あらすじ
「社会が高齢化するから日本は衰える」は誤っている! 原価0円からの経済再生、コミュニティ復活を果たし、安全保障と地域経済の自立をもたらす究極のバックアップシステムを、日本経済の新しい原理として示す!!
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これは複雑化、増加するアディクション問題への解にもなりうる気がする。
マネー資本主義を効率よく維持したメリトクラシーやネオ・リベラリズムがアディクションの下地であるとすれば、その社会構造からの脱却は、アディクションからの脱却をも意味するのではないか。
言葉にならないレベルでの「対話」が、こういった世界には存在する。その本質的な部分を深掘りしていきたいものだ。
リハックで取り上げてくれないかな。
Posted by ブクログ
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く
ちょっと題と内容が違うかな?という感想を最初持ちました。良い意味で期待を裏切られた内容です。
オーストラリアや広島の事例をひきながら、マネー資本主義の対立した概念として里山資本主義という言葉を使っています。それ以上に、対立概念であるマネー資本主義の補完システムとして里山資本主義を位置づけているところが、斬新です。
昔の暮らしをするというとコミューンとして厳しい規律を課してその主義を守るという方向になってしまいますが、本書では、最新テクノロジーを使って快適にかつエネルギーや食糧、水を自給して暮らすことを提案しています。
また、過疎や人口減少は、こういった試みを行う最も適した環境であるという主張は、イノベーションは壊すことからはじまりますが、その壊すというフェーズをスキップすることができるという意味で斬新です。
高度成長の昭和のマッチョな成長こそが幸せへの道という古い考え、既得権益、思い込みといったものをどのようにゆっくりと変えていくのかが大きな課題だと思っています。
できることからはじめる。それが、本書の教えです。
竹蔵
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筆者が唱える里山資本主義(金に依存しないサブシステムを構築しておき、金が乏しくなった際にも水・食料・燃料が常に手に入る仕組み)について理論と実践が書かれている。
オーストリアの山々は日本のものと同じような形態であり、そこでの自然を利用したエネルギー開発や技術は日本にとって勉強になるという話には驚いた。
Posted by ブクログ
里山資本主義 日本経済は「安心の原理」で動く
著:藻谷 浩介
著:NHK広島取材班
角川新書 D-67
ところとびとびになっているが、分かりやすかったです
本旨は、20世紀を象徴する、「マネー資本主義」に対して、過疎地から、あたらしいスマートな、「里山資本主義」を立ち上げようです
ふんだんに手にする木材がなぜ地域の豊さとつながっていないのか という問いから始まった
気になったのは、以下です
■里山資本主義の原資
1.木質バイオマス発電
中国地方の山間部から、里山資本主義は誕生した
①製材所でもてあましていた、木くずをつかって、「木質バイオマス発電」を行うこと
②製材所の電力を100%まかなう
③夜間は、その電力を電力会社に売電する
効果
②製材所電力 100,000,000
③売電 50,000,000
①廃材処分費 240,000,000
合計 390,000,000
2.木くずを加工
かんなくず、などを、直径6mm長さ20mm の木製ペレットを作成
ペレットボイラーを導入
⇒トマトのハウス栽培などの燃料節約に活用
3.CLTパネル 地震にもつよい、直角に張り合わせた合板
ヨーロッパでは認知がすすんでいるが、鉄筋コンクリート神話がある日本では、普及途上
■里山資本主義の先進国:オーストリア
・木の徹底利用で、経済の自立を目指す
・オイルショックや、フクシマなどで、石油、原子力は価格変動、リスクが高い
なんとなれば、木材をつかったエネルギー革命だ、打倒化石燃料
