河野裕のレビュー一覧
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河野裕の作品は、すぐ手に取ってしまう。
神様に愛されてしまったが故に、1000年の間、転生を繰り返しては、好きな人と結ばれないという悲劇を送る、杏。
運命の相手を見つけることは出来ても、片方はそれまでの記憶を失ってしまうし、片方はそこで記憶を取り戻し、すれ違う。
出会うことを拒絶したくはならないのだろうか、と思いながら読んでいた。
けれど。
割と、この作品に登場する神様がイヤじゃない。
二人に呪いをかけたイチさんだって、ページを追う毎に、なんだか可愛くさえ感じられる。
そんな中で、今世の杏の相手とは誰か。
その謎も、とても良い形で明かされる。
1000年に亘る、想いのやり取り。
それは遺されて、二人だけではない、何か普遍の価値すら持つ。
いいラブストーリーじゃないか。拍手。 -
Posted by ブクログ
感想を書くのを忘れていました。少し読み返して、今更ながら感想文を書いています。
順番がわからない脚本。どれが正しい順番なのだろう、という純粋な推理要素も含みつつ、結果は想像を越えてくるお話です。
自殺した天才脚本家の宵野ランについて探る中で、
レイニーの人柄(幽霊柄)がよく伝わり、一気に親しみやすくなった気がします。なんとなく悪者な印象でしたが、案外そうでもないかもしれないと思い始めました。
話の合間に入ってきた海辺の地縛霊のノゾミちゃんと、そのお兄さんの会話が刺さります。見えていないのに語りかけるシーンを想像するとグッとくるものがありますね。 -
Posted by ブクログ
続きが気になる!!
戦いの話なので人が死ぬのがつらいです。
皆が元々いた世界についての話が少し掘り下げられていて、なるほどなぁと思いました。
シリーズ1作目で理解したつもりでしたが、やはり設定が難しい。物は基本的にループで元の位置に戻るが、能力が関係した物は戻らない、ってことですよね。
リリィの二つの能力も明らかになりましたが、二つ目の能力がよくわかりませんでした。能力自体は簡単なのですが、時間との関係がイマイチわからず。ここではあまり言えませんが、12時間で気付いたら8/1にループしているとは…?
今回から登場した月生、かっこいいです。
余裕があって謎が多い人物最高。
彼が電車を待つ理由が明らかになる瞬間を楽しみにしています。 -
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ネタバレなるほど、この階段島シリーズは、成長の物語だったのね。「大人の階段の~ぼる~♪」ってやつですね。本書は階段島と現実が入り乱れる第五弾。
うぅ、「やっぱり私が、国語の成績悪かったのわかるわ」ってくらい、なんか押し問答のように長々と続く、登場人物の会話についていけない。
―「やっぱりあなたはAね」
―「いえいえ、私はA’(エーダッシュ)よ」
とはいえ、Bとも言えなくない・・・
みたいなやり取りに、頭の回転が悪い私はもうどっちでもえぇわ!と、物語の本質を根元からなぎ倒してしまうであろう感想を何度抱いたことか。落ち着くんだ、私。彼ら(登場人物)は、昔の薄っぺらくペラペラだった私とは違って、若さゆえの葛藤に、大人へと向かい変わっていく自分や周囲への葛藤に、真摯に向き合っているのだ。しっかり読むのだ!
七草がどうにも不思議で、「諦める」とか言いながら、一番粘着質そうな性格で、どうして七草がそんなにも他人(真辺や堀)に固執するのかまだよくわからないんだけど、その七草がやっと自分に少しこだわったところがちょっとあって、嬉しかった。
(あ、前作か前々作かで、「け、なんだ、結局七草と真辺はお互いを見つめているだけね」という安易な感想を書いたことは素直に間違えだと認めよう。堀のこともあるし、七草に言わせれば、これは単純な愛や恋ではないのだ、たぶん)
大地の問題にどう踏み込めばいいのか、踏み込んだとしてどう責任を取ればいいのか・・・成長していく葛藤と共にここら辺がうまく絡み合っているなと思った。
そして、今唯一の郵便局員時任の過去が明らかになる。そのことにより時任と大地の関係が分かってきて、より一層物語の真相に近づいた。
責任、成長、決定、諦め、変化、理想・・・
この階段島シリーズは、なんかやっと掴んだぞ、なんかわかったような気がするぞ、と思えばすぐに、あぁ、やっぱりわからない、私は何か大きな勘違いをしているのではないか、いやいやそもそも読解力がないんじゃないか、ま、待って、やっぱそういうことよね、と、つまり、捉えきれてなくて気になる存在。
大人の時任に責任をとってもらって、子どものままで魔法を借りる形で大地の問題は解決するのか、階段島はどうなるのか、次、最終巻! -
