藻谷浩介のレビュー一覧
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「人新世の資本論」に続いて、現代社会を大幅に見直すきっかけとなる本。
今までの金儲け中心で大量消費社会に疑問を持ち、多くの地方で後期高齢化の深刻さがジワジワと影響を広める中で1つの解決策として提案されているのが里山資本主義。
地方をネガティブなイメージで見るのではなく、これからの日本のイノベーションの最先端へと変える中心地としてこれから益々見直されて変革していくと思われる。
里山資本主義は環境面で優れているだけではなく、地域内でのお金の循環システム(ある意味これが脱成長コミュニズムの理想型なのか?)であり、コロナ禍において見直されるこれまでの社会のあり方に対して革新的な提言を示している。
ああ -
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著者が毎日新聞インターネット版に連載している「藻谷浩介の世界『来た・見た・考えた』」の中から選んだ記事をまとめた本の第一弾。
本書で登場するのはカリーニングラード(ロシア飛び地)、イギリス(特にアイルランドと北アイルランド)、旧ソ連コーカサス3カ国(アゼルバイジャン、ジョージア、アルメニア)、スリランカとミャンマー、パナマとボリビア、台湾・韓国・中国の高速鉄道比較など。
地理を高校で選択していたら「興味が沸くけれども、自分が行くとなるとハードル高いなぁ」、という国々がズラリ。興味深い記述を抜粋します。
「ロシアにとってカリーニングラードと比較して重要性のかなり低い北方領土で日本に譲歩してしまう -
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本書は経済評論家の藻谷浩介氏が各国の”首都”を切り口にその国の状況を伝える「藻谷浩介の世界『来た・見た・考えた』」(毎日新聞WEB版に掲載)の連載を単行本化した第2弾です。
ビジネスで海外に行く事がない限り、私たちが外国を訪れるのは観光目的に限定されることがほとんどです。観光地を訪れたからと言って、その国の事が全て理解できるわけではないですが、現地に行かないよりは何倍も理解が深まるのは事実です。藻谷氏も本文で「『首都を日帰りや一泊でチラ見したところで何がわかるものか』という批判はあって当然だし、著者もそう自問自答している。それでもチラ見するのと一度も行かないのでは全く違う。”成田空港で国際線か -
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「二時間だけ入国して成田山新勝寺に立ち寄った外国人が、それだけの経験から日本を語る」というような覚悟と気合
人は知識だけで頭でっかちになりがち。
それを強く理解させてくれる旅行ノンフィクション。
旅は「地理」と「歴史」の味わい方で、大きく跳ねる。
というよりも、地理と歴史を感じれなければ、薄い時間と経験だけに。
人類の歴史そのものが、国境を複雑怪奇にしている。
歴史の闇が、いまだに各地で残りまくっている。
人が見ただけで解ったフリをするのが理解できた気がする。
ちゃんと国境を知れば知るほど、解決出来ない問題が心に入って来るからだ。
旅をする時に用意や準備をしていく。
だけど。
行き -
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最近、大阪と熊野を行き来して地方創生にも興味が出てきて、そこで著者の山田桂一郎さんの講演を聞いたことがきっかけで読むことにした。
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「地方創生のキーは観光だ」
海外旅行客が増加してきている今、インバウンドを利用した外貨獲得戦略として各自治体が観光に力を入れている。
しかし、その力の入れ方が上手ではない所が多い。
山田さんは三重県津市の出身で、現在はマッターホルンの麓スイス・ツェルマットに住みながら世界各地で観光のコンサルティングを行なっている。
様々な成功事例・失敗事例を見てきた彼ならではの考えが散りばめられていた。
多くの地域の問題点としていくつかあげら -
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著者の藻谷浩介(1964年~)は、日本政策投資銀行勤務を経て、日本総合研究所主席研究員を務める、地域エコノミスト。2010年発表の『デフレの正体』は2011年新書大賞第2位となり、販売部数は50万部を超えている。
本書は、著者がこれまでに訪れた世界105ヶ国での見聞・考察を、2017年4月から毎日新聞社のインターネットサイト「経済プレミア」に週刊連載している、「藻谷浩介の世界『来た・見た・考えた』」の書籍化第2弾。第1弾は、毎日新聞社から2018年2月に発刊された『世界まちかど地政学』。(第1弾の後、続編を期待していたのだが、早速出版されて嬉しい限り)
本書に収められた国・都市は、「途上国問題 -
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【ぶらりと観察】時に一風変わった歩き方で世界各地を巡りに巡った著者が,訪れたいくつかの国・地域に関してまとめた旅行記。本作においては,コーカサス地方やカリーニングラード等,あまり多くの邦人が訪れない国・地域を取り上げています。著者は,大ヒットを記録した『デフレの正体』等で知られる藻谷浩介。
さらりと読めると同時にじっくりと考える上でのヒントを提供してくれる作品。著者が地域再生等の問題に興味を置いていることもあり,日本と比較すると一風変わった地域の問題をさらに一風変わった眺め方で切り取っているように感じました。
〜常に双方からの目,さらには第三者の目を持たなければ,物事の全体像は見えない。そ -
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資本主義といえば、「より多く稼ぎ、より多く消費することで豊かになる」という成長志向の経済モデルが一般的だ。しかし、本書が提唱する「里山資本主義」は、その対極にある発想である。
例えば、岡山県真庭市の林業モデルが示すように、「支出を収入に変える」という視点を持つことで、新たな経済の形が生まれる。木材廃棄物を燃料に変え、外部エネルギーに頼らない地域経済を形成することで、世界のエネルギー価格変動に左右されない持続可能な仕組みを実現しているのだ。
この考え方は、単なる「スローライフ」の提案ではなく、マッチョな資本主義に対抗する「したたかな経済戦略」でもある。成長を追い求める資本主義と、地域資源を活 -
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日本開発銀行など政府関係の公職を多数勤めた経済の専門化により、主として日本経済の実態について語った本。日本経済の低迷は、生産年齢人口の減少が主因であるとの意見には納得できた。展開は、論理的であり、解決策にも違和感はない。特に高齢富裕層のお金を循環させることが大事との意見は、大いに賛同できる。ただ、文章が話し口調であり、学術的な論文形式になっていないところが気になった。印象的な箇所を記す。
「首都圏では00-05年の5年間で106万人の人口増加があったが、生産年齢人口は減少している。0-14才は6万人の減少、65歳以上が118万人増加している」p99
「首都圏の高齢者福祉の現場が需給逼迫してい