・背景には、自動車部品メーカーが集積する高度技術を有していること、つまり、技術に強い
・森林マイスター:森を持つなら、手入れをしっかり行わなければならない、それがオーストリア林業の哲学
・オーストリアは、脱原発を憲法に明記している国家である
■マネー資本主義vs里山資本主義
・20世紀の象徴である、マネー資本主義は、重厚長大産業を基盤として、莫大な投資、労働力の集約が必要な資本主義、このために、国家主導で、推進せざるをえなかった
・里山資本主義は、自己完結型の経済、地域復権の時代の象徴である
里山資本主義は、マネー資本主義に対立するものではなく、補完するものである
マネー資本主義にとなりに、サブシステムとして、里山資本主義も構築しておいたほうという感である
・里山資本主義は、マネー資本主義のアンチテーゼ
①貨幣換算できない物々交換の復権
②規模の利益への抵抗
③分業原理への異議申し立て
■グローバル経済からの奴隷解放
・過疎の島こそ、21世紀のフロンティアである
・1次産業へ帰着する若者、IT産業の倍以上である
・ニューノーマル消費:自分たちのための消費ではなく、人とのつながりのための消費
所有価値から使用価値へ
・オールドノーマル消費は、成長が是
・グローバル時代は、強い者しか生き残れないという、誤解
・耕作放棄地で、農業を行う
・スーパーなどでの野菜の購入ではなく、耕作放棄地で野菜を作れば、買う必要はない
・過疎を逆手にとる
■スマートシティ
・巨大発電所がもたらす膨大な電力を有する旧型の都市ではなく、町中や、近隣で作りだされる小口の電力を効率的に消費し、自立する21世紀型の新都市モデルを、スマートシティという
・都市:スマートシティ + 農村:里山資本主義 が、車の両輪となる
・天災に対応できるのは、里山資本主義
・マネー資本主義を運用しつつ、里山資本主義を、保険として、安心感として、準備する
・高齢化しているから日本はだめだと言う論理ではなく、里山資本主義で、非貨幣価値を拡大させることで吸収する
目次
はじめに 「里山資本主義」のススメ
第1章 世界経済の最先端、中国山地―原価ゼロ円からの経済再生、地域復活
第2章 二一世紀先進国はオーストリア―ユーロ危機と無縁だった国の秘密
中間総括 「里山資本主義」の極意―マネーに依存しないサブシステム
第3章 グローバル経済からの奴隷解放―費用と人手をかけた田舎の商売の成功
第4章 “無縁社会”の克服―福祉先進国も学ぶ“過疎の町”の知恵
第5章 「マッチョな二〇世紀」から「しなやかな二一世紀」へ―課題先進国を救う里山モデル
最終総括 「里山資本主義」で不安・不満・不信に訣別を―日本の本当の危機・少子化への解決策
おわりに 里山資本主義の爽やかな風が吹き抜ける、二〇六〇年の日本
あとがき
ISBN:9784041105122
。出版社:KADOKAWA
。判型:新書
。ページ数:312ページ
。定価:940円(本体)
2013年07月10日初版発行
2013年09月20日4版発行
Posted by ブクログ
十年前の本だが、今の社会にも通じるメッセージ溢れる内容だった。日本社会の解像度の低い、抽象的な話ではなく、マイクロな視点で、課題やそれに取り組む事例を掘り下げている。
地方移住の促進や、コロナによる価値観の再考もあって、図らずも里山資本主義者は増加しているように思われる。
Posted by ブクログ
220206
やはり自然が好きだ。この分野でお金を産むことができたらどれほど楽しいだろうかと妄想してしまう。オーストリアのような確立されたバイオマス文化を作れたら面白いだろうな。(エネルギー事業、エンターテイメント事業、キャンプ、教育、食…)飯能などを舞台にクラファンとかを使って事業を起こせないだろうかと考えてしまった。
オーストリアで林業を学ぶのもアリだよな。
里山資本主義とは地域内で完結するものは完結させようという運動。かつ開かれた地域主義。
マネーに依存しないサブシステムの構築。(自然×人間関係×テクノロジー)
