藻谷浩介のレビュー一覧
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世界から見た日本、日本人の変わったところを客観視して具体的に伝えてくれる。
しかも包み隠さず率直に。
とても考えさせる問いでした。
2038年に大震災が来るとなん度も紹介されていましたが、来ることがわかっているのに備えないのはおかしい。まさにその通り。
東日本大震災を間近で経験したわたしは、あのような経験は2度としたくないと思いますが災害大国日本に住んでいる限りは対策しないといけないと感じます。
もう一つ感じたのは日本人の同調主義です。
皆と同じでなければダメとか、あいつは考え方が皆と違うからおかしいとか、そんなくだらない考えは排除したいと感じた。
子どもを育てる環境から改善していきたいと -
Posted by ブクログ
藻谷氏のデータに基づいた話に、養老氏がうなずきつつも、ところどころワンポイントで口をはさむような印象だったか。養老氏は、日本は大地震で御破算になった方がいいんじゃないか、という。でもそれってさぁ。内田氏が別の本で、維新とかグローバリスト系の人たちの目論見って、加速主義で破滅まで行こうとしている、みたいな話に近いものがあると思った。養老氏は話が面白いから、維新ほどに拒否感は感じていなかったんだけど、そういうところは、なんとも?なところ。
あと印象に残っているのは、補助金だ、生活支援だといって、お金を刷ってお金をばらまいても、収支でみると市中に出回っているお金はずっと少ないという。みんな貯金に -
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Posted by ブクログ
如何に自分の思慮が浅く、日々の様々なことに疑問を持つことなくやり過ごしているか思い知らされた。
景気をよくしよう!と言うのは、健康になろう!と言うようなもので、なぜ不健康なのかが分からないと対処のしようがない、その通りだと思った。
生産年齢人口の減少は日本の雇用や内需を維持させつつ同時に生産性も高めていけるチャンスだと説いていたが、企業が景気対策を政府任せにしない、困窮した高齢者へのセーフティネットワークを万全にすることで高齢者の退職を促し、その分を若い世代に回すなんて実際可能なのだろうか...
「寡欲都市 TOKYO」にあった“美しい縮小”とも重なるのかな? -
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自分だったら絶対手に取らないであろう本だけど、貰い物で読んで正解だった。
まさに『脳化』側の人間として本書で否定されてる経済学者が言ってるようなことを思っていたので、価値観がたびたび揺さぶられた。
ただの理論としての本ではなく、どれも実体験からの派生なので生きた意見として参考になる。
林業や漁業の話は真のサステナビリティについて考えさせられるし、学級崩壊の話はまさに多様性である。
しかし理念として叫ばれるものの、ホワイト化社会とも言われるように不快を最小化する方向に向かっていて、どんどん不快が許容できない人たちが増えている。
自分と異なる他者を受け入れることはまさに不快であり、理念としての多 -
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現在2023年4月末。先日、まもなく新型コロナが5類になることが正式決定されたとニュースで流れた。
この本に掲載されているインタビューや手記は2020年。コロナ禍がいよいよ始まり、おそらく世界中の誰もが、今まで非日常と思ってきたことを日常的なものとしなくてはならないという不安に覆われはじめてきた、そんな時期の発言だ。そのような意味では、更に数年後、コロナ禍を振り返るための格好の史料となりうると思った。
この本の中で多くの識者たちが言及していたと思うが、人間にとって一番厄介なのは、人間の心の中に生じる差別、偏見、批判なのだ。どのような状況下にあっても生じるこの心の動きに、私たちはどのように打ち勝 -
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お金の循環が全てを決するという前提の「マネー資本主義」に対して、身近にある資源活用に着目し、お金がなくても水・食料・燃料が手に入る仕組み「里山資本主義」を提唱する。NHKのドキュメンタリー番組を元に書かれた本で、発売から3か月で16万部が売れたとか。
発売されたは2013年。東日本大震災により、都市部での計画停電や物流の脆弱さ、原発への不安といった経験から、お金に頼らない安心安全なエコシステムを作る大切さを説く。当時は東日本大震災であったが、今はコロナや戦争、食糧難など、昨今の情勢に当てはめてもやはり里山資本主義はもっと注目されてしかるべきと思う。
本書で取り上げられていた指標が興味深かっ -
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藻谷浩介(1964年~)氏は、東大法学部卒、日本政策投資銀行勤務を経て、日本総合研究所主席研究員を務める、地域エコノミスト。
私は新書を含むノンフィクションを好んで読み、興味のある新刊はその時点で入手するようにしているが、今般、過去に評判になった新書で未読のものを、新・古書店でまとめて入手して読んでおり、本書はその中の一冊である。(本書は2011年の新書大賞第2位。累計販売部数50万部超)
私は、著者の本では、『世界まちかど地政学』(2018年)と『世界まちかど地政学NEXT』(2019年)をこれまでに読んでいるが、本書はもっと早く読んでおくべきであった。
本書は、タイトル通り、バブル崩壊後に -
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マネー資本主義が危機を迎えると、対抗運動がしばしば力を持つ。昔はそれが「共産主義」一択で、マルクスがその頃よく読まれたりするが、「里山資本主義」も含めて選択肢が増えているのは良いことだと思う。
2022年現在のような、国際情勢が不安定な時はエネルギーや食べ物を海外に頼るのはリスクが高い。それを国内にある使われてない「資源」=耕作放棄地、手付かずの山林、空き家などを活用していくのは共感できた。
里山資本主義はマネー資本主義を補完するサブシステムと紹介されている。しかしそれは資本主義を一度通すと、ただの里山への回帰に留まらず、一段洗練された姿(スマートシティのような)になるのかなと思い、将来主流に -
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資本主義とか政治とか年金とか
日頃なんとなく感じている「将来への不安」
そういったものに対して
新たな考え方「里山資本主義」
=コストや環境負荷を抑えた経済(物理的に持続的)
=手触りのある経済(精神的に持続的)
が必要ではないかと投げかけていると受け取った。
ここ数年でSDGsがCSRの枠組みを越えて、SDGs達成に貢献しなければ企業として傾くという水準までになっている。
そのようななか、個人的にはきっと本書のような生き方、経済がスタンダードとなる時代が来るのだろうと思うし、自分もそのような考え方にキャッチアップしていきたい。
確かに筆者は要するに「自然の中でで人との繋がりのある金銭消費 -
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鳥取県にある邑南町。高齢化率43%で主要産業は農業。
A級グルメの街。
筆者は邑南町の公務員の寺本英仁さんとの対談を通じて、地方の魅力や東京一極集中の怖さを説く。2020年秋頃の出版なので多少古い部分はありますが、東京一極集中の怖さは変わらないと思いました。疫病が発生したら逃げ場のない状況は特に映画の様なパンデミックを想像してしまいます。
邑南町については人口1万人あまりの街だからこそ、ひとの顔が見えてくる。
本作では日本のコロナ禍という事で日本全体を一括にすることに警告を鳴らす。地方の方が人口の制約もありコントロールしやすいのかもしれません。
また地方では医療崩壊が起きにくいことも、人の顔