Posted by ブクログ
2018年02月03日
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農林水産業の再生策を語ると、決まって「売れる商品作りをしろ」と言われる。付加価値の高い野菜を作って、高く売ることを求められる。もしくは大規模化をして、より効率よく、大量に生産することを求められる。そこから発想を転換すべきなのだ。これまで捨てられていたものを利用する。不必要な経費、つま...続きを読むりマイナスをプラスに変えることによる再建策もある。/
「息子やむすめたちに、努力に努力を重ねてふるさとを捨てさせるのは、もうやめにしたい。田舎に残った自分はだめだから、自分のようにならないで欲しいという自己否定は終わりにしたい。そうではない時代が、幕を開けつつあるのだから」/
今や、ペレットボイラーは、石油を上回るコストパフォーマンスを実現したという。/
林業の哲学は「利子で生活する」ということ/
「森林が一年間に成長する量の100%を利用することを目指しているのですよね?しかし、100%を超えてしまったら。つまり、伐採しすぎてしまったら、どうするのですか?」答えは明快だった。「そのような事態が起きてはならない。これを防ぐ最善の方法が、教育なのです。扱っても良い資源量がわかっていれば、資源を維持しようと努力しますから。私たちは、現在の森林の全体量が減ってしまうような伐採は行いません。どうするかというと、森が成長した分だけを切るのです」/
弁証法的思考を生んだのが、ドイツ語文化圏だ。そこに属するオーストリアで、マネー資本主義的な経済成長と同時に、里山資本主義的な自然エネルギーの利用が追及されていることは、むべなるかなと言える。/
人類社会学が専門の広井良典・千葉大学教授は、人類は「懐かしい未来」に向かっているのではないかと指摘した。/
人類は今、懐かしくありつつも、実は新しい未来を切り拓いている最中なのだという。/
人間の価値は、誰かに「あなたはかけがえのない人だ」と言ってもらえるかどうかで決まる。人との絆を回復することで、そして自分を生かしてくれる自然の恵みとのつながりを回復することで、ようやく「自分は自分でいいんだ、かけがえのない自分なんだ」ということを実感できる。そのとき初めて人は、心の底から子供が欲しいと思うようになる。自分にも子供がいていいのだと思えるようになる。なぜなら子供は、自分と同様に、そこにいるだけでかけがえのない存在だからだ。この自分の幸せを、生きている幸せを、子供にも味わって欲しいと心の底から思うとき、ようやく人は子供を持つ一歩が踏み出せる。/
男性の平均寿命が一番長いのは長野県だが、ここは高齢者一人当たりの医療費も全国最低水準だ。実際問題として医療費は、小さな病気をするくらいのことでは大して増えない。生きるか死ぬかギリギリな状態で入退院を繰り返すと跳ね上がるのだが、この県では戦後早くから、家庭にまで出向いて食生活など生活習慣の改善を指導し、大きな成人病を防ぐ「予防医療」が取り組まれてきた。加えて、長野県が日本有数の里山の県であるということも無視できないのではないかと筆者は思っている。/
自分が食べるために畑を耕す高齢者も、その分店で食材を買わなくなるわけだからGDPにはマイナスかもしれないが、土に触れて働くことで元気になり、余った野菜などをおすそ分けすることで回りとの絆が生まれ、というように、やはり金銭換算できない価値の循環がその周りに生まれる。/
2060年まで半世紀ある。50年という月日は時代が大きく変わるのに十分な時間だ。黒船来航騒動直後の1855年に、1905年に日本ロシアに戦争で勝つことをだれが予想しただろうか。泥沼の戦争に深入りしつつあった1940年に誰が平和な経済大国としてバブルを謳歌する1990の日本を想像できただろうか。工業化の進展の中で海も川も大気も汚染されていた1960年に、空気も澄み多摩川に鮎が遡上するようになった2010年の東京をだれが思い描いただろうか。/