河野裕のレビュー一覧
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河野裕のつれづれ、北野坂探偵舎を読みました。
小説家の雨坂とその元担当編集者で今はカフェ経営をしている佐々波が登場するミステリーでした。
佐々波は幽霊が見えるという能力があり、この世に未練を残している幽霊が物語に登場します。
通常、ミステリーは実際に起きたことを探偵がいろいろな証拠から推理していくものですが、この物語では小説家と編集者が証拠=設定から物語を紡ぎ出していくというストーリーになっています。
なので、サブタイトルが「心理描写が足りてない」となっています。
こんなぶっ飛んだ設定ですが面白く読みました。
カフェのウェイトレスのパスティーシュさんが辛辣で、いい味を出しています。 -
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ネタバレ2020年の1冊目。
今もっとも刊行を待ちわびているシリーズです。
今巻では、架見崎最強のプレイヤーと目される月生さんにPORTと平穏な国が戦いを挑む、というなかなか大きなターニングポイントが描かれます。
月生さんが生存することを望む、歩がそれを目標にしたのだから、きっとそうなるだろうと思うのに。
それが「どんな形で」実現されるかは分からないから、やっぱりハラハラさせられるのです。
今回は、月生さんもトーマも歩もそれぞれに時間をカウントする描写が出てくる。
それは秒の時もあれば、分の時もあるわけですが、読んでいる側はそれとは違う時間軸を生きているはずなのに、焦らされる。
そして、数秒後の数分後の未来を見ようとする。
こういう、文章と時間の関わりって、なんだか面白いなぁと思います。
また、月生さんの戦いを軸に、イドという人物が表舞台に出てきます。(それを言うならパンもそうだけど)
正義のために命を落とすことは、美徳ではない。
いや、そもそも死んでしまうことそのものが、生きている残された者を深く傷付け、損なってしまうという、そんな思いが見えてくる。
命を賭ける対象があることは、勇気であり、力になるのかもしれない。
けれど、それは幻想である。
だとしたら、生きることに殊更意味を見出さなくても、そのことに苦悩する必要がない、そんな答えもあるのでしょうか。
歩の目的がまだはっきりとは見えませんが、それは自分も見つめておきたい、そんな問いであるように思いました。 -
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シリーズ三巻目。
架見崎の二大勢力、PORTと平穏な国が手を組み、個人で最強の架見崎駅南改札前の月生に勝負を仕掛ける。
この間、香屋は自分の能力Q&Aで架見崎の真相を調べていた。
0番目のイドラとは「すべての生きる者たちの前に立つ偏見」だと、運営は答える。
その真相に月生は最も近いところにいると、香屋は考えている。
そのために、香屋は月生を守ることにする。
段々と架見崎の真相が明かされてくるようで、いまだ全然謎のままの部分が多い。
本巻で明かされるトーマの秘密。
この世界で死ぬと元に戻る。
死ぬとどうなるのか。
八月がループする架見崎の先月とは何なのか。
伏線が張られたまま次巻に続く。 -
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殺伐としたサクラダリセット、と呼ぶことにするよ。
シリーズ二巻目、破壊された無人都市・架見崎の世界が現実の世界というプレイヤー同士の認識のずれを通じて提示され始める。
八月の一か月での、能力バトル殺し合い陣地取り合戦を繰り返す(殺伐としたエンドレスエイトともいえる)。
香屋と秋穂がこの世界に訪れた次のループで、戦いは最大勢力の三グループ、PORT・平穏な国・架見崎駅南改札の参戦という異常事態が勃発した。
誰よりも臆病で、なるべく人が死なないように引き分けを狙う。
香屋はこの世界で再会した旧友トーマも巻き込み、戦争の結末から逆算して手札を揃える。
三つ巴の戦いの結末は。
次巻に続く。
なんとなく、”ぼくらの”っぽい話になってきたと思うのは俺だけ? -
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河野裕の片手の楽園を読みました。
咲良田を舞台にしたSF、サクラダリセットの5冊目でした。
夢の世界を実際の咲良田の町と同様に構成する超能力をもつ少女の夢の中が今回の物語の舞台でした。
他の登場人物もその少女の近くで眠ることによりその世界で活動することが出来ます。
浅井ケイと春﨑美空たちはある目的を持ってその世界に入っていきます。
前作から登場する管理局の中枢にいる浦地と索引さんは咲良田の住人たちが持っている超能力全てを消すという活動を進めています。
この活動がどのような結末になるのか楽しみです。
浅井ケイの超能力が記憶を全て保持するというものであることに対し、浦地の能力が記憶を消すというものであることが面白いと思いました。 -
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読書録「つれづれ北野坂探偵舎心理描写が足
りてない」4
著者 河野裕
出版 角川文庫
p298より引用
“「物語が作り物でも、それを読む人間は現
実にいるんだ。問題は君が、何を感じて、何
を信じるかだよ。読者の感情に僅かでも影響
を与えられるなら、フィクションにはリアル
で具体的な意味がある」”
目次より抜粋引用
“本を探す幽霊の誤謬
迷子のリドル
心理描写が足りてない
リリカルファイア”
小説家と元編集者でカフェオーナーの探偵
所長を主人公とした、短編連作ミステリ小説。
カフェでお茶を飲みながら、男性二人の会
話に耳を澄ます少女。二人は反対方向を向い
て座ったまま、しかし決して険悪な雰囲気と
いうわけでもなく話を続ける…。
上記の引用は、フィクションの意味につい
てとある人物?に答える、主人公・佐々波の台