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ネタバレ人から薦められた本。タイトルを見てひとまず読み始めて、どうも今ひとつ肌に合わないような気がしてどうしようかと思っていたのだが、プロローグを超えて本編に入ると俄然おもしろくなった。世界観そのものを物語に組み込んでいるという設定がおもしろいし、主人公がある意味「メタ」な存在として自分の存在価値を作っていく発想や過程もおもしろい。単純に平行世界における闘争物語として読んでもなかなか楽しい作品である。
ただ強いて文句を言うなら、世界の作り方が物語にとって(あるいは作者のとって)都合が良いように組み立てられすぎているというか、作者が恣意的に作った世界構造であることがあからさますぎるような期がちょっとだけする。そのこと自体が、小説内の設定のメタファになっていくのもわかるのだけれど。最後の20ページほどの展開にはちょっとびっくりしたけれど、説得力については後回しになっているようにも思う。シリーズとして続いていくようだからそれを前提にしているのだろうと思うけれど、設定がトリッキーなだけに1冊でひとまず納得のできる完結をした上で先に進めてほしかったような気がする。
マイナーなアニメが見たくなった。 -
Posted by ブクログ
小学生のころ、自分の考えていることが言葉にできなくて、無性に腹が立って悔しくて泣いた涙を、大人が違う意味に捉えて更に苦しくなる。
そんな経験を思い出した。
河野裕の小説は、小学生だったり、中学生高校生、大学生だった時の、かつて経験したもどかしい感情が言語化されていて、ふと懐かしくて心に痛い感情を思い出させる。
小学校から帰ってきた息子が、クラスになじめないのか、時折頭痛がするといって早退すると、自分も会社を早退せざるを得なくなる。
「ジャバウォックが絵の具を一本、取っていったんだ。」
「その絵の具は、もともと12本入りだったでしょう」
子どもは思い込んだ自分の作り上げた世界と現実との違いのどちらが正しいのかの判断がまだできないのだ。
世の中にある現象についての語彙が足りないから、それを何なのかの説明がまだできない。
いつか私にも息子の言っていることが一般的な用語になって理解できる日が来るはずだ。
「今日もジャバウォックが絵の具を取って行っちゃった」
「もともと、11本入りの絵の具セットだったでしょう」
工務店の営業として働く三好愛には、息子の冬明がいる。
冬明の話し相手になってくれる牧野楓は、もともとは再婚相手の連れ子だった。
しかし五年前、その再婚相手が自殺したことから、それぞれ名字が戻ることになった。
子どもにとって息苦しいこの世界を、大人が分ってくれないことは分かっている。
その苦しさを忘れるために、ジャバウォックが世界からその概念を消し去ってしまえば、世界のだれもが忘れてしまう。
ジャバウォックに悩む冬明は真面目に聞いてくれる楓に相談する。
ちょうどそのころ、冬明はアリスに出会う。
彼女はジャバウォックに名前を奪われて、この世界と捨てられたモノの世界を行き来しているという。
「可能性を失い続けることこそが時間の本質といってよい」
成長とは何だろう。
自分ができる領域が広がる半面、本当はできた可能性を切り捨てるという両面を、成長という言葉は含有しているのではないか。 -
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子供はいつか大人になる。
この巻は、“大人"というものに対する描写が印象的な巻。トクメ先生の言葉が胸を打つ。
「世の中には二種類の大人がいます。一方は子供でいられなくなり、仕方なく大人になった人たちです。いろんなことを諦めて、自分自身のほんの狭い経験を現実のすべてのように語って、子供のころに大切だったものを捨てる言い訳に大人という言葉を使っている人たちです。
(中略)
未来を創る義務を負う覚悟を決めたのが、正しい意味での大人です」
(中略)
実のところ、私は自分がどちらの大人なのか、よくわからないのです。(中略)わからないから、意地を張るのです」(中略)「私は自分の意思で大人の役割を引き受けているのだと、言い張っていたいのです」
私はどうだろう。未来を創る義務を、私はちゃんと負えているのだろうか。 -
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シングルマザーの愛さんと、自殺した旦那の連れ子で大学生の楓、「世界の一部を盗む」想像上の怪物・ジャバウォックを怖れ、学校に行きたがらない冬明くん、の家族のつながりのお話。
リアルとファンタジーが交差するような物語。
ジャバウォックが本当にいるという流れは、下手するとシラケてしまうのに、登場人物の心の動きが繊細に表現されていて、面白く読み進められた。
ジャバウォックよりも、現実の人間の行動の方が恐ろしく描かれていたのが、バランスとれていたのかも。
冬明くんの担任の先生、楓くんの実母、愛さんの会社の同僚、絶対関わりたくないわぁ。特に同僚の園田さん。最低最悪のタイプだけど、結構いるかもしれないと思えてしまうのが、また恐ろしい。