筆者の主張は一貫して、お金に依存した社会から脱却して、食料・燃料・水を自ら調達してマネー資本主義と共存したしなやかな世界を生きようというものであった。そして後者の生き方を里山資本主義と呼び、さらにそこで職を生み出していることも含め、それを実現している人々の生活をオーストリアの例も交えながら具体的に解説していた。
今まで家庭菜園を通した食の安定的な確保や余り物を媒介にしたコミュニティづくりは学生時代に目にしてきたのでそこまで目新しさを感じなかったが、燃料を自らかつエコシステムで調達している事例は初めて出会ったので衝撃的だった。小さなまち単位でもいいから木質バイオマスエネルギーを普及させてみたいと思ってしまった。飯能でできないだろうか。
この世の中(マネー資本システム)はまれに災害やウイルスの蔓延、石油などの化石燃料の高騰などにより一時停止することがある。未曾有だとか、今までにないなどと言ってパニックになるのではなく、これを念頭に置いて暮らしていくと余計な不安を抱えずに生きることができるなと思った。里山を使いこなしていた先人から学び、今の社会システムに組み込んで柔軟な生き方をしていきたい。近くに親がいるなら子どもを任せてもいいし、近所の人に面倒を見てもらってもいいし、誘導しつつ状況に合わせて柔軟に生き方を変えていく。まずは家庭菜園からだなぁ。
■マネー資本主義のアンチテーゼの体現
1.物々交換(⇆貨幣を介した等価交換)
2.小規模経済(⇆規模の利益)
3.一事業者多事業(⇆分業の原理)
Posted by ブクログ
「人新世の資本論」に続いて、現代社会を大幅に見直すきっかけとなる本。
今までの金儲け中心で大量消費社会に疑問を持ち、多くの地方で後期高齢化の深刻さがジワジワと影響を広める中で1つの解決策として提案されているのが里山資本主義。
地方をネガティブなイメージで見るのではなく、これからの日本のイノベーションの最先端へと変える中心地としてこれから益々見直されて変革していくと思われる。
里山資本主義は環境面で優れているだけではなく、地域内でのお金の循環システム(ある意味これが脱成長コミュニズムの理想型なのか?)であり、コロナ禍において見直されるこれまでの社会のあり方に対して革新的な提言を示している。
ああ!早く田舎に移住したい!
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オーストリアのエネルギー自給やあえて国内の田舎暮らしを好んで充実した日々を送る若者…
自然の資源日目を向ければどこでも充実した日々を送れるという具体例を書いている
とても良い考え
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資本主義といえば、「より多く稼ぎ、より多く消費することで豊かになる」という成長志向の経済モデルが一般的だ。しかし、本書が提唱する「里山資本主義」は、その対極にある発想である。
例えば、岡山県真庭市の林業モデルが示すように、「支出を収入に変える」という視点を持つことで、新たな経済の形が生まれる。木材廃棄物を燃料に変え、外部エネルギーに頼らない地域経済を形成することで、世界のエネルギー価格変動に左右されない持続可能な仕組みを実現しているのだ。
この考え方は、単なる「スローライフ」の提案ではなく、マッチョな資本主義に対抗する「したたかな経済戦略」でもある。成長を追い求める資本主義と、地域資源を活かした持続可能な経済を両立させることで、本当の意味での「豊かさ」を築くことができるのではないだろうか。
地方力の活用ってことかな
一言で言ってしまえば、地方力の活用ってことかな、と思いました。
本書で取り上げられている個々の事例、オーストリアのCLTや真庭のバイオマス発電などは、テーマとして面白いです。地方には地方でしか成しえないイノベーションがあって、それをうまく使って生き延びていこうということですね。
別に「マネー資本主義との決別」って大上段に振りかざす必要はないと思うけど、これから人口が減少していく日本でかつてのような経済成長を夢見ることはできないのはまぎれもない事実なんですから。
Posted by ブクログ
