み返して、今更ながら感想文を書いています。

    順番がわからない脚本。どれが正しい順番なのだろう、という純粋な推理要素も含みつつ、結果は想像を越えてくるお話です。
    自殺した天才脚本家の宵野ランについて探る中で、
    レイニーの人柄(幽霊柄)がよく伝わり、一気に親しみやす...続きを読む
  • さよならの言い方なんて知らない。2(新潮文庫nex)
    続きが気になる!!
    戦いの話なので人が死ぬのがつらいです。
    皆が元々いた世界についての話が少し掘り下げられていて、なるほどなぁと思いました。
    シリーズ1作目で理解したつもりでしたが、やはり設定が難しい。物は基本的にループで元の位置に戻るが、能力が関係した物は戻らない、ってことですよね。
    リリィの二つ...続きを読む
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)
    魔女が管理する島。そこには何者かに捨てられた人が集まる。島を抜け出すには失ったものを見つけること。
    自分は何故ここにいるのか。真相が青春(思春期)の問題と直面する、まごうことなき青春ミステリ。ヒロインの真っ直ぐさに慣れるのが大変ですが面白い。
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)
    記憶をなくし目が覚めた時には地図上にもない知らない島だった。
    なくしたものを探さなければ、元には戻れない。と堀というしゃべることが苦手な女の子に聞かされる。何かしら皆欠落があり、それを受け入れながら日常を過ごしていくが、ある日その場にそぐわない真辺由宇という理想主義の女の子に再度島で会う。

    七草と...続きを読む
  • その白さえ嘘だとしても(新潮文庫nex)
    階段島シリーズ第2弾
    前作より登場人物毎の視点が多く、読んでいて楽しかった。
    作中にあった堀さんの、発言をそのまま受け取ってくれる人は少なく、個々の解釈が伴いがちだという文に非常に共感した。
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)
    七草がもつ世界観をもっと深く追体験できると思ったけどそこまでではなかった。
    途中までは結構面白かったけど、先が読めてからは残念だった。もっと壮大な何かがあると思ってしまって期待しすぎた感はある。
  • 夜空の呪いに色はない(新潮文庫nex)
    なるほど、この階段島シリーズは、成長の物語だったのね。「大人の階段の~ぼる~♪」ってやつですね。本書は階段島と現実が入り乱れる第五弾。

    うぅ、「やっぱり私が、国語の成績悪かったのわかるわ」ってくらい、なんか押し問答のように長々と続く、登場人物の会話についていけない。
    ―「やっぱりあなたはAね」
    ...続きを読む
  • 猫と幽霊と日曜日の革命 サクラダリセット1
    特殊設定ものはミステリ業界において今となってはなくてはならない枠組みになった。
    ラノベ風の作品も、特殊設定を盛り込んで(ファンタジー系を多いからなのかもしれないが)その限定された条件下で事態を終息させていく。
    本作では時間を遡る能力や記憶を保持し続けることのできる能力など、様島な特殊能力を持った土地...続きを読む
  • さよならの言い方なんて知らない。(新潮文庫nex)
    人から薦められた本。タイトルを見てひとまず読み始めて、どうも今ひとつ肌に合わないような気がしてどうしようかと思っていたのだが、プロローグを超えて本編に入ると俄然おもしろくなった。世界観そのものを物語に組み込んでいるという設定がおもしろいし、主人公がある意味「メタ」な存在として自分の存在価値を作ってい...続きを読む
  • 汚れた赤を恋と呼ぶんだ(新潮文庫nex)
    階段島の続き。島の中の話ではなく、外の世界が舞台。前の話との繋がりが見えておもしろかった。魔女がなにかまだよくわからなかったけど、続きが気になる。一気に読めた。
  • さよならの言い方なんて知らない。(新潮文庫nex)
    新たなシリーズもまた独創的なルールの世界を創り上げてきました。
    何故だか突然架空の世界に放り込まれて、その中で陣取り合戦が繰り広げられる。1ヶ月でリセットされること、ポイントの多寡とオリジナルの能力を元に頭脳戦で闘いの駆け引きを繰り広げるところが面白い。
    架見崎の目的は一体何なのだろう。
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)
    「あまり好みじゃない」と決めつけて読み始めたけれど、意外と面白かった・・・

    魔女が支配するという階段島で暮らす七草はなぜ、どうやって自分が階段島に来たのか、どうやったら島から出られるのかわからない。それでも平穏に暮らしていた。階段島に真辺由宇が現れるまでは。
    真辺が島に現れたことをきっかけに、悲観...続きを読む
  • いなくなれ、群青(新潮文庫nex)
    100万回生きた猫との、ユーモアのあるやりとりが好きだ。比喩的な表現があちこちにあって、文章を読んでいて心地よい。好きな星はなんですか?と聞かれたら、私はアンタレスかな。
  • 君の名前の横顔
     小学生のころ、自分の考えていることが言葉にできなくて、無性に腹が立って悔しくて泣いた涙を、大人が違う意味に捉えて更に苦しくなる。
     そんな経験を思い出した。
     河野裕の小説は、小学生だったり、中学生高校生、大学生だった時の、かつて経験したもどかしい感情が言語化されていて、ふと懐かしくて心に痛い感情...続きを読む
  • 夜空の呪いに色はない(新潮文庫nex)
    子供はいつか大人になる。
    この巻は、“大人"というものに対する描写が印象的な巻。トクメ先生の言葉が胸を打つ。

    「世の中には二種類の大人がいます。一方は子供でいられなくなり、仕方なく大人になった人たちです。いろんなことを諦めて、自分自身のほんの狭い経験を現実のすべてのように語って、子供のころに大切だ...続きを読む
  • 凶器は壊れた黒の叫び(新潮文庫nex)
    この巻は、過去と魔法の物語だ。
    階段島がなぜできたか、なぜ堀が魔女なのか、過去を交えて語られる。

    この巻の主人公たちは悩み、迷い、その姿を読んでいくのは悲しい。
    なんでもできるということは、決して幸福ではない。しかしそれを幸福と呼べなければ、魔女は魔女としてあれない。その矛盾を幼い子供達が背負うと...続きを読む
  • 汚れた赤を恋と呼ぶんだ(新潮文庫nex)
    引き算の魔女に依頼し、自分を捨てた現実世界の七草たちが登場し、物語の核心へ近づく第三巻。
    ストーリーのほうは、その分説明的な要素が多く、この巻単体での満足度は、正直なところあまり高くないが、前の巻を含めて現実のほうの七草がなぜその決断に至ったのか、考えると切ない。