河野裕のレビュー一覧
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階段島シリーズが遂に完結。
最初から最後まで、やはりこの物語は七草と真辺の物語だった。堀を真辺と対比させ、安達と七草の類似性を示す事で、より2人の性格が掘り下げられていた。多少の変化はあれど、最後まで階段島の2人は一貫していた。
ゴール無き命題を、呆れるほどに愚直にドリブルする真辺と、どうにか目の前のディフェンダーを抜けるようにサポートする七草。この2人の関係性は、正しくないとしても、素晴らしいと思う。また、2人が成長して、足を止めてドリブル以外の選択肢を持った真辺と、それを受け入れる七草は正しいと思う。
人生において成長は必要なもので、その過程で失われる自分は、不必要なものだったと捉え -
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展開はスローテンポで、しかし着実に階段島や大地の問題について進展した。前任の魔女・時任の過去と大地との関係性、七海自身の拾う・捨てるの問題、真辺にとっての七海という存在について、主に書かれていた。
時任が大きく問題に関わりを持ち始め、大地の問題は進展していく。大地の捨てたものが判明し、次巻では核心に迫る。また、現実の七海と階段島の七海は相容れなかった。成長した現実の七海、しかし階段島の自身を見て羨ましくも思う。
読めない展開に、読んでいて楽しかった。
真辺と七海の関係性はどうなっていくのか楽しみ。
そして、階段島の存亡やいかに。楽しみ。 -
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第1作から久しぶりでしたので、どんな世界観だったかなんとなくでしたが、読み進めていくうちに徐々に「あっ、こういう雰囲気だった」と掴めてきました。
前作は、たしかPoint合戦を加味しながらの頭脳戦だったと思いましたが、今回はそうしたものはなく、比較的静かでありながらも沸沸と湧き上がるような頭脳戦だった印象でした。ただ、奥行き感がないといいましょうか、それぞれのチームでの代表だけで、戦いを繰り広げています。なので、その他の脇役の人達の接戦がなく、いつのまにか死人が発生しているので、そんなに緊迫感がありませんでした。
第2作目では、新たな謎や人物が登場し、場を盛り上げている一方、なかなか謎が解決し -
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ネタバレ終わり方としては少し拍子抜けだった。
ただ、「私は世界を認識できない」という台詞に示されるように複数ある自分がそれぞれ認識する世界があり、だからこそパラレルになってしまう世界を認識しきれないし、本来世界を形作る恋愛も信仰も友情も、捨てないことの呪いによって幾層にも世界を作ってしまう。あぁ、なんともまぁ複雑な世界なのか(笑)。そこで生きる登場人物も結局崇高すぎて(笑)
あと、大地が半分ってのは、ちょっとどうなんだろうかね。そうしなければならなかったのは物語としては必要だけども、彼のアイデンティティや不思議なまでの賢さは説明が付かない。この物語にリアリティなんかを求めても意味は無いのだけれども