当時、アベノミクス批判として話題になった一冊だと思う
バイオマス発電を主役になる、する必要など全くないと思うが、GDPに寄与しない経済システムが存在することは問題ないと思うし、サブシステムとして、と書かれている。
マネー資本主義のなかで地方再生などはないだろう。
全国一律とか平等とかいう発想を捨て、面倒ではあるが、
各地域にあったきめ細かな方策を立案する手間こそが地方再生の一手であるように思った。
Posted by ブクログ
里山資本主義。なんて良い響きだろう。
2013年の本であるが、情報と考え方は10年以上経った未だに行きている。
寧ろ、様々なSNSを通して情報共有が盛んになった今からが勝負なのではないだろうか。
もちろん、それらはデメリットもある。
情報だけが先行したり、間違った広まり方をしたり、一時的な流行り廃りに巻き込まれてしまったりなど様々に。
しかし、選択肢として拡がるべき考え方だとこの本を通して改めて思いました。
本の内容としても里山資本主義とは何かと丁寧に説明され、形式として掴みやすかったです。
けれど成功例ばかりが載ってしまっているため、鵜呑みにするのは怖いと感じました。
それと最終総括も急に政治色が強くなりよく分かりませんでした。
それまではとても面白く読み進めれたので、またいつか読み直しもするつもりです。
少し話が飛びますが、2000年から2010年頃に一次産業(主に農業)を生かしたい人たちの本がよく書かれ、売れている気がします。
これはバブル経済で疲れた人たちが、大人になって本という形で発表し始めたんじゃないかと個人的に思っています。
これからもどんどんこの風潮が広まっていくことを願います。
Posted by ブクログ
公私ともに山へよく入るので、山や森については関心を寄せている。
便利になった世の中だが、ひとたび何かが起こると、インフラは止まり、大混乱に陥る。
エネルギーを地方に頼っているからだ。
自分たちが使うエネルギーくらい、自分たちでまかなう。
そんなことができれば、日本は変わる。
里山には資源がたくさんあって、そんなヒントが眠っている。
Posted by ブクログ
田舎は衰退しているものというイメージがひっくり返された。田舎にも様々なビジネスチャンスがあり、田舎暮らしの方が都会で暮らすよりも幸せな暮らしができるかもしれないと感じた。しかし、様々な可能性に満ちているとはいえ、田舎暮らしのことをわざわざ「里山資本主義」と仰々しい名前をつけなくても良いのではないだろうか。「里山資本主義」なる新たな概念についての理論書ではなく、田舎暮らしの成功例を列挙している本だと思って読むことをおすすめする。
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資本主義の脆弱性に気づき、ガタが来ている日本を立て直す手段として、本来の日本の暮らしに還り、資本主義に振り回されるライフスタイルから主体的にコントロールできるスタイルに変化または資本主義の良いところとのハイブリッドできる生活に変容していくのが合理的で、豊かな暮らしにつながるのではないかというもの。自分がやりたいことの一部を現したもの。第一章だけ読み、物珍しいことは記されてないと思ったので、途中で切り上げ。
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地方での持続可能な生活スタイルに関する多くの現場の知見と、経済に関する知見を両輪としていて説得力がある。
また文章も凄い。論文調ではなく、ドキュメンタリーのナレーションを読んでいるような心地よさがある。その分だけ自然、健康、地方の人間社会といった要素を消化しやすくするような描写も多いため、素早く要点を読み解いていくには速読的な読み方が必要になるだろう。
文圧があり焚きつけるような熱意、強い主張を感じる。自分の重視する価値観に大半合致するため嫌味は感じないが、冷静に評価するためには意識的に一歩引いて全体像や自分の場合の実現可能性を検討する必要があると思う。
