河野裕のレビュー一覧
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ネタバレ架見崎シリーズの第一編とあるように設定が細かく描かれたり伏線をたくさん張っていたりと、これからの導入という側面が強いような印象を受けた。最後まで謎が明かされない異世界の場所や仕組みなど、階段島シリーズと似た舞台設定の印象がした。
頭脳によって決められたルールの外側をいこうとする主人公香屋歩は最近流行りの異世界転生ものの主人公像そのまんまだと思った。個人的にルールの穴を突くタイプの話は最初に設定が練られているかどうかで面白さが決まると思うが、その点で言うと階段島のよく練られた設定が思い起こされるため安心して読み進められた。
作中の主軸となっている『ウォーター&ビスケットの冒険』の中で語 -
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ネタバレ7人の超能力者が,年収8000万円の地位をめぐり,採用通知書を奪い合うという設定は極めて魅力的。ジエンターテイナーの音楽が度々登場するように,スティングのようなコンゲームを意識しているとも思われるが,登場人物の超能力が便利すぎて,登場人物間での騙し合いという感じはあまりしない。
特に,ナンバー2穂積のトレード,ナンバー4日比野のフェイク,ナンバー5高橋のビジョンの能力が,採用通知書を奪い合うという設定にマッチし過ぎている。これらの能力が強すぎるので,頭脳ゲームにはあまりなっていない。
この小説の肝は叙述トリック。ナンバー4である日比野が何かを企んでいると見せ掛け,ナンバー3の仲秋の考えが -
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二年前、トーマは居なくなった。
その親友を探しに、香屋は秋穂と共に「架見崎」へ行く。
突然、香屋の元に奇妙な手紙が届いた。それには「架見崎」と言う町の名前が書かれていて、トーマが最後に残したマークも記されていた。手紙で指定された場所へ行くと、「架見崎」へ飛ばされた。「架見崎」は滅亡した世界に唯一残存する街で、領土を巡る異能力者同士の戦争が行われていた。その抗争に巻き込まれながら、香屋と秋穂はトーマを探す。
香屋は人一番怖がりだが、目的を達成させる力は優れていて、逆境と取れる場面での恐ろしい発想力と行動力が読んでいて気持ちが良かった。オリジナルスキルや、ループの機能の設定があるから、単調なシ