詞。
山本弘氏の「アイの物語」の解説だったでしょ
うか、「作者は本気で、小説の力で世界を変
えようと思っている」というようなことが書
かれていたように記憶しています。たとえフィ
クションでも、人に何かしらの影響を与える
ものなのでしょうから、その影響が悪い方向
に出ないように、書き手は作り続けてほしい
ものです。
穏やかな雰囲気ながら少し切ない話。会話
が多い書かれ方なので、好みの分かれるとこ
ろかもしれません。
短編連作としましたが、続編への謎が残る
終わり方をしていて、長く続く作品なのかも
しれません。
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階段島シリーズも本巻にて完結。
これ読んでる同じ時期に、ちょうど涼宮ハルヒシリーズが文庫化してて、そっちも読み進めてるから、つい対比してしまう。
真辺は一人で突っ走ってるハルヒなんだ。
両人ともに自分の意志を貫き通してるけど、真辺は他人のあるべき姿を理想として突っ走って世界を変えようとする。
変数が他人なわけで、絶対に理想の世界にはたどり着かない。
七草は傍観者でありキョンなのだ。
ただし、キョンは傍観してなすがままに流されているけど、七草は傍観しながらも真辺の否定すべきところはキッパリと否定している。
シリーズは魔女だったり、家庭の事情のだったり、いろいろとテーマになっていたけど、
最後には真辺と七草の物語に収束する。
捨てたい感情を捨て、捨てられた感情が集まった島、階段島。
「嫌いだよ。でも、悪くないところもある。そんなもんだろ、自分自身なんて」
ラストが清々しい。 -
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ネタバレ長かった。
2014年からなので、もう5年になるんですね。
以下、ネタバレ注意。
途切れ途切れの記憶を辿りながらだと、どうも見えなかった部分はある。
「愛情」を預けてしまった母親と暮らす大地を、幸せにしてやりたい。
そこで、真辺は魔法の力で、母親が大地を愛するようなシミュレーションを何度も繰り返す。
失敗する度に傷つき、トライアンドエラーを繰り返し、やっと得た小さな幸せにも、満足しない。
そんな真辺の崇高さに、七草は感嘆しながらも、対峙する。
大きな幸せ、持続的な幸せという、たった一つの正解を探し当てるまで、トライアンドエラーを繰り返すのなら、真辺はこの世界から永遠に出られない。
それはつまり、シミュレーションが現実にはならないことと同じだと突き付ける。
彼女が壊れる前に、彼女を止めたのは七草だった。
小さな幸せを積み重ねた世界を持って、真辺は階段島を去ってゆく。
そして、七草は階段島に残る。
自分の中の不要なパーツを残していける世界。
不要なパーツたちが安心して暮らせる世界。
それは魔女である堀の、人に対する優しさから生まれた、少し悲しい幸せの世界だった。
その中で、七草は「何も捨てなくても、人は成長できるか」を目指そうとする。
受け容れるということは諦めだけではなく。
受け容れることが出来て、成長もあるのだと。
私なりに勝手に落ち着けたのだけど、今の自分にはこう思えると、スッキリする。
見たくない部分を切り離せたら楽で、現実世界と適応しない部分を、病的に遮断してしまわなければ生きていけない人もいる。
こんな自分だったらいいのに、と思うことはあって、でもそこに辿り着く道筋は、きっと切り離すことだけではない。
受け容れることは、難しい。
どうすれば、諦めたのではなく、受け容れたことになるのかは、正直分からない。
けれど、受け容れるべき部分があるのなら、それはつまり、切り捨てたかったパーツを明らかに出来るのなら、きっとそこから始められることがあるんじゃないかと思う。
後半は、本に対するレビューというより、七草の結論に対する個人的な思いになった。
随分、考えさせられたシリーズだった。
難しいけれど、面白い。 -
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ネタバレなんだか終わりに近づいてるなぁという感じ。というか、3巻以降、急展開が多い。少なからずちりばめられていた伏線や何かしらのアイテムが一気に回収されつつあるというか。ピストルスターがここまで引っ張られたりや逆上がりなど、伏線らしい伏線から、それも活かすのかというところまでいろいろ。
それに伴って1巻を読んだときには語られないことが多すぎてよくわからなかったことが、やっとこわかってきた。
信仰という言葉がでてきたのは2巻だったか、3巻だったか。それの対象がピストルスターであったわけだが、ピストルスターの意味させるところが、この作者のうまいところなんだろうな。もともと抽象的であったものをなんとなく想像させて、かつ裏の裏みたいな落としどころがいつの間にか語られる。
これまでもこれからも七草と真辺の関係は変わらないんだろうけど、読み手の立ち位置が知らない間に変えられてるが故に、いろんなことを想像させられる。安達の立ち位置も。 -
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ネタバレ階段島シリーズの1作目を初めて読んだときは、正直よくわからなかったけども、もう1度1作目を読み、続けて2作目を読んだときに、少しずつ面白さがわかってきた気がした。
そんなわけで、3作目に至ったわけだけども、今回の作品はパラレルワールドの主人公が主役。というか、パラレルワールド自体が主役というべきか。どちらが表か裏か、魔女の思惑一つ。その上で現実世界のリアリティのなさは、おそらくあえてなんだろうなぁ。
作者が「色」に意味を込めている理由はいろいろあるんだろうけども、その1つは2つの平行世界に色を固定させないことじゃないかと思う。一方の色が決まってしまえば、もう一方も自ずと色が見えてきてしまう。そうさせないためのタイトルな気がするし、決めぜりふな気がする。
それにしてもみんな賢すぎじゃないかなぁ(笑)