さて内容についてだが、自然と一体になる関係性や、自然・人・食との関係性から生じる心身の健康、直接的・積極的人間関係の見直しによる福祉の強化といった視点は私が普段から良しとする価値観であるが、これはやはり人の好みや向き不向きに大きく左右される。
資本主義に包摂され育った人間の、とりわけ持てるがため成功している側は、里山の魅力よりも資本主義的・都市的生活スタイルの方により満足感を得る傾向があって、本書でされる啓蒙を啓蒙と感じない。
里山資本主義の魅力や強みは、既存のマネー資本主義を完全否定はせず、スマートシティと里山資本主義の両立をむしろ推奨する点にある。
向き不向きや好みの差、人の性質の差はどうしても生じてしまうし、多様性重視の観点からもその差は残しておきたい。
スマートシティによってポジティブな人間性を取り戻すのも別途応援したい部分だ。
少なくとも現在、といっても本書から既に10年以上が経過してしまっているが、現在においてもまだマネー資本主義の比重はあまりにも大きい。
「新しい資本主義」として岸田政権が打ち出すのは投資立国であって、これは本書内で棄却されたアイデアの一つでしかない。
パンデミックは大きな意識の変化の種を植えたが、解決後まもなく生活スタイルは元に戻ってしまった。
ソロキャンプのブームも既に落ち着いてしまい、週末には都心の公園にテントを張っているのが多くみられる。
地方移住の例は調べれば多く出てくるが、既存の都市ー地方バランスを大きく変えるには至っていない。
日本人の意識やライフスタイルはじわじわと変化していくのだろうか。
少なくとも私は都会が性に合わず、今すぐにでも東京から脱出したい気持ちを10年以上にわたって持ち続けているが、結婚によってその実現可能性がほぼ潰されてしまっている。
自分の影響の輪の範囲で、可能な限り里山資本主義的ライフスタイルを増長できるように頭をひねり続け行動し続けようと思う。
Posted by ブクログ
日々、企業人としてマネー資本主義の中に生きているわけだが、環境問題に少子高齢化、最近は海外できな臭い話題も多く、それとあまりに遠い自身の活動に果たしてこれでいいのか、マネー資本主義のままじゃダメなんじゃないかと思う中で購読。
木屑によるバイオマス発電で地域に必要な分の電力を賄う、若者が移り住んで(都会と比べて)スローライフで自身を取り戻す…どれも素晴らしいし憧れる気持ちもある。が、独りならともかく家族、特に子どもがいて教育を考えるとなかなか手が届かない世界のように感じる。日本の処方箋としては弱い気がした。
Posted by ブクログ
お金の循環が全てを決するという前提の「マネー資本主義」に対して、身近にある資源活用に着目し、お金がなくても水・食料・燃料が手に入る仕組み「里山資本主義」を提唱する。NHKのドキュメンタリー番組を元に書かれた本で、発売から3か月で16万部が売れたとか。
発売されたは2013年。東日本大震災により、都市部での計画停電や物流の脆弱さ、原発への不安といった経験から、お金に頼らない安心安全なエコシステムを作る大切さを説く。当時は東日本大震災であったが、今はコロナや戦争、食糧難など、昨今の情勢に当てはめてもやはり里山資本主義はもっと注目されてしかるべきと思う。
本書で取り上げられていた指標が興味深かった。通常国単位で見る貿易収支を、地方自治体ごとに見る考え方だ。要は地方自治体の中でどれだけ自給できているか、域内で経済を循環できているか。結論としては石油・電気・ガスを買うために多くの金額を域外、ひいては国外に払っており、一番の赤字要因になっている。一方、地下資源に乏しくロシアといった国外からのエネルギーに依存しているオーストリアは、10年も前から危機感を持ってエネルギー自給への転換に取り組んでいるという例は、昨今の情勢を踏まえるとさらに興味深かった。10年前に例として紹介されていた取組や企業を検索しながら読み進めると、時間の経過によって導き出されたとりあえずの「答え」も見えて面白い。
