藻谷浩介のレビュー一覧
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ネタバレ里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く
ちょっと題と内容が違うかな?という感想を最初持ちました。良い意味で期待を裏切られた内容です。
オーストラリアや広島の事例をひきながら、マネー資本主義の対立した概念として里山資本主義という言葉を使っています。それ以上に、対立概念であるマネー資本主義の補完システムとして里山資本主義を位置づけているところが、斬新です。
昔の暮らしをするというとコミューンとして厳しい規律を課してその主義を守るという方向になってしまいますが、本書では、最新テクノロジーを使って快適にかつエネルギーや食糧、水を自給して暮らすことを提案しています。
また、過疎や人口減少は、こう -
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ネタバレこの本の主張は?
「経済成長」をめぐる幻想と実態を、解剖学者・養老孟司と地域経済の専門家・藻谷浩介が対話形式で読み解く一冊。
日本社会が盲目的に信じてきた「成長」の正体を疑い、人口減少や自然災害リスク、地方の暮らし、世界標準から見た日本の特殊性をもとに、「これからの日本に本当に必要な価値とは何か?」を問い直しています。
印象的だったポイント
「経済成長」が今やバズワード化し、実態を伴わずに使われていることへの違和感
高度経済成長の記憶がある世代とそうでない世代の価値観の断絶
アベノミクス下の株価上昇と実体経済の乖離
日本の都市人口密度がいかに高く、地方分散が進んでいないか
「空気」で -
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里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く
著:藻谷 浩介
著:NHK広島取材班
角川新書 D-67
ところとびとびになっているが、分かりやすかったです
本旨は、20世紀を象徴する、「マネー資本主義」に対して、過疎地から、あたらしいスマートな、「里山資本主義」を立ち上げようです
ふんだんに手にする木材がなぜ地域の豊さとつながっていないのか という問いから始まった
気になったのは、以下です
■里山資本主義の原資
1.木質バイオマス発電
中国地方の山間部から、里山資本主義は誕生した
①製材所でもてあましていた、木くずをつかって、「木質バイオマス発電」を行うこと
②製材所の電力を -
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第一部は山田桂一郎が、地方・地域を活性化していくためにその魅力をどのように発信していくか、についてツェルマットの事例を出して説明している。観光だけ、イベントだけに頼るやり方ではなく、地域全体で取組む姿勢の重要性を説いている。これはこれでとても面白く、単なる地方創生の成功事例紹介というものではない。
第二部は藻谷浩介との対談。こちらは日本でうまくいかなかった事例の原因のうち、特に日本特有と思われるものについて、会社員の愚痴っぽく語るのがすごくわかり易く入ってくる。観光事業について日本には資源はあるのにまだまだ活用できていないことがよく分かる。これを心配しながらも将来の伸びしろとして期待し、引き続 -
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説明して分かってもらいたい藻谷浩介と、聞かれれば自分の考えを話すことはできるけど自分からはあまり能動的に発信しない養老孟司の対談本。2038年の南海トラフ巨大地震の話、循環再生で自足する話、教育の話。どれも単独で完結する話ではなくて、互いに関連している。その根っこには日本人の特性みたいなものがあって、理論と実践、中枢と現場の間にはいつまで経ってもチグハグさが残っている。日本は一度ご破産にしないと変われない国だから、南海トラフ地震に来てもらって、ご破産にするしかない、という養老孟司がたどり着いた説は少し逆説的だけど、きっとそうなのだろう。自分で対応するしかないと考えよ、ということなんだろうな。と
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養老孟司と藻谷浩介の対談本であるが、二人とも大勢に流される人ではないためにとてもいい対談となっている。毎年のように「景気対策」という名目で借金を重ねて大型予算を組んでいるが、予算を増やし続けているのに国内消費が減っている。また、現在の日本では半分以上の人が働いていない人である。このような社会であるにもかかわらず、経済成長を目指して、リフレ経済学者やMMT(現代貨幣理論)を主張して、湯水のように税金をばら撒けという無責任な主張が罷り通っている。
そもそも、半分以上働いていない社会において、働いている人に「もっと働け」というモチベーションは湧いてこない。またむやみに経済成長すれば地球環境の -
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220206
やはり自然が好きだ。この分野でお金を産むことができたらどれほど楽しいだろうかと妄想してしまう。オーストリアのような確立されたバイオマス文化を作れたら面白いだろうな。(エネルギー事業、エンターテイメント事業、キャンプ、教育、食…)飯能などを舞台にクラファンとかを使って事業を起こせないだろうかと考えてしまった。
オーストリアで林業を学ぶのもアリだよな。
里山資本主義とは地域内で完結するものは完結させようという運動。かつ開かれた地域主義。
マネーに依存しないサブシステムの構築。(自然×人間関係×テクノロジー)
筆者の主張は一貫して、お金に依存した社会から脱却して、食料・燃料・水を自ら調 -
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おもしろ…
世界のいろんな地域を、まちかどを、そこに暮らす人々のいまを、歴史を絡めながらおしゃべりしてもらっているよう。
著者の知識が膨大すぎるので難しい箇所もたくさんあるが、それもまた「おしゃべり」の一興、みたいな。
『デフレの正体』の頃から、世間の空気に惑わされず自分の目で見て考えたことから自分の論を造り出す桁外れにスマートな脳みその持ち主、という著者のイメージは変わらない。
そこに、地理オタク乗り物オタクだったり旅先でパソコンが壊れて絶望したり「ご機嫌に歩いていると~」みたいなお茶目な描写が突然現れたりして、かわいいおじさん的なイメージがプラスされつつある。 -
Posted by ブクログ
「航空機の乗り継ぎ時間を利用して、成田山だけを弾丸観光し日本を理解するような覚悟」という、筆者の全力な姿勢が好きです。行先も日本人が普通観光で訪れないような、非常にマイナーで複雑な歴史を持つ地域ばかりであり、旅行超上級者ならではのチョイスです。高校の世界史の授業で何となく地名は知っているけれど、実際にどのような都市なのか一切イメージできないところが紹介されています。有名どころばかりを歩いて世界を知って満足する人生は勿体無いです。コロナ禍で満足して旅に行けない時期だからこそ、改めて地理歴史を学んで知的好奇心を高め、コロナ後に自分流の旅で世界観を広めることができるよう、準備しておきたいと思いました