河野裕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『鋼鉄都市』のSFミステリを思い出させるような
超能力者同士のMF(マジックフィクション?)ミステリ
『ジ・エンターテイナー』のリズムでさくっと読める一冊
『サクラダリセット』もそうだったけれど
よくぞこの設定で破綻なくミステリ仕立てに出来るものだと感心する
ただライトノベルだった『サクラダ』と比べると
登場人物の造形着地点がもうひとつ定まらない感じ
感心はするが娯楽小説として不可欠の感動に至る押しがどの作品でも弱いと思う
悪い意味であざとくなく自然に押し付けがましくない
より印象深く記憶に残る揺り動かしとなる舞台上の場が欲しいところ
『ジ・エンターテイナー』が示すようにそういう効果を狙ったお -
Posted by ブクログ
水平思考パズルで有名な「ウミガメのスープ」のミステリー版。
ある古い洋館に集められた5人の男女。
一癖も二癖もある彼らが出す問題は、全12問。
不可思議な問題を出題者が提示し、回答者が出来るのは、イエス、ノーで答えられる質問のみ。
果たして、真実に辿り着く事は、出来るのか。
カードも小道具も、何も使わない、言葉だけのシンプルなルール。それ故に、深い謎と真実に辿り着くプロセスが興味深く、楽しめます。
「熱烈なキスを交わした結果、2人は二度と会えなくなった」
「赤、赤、赤。どこまでも続く赤に絶望し、男は自殺した」
「計画は予定通り完了した。最後に被害者の顔を見て、誘拐犯は絶望した。」
など -
Posted by ブクログ
3巻目まで読んでふと思ったことだけど、この本は登場人物達みんな落ち着いて一定のルールに従って会話が成立しているように感じた。
正しい解釈まではできないけれど、基本的に誰も怒ったり、決めつけたりせずに相手の話を聞いているなと。
隠し事や嘘や探りを入れるようなことをしたら、普通は怒ったり嫌がったりして人付き合いがしにくくなるようなものだけど、他社を尊重しているのがどの登場人物達のやり取りからも感じられた。
そうじゃないと小説として成り立たなかったり、作者が描きたい世界を描くことができないからかもしれないが、現実を生きている身としてはなかなかこうはいかないよなと思ってしまった。ただの僻みかもしれない