自分自身も結婚を機に昨年東京から地方へ移住し、オットの実家の裏山から持ってきた木で薪ストーブを燃やすようになった。畑仕事を終えて、温泉で話しているおばあちゃんたちは本当に元気だなと思うし、東京では感じられなかった自然のありがたみや季節の移ろいを感じて、非常に充実感を得ている。東京にいたときよりも、断然里山資本主義に近い暮らしをしている点で、力を込めて本書を読んだ。続編も読んでみよう。
Posted by ブクログ
経済100年の常識
→たくさん稼いで、たくさんお金を遣う
都会はスマートシティへ
楽しくなければ定住してもらえない
→稼ぐのは都会に勝てない
林業で重要なこと
→森林が持続的に良好な状態であるようにする
→元手に手をつけず、利子で生活が理想
生きるのに必要なのは水と食料と燃料だけ
大切にすべきは人との絆、自然とのつながり
→一人一人がかけがけの無いもの
社会が高齢化するから日本は衰える、
という主張には賛同できない
→里山資本主義的な明るい高齢化
ーーー
初回読んだ時はまるで頭に入らなかったが
2回目でかなり掴めた
Posted by ブクログ
マネー資本主義が危機を迎えると、対抗運動がしばしば力を持つ。昔はそれが「共産主義」一択で、マルクスがその頃よく読まれたりするが、「里山資本主義」も含めて選択肢が増えているのは良いことだと思う。
2022年現在のような、国際情勢が不安定な時はエネルギーや食べ物を海外に頼るのはリスクが高い。それを国内にある使われてない「資源」=耕作放棄地、手付かずの山林、空き家などを活用していくのは共感できた。
里山資本主義はマネー資本主義を補完するサブシステムと紹介されている。しかしそれは資本主義を一度通すと、ただの里山への回帰に留まらず、一段洗練された姿(スマートシティのような)になるのかなと思い、将来主流になって行く可能性も感じた。否定の否定みたいに。
Posted by ブクログ
資本主義とか政治とか年金とか
日頃なんとなく感じている「将来への不安」
そういったものに対して
新たな考え方「里山資本主義」
=コストや環境負荷を抑えた経済(物理的に持続的)
=手触りのある経済(精神的に持続的)
が必要ではないかと投げかけていると受け取った。
ここ数年でSDGsがCSRの枠組みを越えて、SDGs達成に貢献しなければ企業として傾くという水準までになっている。
そのようななか、個人的にはきっと本書のような生き方、経済がスタンダードとなる時代が来るのだろうと思うし、自分もそのような考え方にキャッチアップしていきたい。
確かに筆者は要するに「自然の中でで人との繋がりのある金銭消費の少ない経済を拡大せよ」と言っており、読者としては
はいはい地方で農業林業やれって言うんでしょ
となりがちだ。
だが、実際にコロナで都市で働く意味を問われるなかで、果たして本当にどれだけ都市にいる意味があるのかは経験した人しかわからないのでは…と思う。
Posted by ブクログ
詰まっていた!積読から何年経ったろう2021年の今でも刺激を受けた。紹介されている現場の今を確かめたい、進んでいることだろう、コロナが水を差していることも心配になるが。
人の暮らしの根源を再生する里山資本主義には、少しの停滞はあっても心配はいらない底力があるだろう。
Posted by ブクログ
本の中で書かれていることについては概ね同意できる。特に日本に大量に生えている木材を有効活用するべきだという話にはとても共感する。
しかし、里山資本主義が資本主義のサブシステムとして機能するという話には首を傾げるし、都会の一個人を田舎に向かわせるインセンティブがあるとまではいかないよなと思った。
Posted by ブクログ
「里山資本主義」の言葉を初めて聞いたが、とても魅力的な考えだと思った。今の社会はお金が最優先になっているけど、能登半島や東日本の震災のように、いざという時お金はただの紙切れとなってなんの役にも立たない。しかし、里山暮らしでは食べ物やエネルギーを自分達で自給した暮らしが可能なので、災害があってもあまり影響を受けない。もちろんお金は大事だからある程度稼ぐ必要はあるけど、里山の恩恵も利用する。出来ないことはお金に頼り、自給できるものは自給する。この二刀流の生活が1番基盤が強くて良い生き方だと思いました。自分も今ベランダ菜園をしておりゆくゆく田舎暮らしをする予定なので、とても参考になりました。お金だけに頼る都市型の生活は脆く壊れやすいので、うまく自給する割合を楽しみながら増やしていきたいと思いました。
