河野裕のレビュー一覧
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河野さんの世界観は、自分にとっては難解で、すべてを解くのに何回も読まないといけないなという印象でした。階段島シリーズは、途中で挫折してしまいましたが…。
今回のシリーズは、個人的には階段島と比較すると、とっつきやすい方かなと思いました。領土や生き残りをかけたバトルあり、様々な謎ありでした。最初は主人公と同じように訳がわからないまま、世界観に放り出されていくようでした。が、段々と状況がなんとなくですが掴めていき、すっかり引き込まれる自分がいました。RPGっぽい展開で、ミステリー要素を含みながら、進行していくので、楽しめました。
色々な謎が散りばめられていて、わからないまま終了はしましたが、ちょ -
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階段島シリーズの5冊目。
いつの間にやら7年前に捨てた自分を階段島の七草が拾っていたり、魔女を巡って構図が七草・堀vs.真辺・安達になっていたり、ややこしいなぁ…。
よって七草は“堀を愛して真辺を信仰する”七草となったわけだが、その七草を現実の七草がまた拾い、2作目で『時々訳の分からない独り言ちがあったりして、その存在がどうも謎だな』と書いた時任の過去が明らかになったり、大地の母の秘密が明かされたり、お話としては結構面白い展開だと思うのだけど、筋の運びがどうもね…。
今回のお話としては、成長(大人になるとは)何か、決断する(何かを捨てる)ことの重さ、集団と個の関わりについて、などなど深淵なテ -
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階段島シリーズの4冊目。
少し前から読み始めていたのだけれど、重たい本を片付けるために盆休み中はこの本は読み止しにしていたので、休み明けから仕切り直し。
前巻で登場した安達が階段島の平穏を搔き乱す?
前作あたりから、この作者独特の言い回しや論理展開に、私の読解力がついていけてないのだが、相変わらずに思わせ振りな文章でたらたらと進まない前半の話にはいささか嫌気。
なんだか、七草がひとりで疑心暗鬼になって、読者をミスリードした上で、自らあっさり真相を語るてな感じに見えて、P.130に『でも君はなかなか決定的なことを口にしない。とどめを刺すなら、さっさとそうしてくれないかな?』とあったけど、そん -
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読書録「つれづれ、北野坂探偵舎著者には書
けない物語」3
著者 河野裕
出版 角川文庫
p38より引用
“ 雨坂続ー小説家は現実の情報を「設定」
として、物語を創る。推理ではない。あくま
で物語だ。だから、突飛な内容でも平然と語
る。
佐々波蓮司ー編集者は物語の矛盾点を指摘
する。ストーリーが自然なものではなかった
なら、あるいは現実と僅かでも齟齬があった
なら、詳細にそれをつつく。
小説家が創り、編集者が崩す。崩れたらま
た創り直す。こうして二人は真実ににじり寄
る。”
目次より抜粋引用
“バッド・クォートに憑く幽霊
TO MY SISTER
アナグラム・プログラム
著者には -
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階段島シリーズの3冊目。
今回の舞台は階段島ではなく元の世界ということで、人格の一部を捨てた側の七草と真辺の物語。
1冊目の感想に『元の世界にいる彼と彼女も含めたふたり(4人?)の関係が、これからどう展開していくのかは楽しみ』と書いたところ、2冊目では全く触れられず、どうなってるのと思っていたが、ここで来た。
通勤電車の中でサラッと読むには話が分かりにくく、冒頭から暫く同じところを二度読みし、お話が並行して進んでいるの分かってからは1冊目をチラ見しながら読み進む。
しかし、なんだかまだるっこしい。
内省的というか思わせ振りな文章はこのシリーズの特徴とは思うけど、今回はいささか冗長に感じる。
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本屋の新刊コーナーで、5巻の郵政カブのイラストを見て、へぇ、と気になった。
で、デザイナーの川谷さんの特集(この間休刊したMdN)を見て、読まねばなるまい、と思って古本で順次集めた。
(この6巻目だけは新刊で購入)
イラストがビブリアの越島さんだということには、つい最近になって気が付いた。
2巻まで読んだ後、しばらく間が開いたけど、3巻以降は割と一気に読み進んだ。
で、この作り物の世界を美しいとか愛しいとか感じるか、というと、それはないなぁ。
6巻の帯の「映画化」に、シャフトですか、と思ったら実写だ、と。
その映画の幸福な未来はまるで思い描けないね。 -
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ネタバレ平熱系超能力コン・ゲーム小説。Googleをモデルにしたと思わしきハルウィンという企業が超能力者探しをするという、一見すると壮大なシチュエーションだが、その大風呂敷に反して、話自体は緻密なトリックと嘘の応酬である。限定条件のバトロワ的な、血で血を洗う荒っぽさや緊張感はないものの、応用力のある超能力や偏執的なまでのルールの恣意的解釈などはこの作者ならではの持ち味だろう。他の作家ならもっと大仰な嘘をつくのだが、この作者は他の作者なら捨てる部分を拾って有効活用するような、謂わば捨てられた食材で美味しく調理するスキルに長けた作家だと思う。
ただ、いくつか難点もあり、まず登場人物の描写がやや薄っぺらい