◎メモ
・お金を適度に稼ぐけど、畑で野菜を自給、田んぼで米を自給、ライフラインを自給できると二刀流が1番強い生き方だ。
・たくさん働いてお金を稼いだとしても、時間がなくなり外食や家事代行など必要のないお金を使う必要が出てくる。そしてさらに稼ぐ必要が出るといったお金のループにハマり、本質的に自立した基盤の強い生き方と言えない。
・自分で薪で煮炊きし、ソーラーパネルで電気を自給し、食べ物も畑や田んぼで自給する。この生活ができたら、災害が起きたり物流が止まっても生きていける。お金ばかりに頼る生活は、いざとなったら脆い生き方だ。災害に遭ったときにお金なんてなんの役にも立たないが、水や食料は生きていく糧になる。
・エネルギーを外部に頼りすぎると、いざという時に弱い。
・里山資本主義は、マネーだけに依存しない生き方。自然の恵みを最大限生活に活かすことで、お金を使う割合を減らせるし、自分達で生活を作っていく楽しさを感じれる。
・お金は出来ないことを得たり達成するための交換ツールでしかない。自分達で出来るものは、自分達で自給する。
・山をエネルギー源にしたら、無尽蔵にエネルギーを得ることができる。
Posted by ブクログ
お金のいらない生活。田舎の田んぼや畑で食べ物を自給自足。廃材を利用して発電。収穫した作物を地域の人々でシェア・物々交換。原価ゼロの暮らし。お金に換算できない価値。
Posted by ブクログ
率直に、理想論すぎると感じた。田舎の良いところだけに目を向ける田舎礼賛のきらいを感じた。マネー資本主義のサブシステムとしての里山資本主義を掲げながら、途中でマネー資本主義の上での日本の未来を語り、主題がよくわからなかった。経済換算できない価値を大事にするという意味では賛同できる考えであったが、マネー資本主義を知らないとこのシステムの妥当性は判断できないと感じた。これはタンザニアの彼がいうシステムからの脱却とほぼ同義だと思う。結局のところ個々人が何に幸せを感じるかであり、里山資本主義が正しいというのは、お金で物を買うことに幸せを感じる人の主義を否定し、彼らの生きるところを奪うことになると感じた。マネー資本主義で発展してきた以上、里山資本主義はサブシステムでしかないと感じた。
Posted by ブクログ
斉藤幸平「人新世の資本論」を読んだ流れで、この本を読んだことを思い出す。当時とにかく就職をする前で、関東から旅行以外で出たことのなかった自分がしばらく島根に滞在する機会もあり、田舎の人、食、風景の中に生きる豊かさ、美しさに打たれた。そこから翻ってみると東京の資本主義経済という不健康な巨大歯車の中、イチから下っ端としてお願いしてまで入れてもらって、わざわざ働きたくもない。この先明るい未来があるとも思えない。オルタナティブがあり得ないのだろうかという希望を持って手に取った本だった。
ところどころに光が差すこともないではないのだが、最後まで読み進めた結果は、「メインは今まで通り以外あり得ないから、まあ他の選択肢は予備電源程度に備えとこうよ」という大人なところに落ち着いていて、現実はまぁそうだよな、という諦め混じりの納得と、途中で見えたあの希望の光は何だったんだ、というやるせなさで読み終えた。→「人新世の資本論」に続く。
Posted by ブクログ
「域際収支」というものを都道府県別に示したグラフである。域際収支とは、商品やサービスを地域外に売って得た金額と、逆に外から購入した金額の差を示した数字。一目瞭然である。東京や大阪など、大都市圏が軒並みプラスなのに対し、高知や奈良など農漁村を多く抱える県は、流出額が巨大である。
今度は、域際収支が最下位の高知県を品目別にどれが赤字でどれが黒字かをみたもの。いわば、お金の流れを健康診断した結果だ。農業や漁業、林業など一次産業が黒字でとっても健康的であるのに対し、電子部品を部門。そして、意外なのが、飲食料品が赤字となっていることだ。