藻谷浩介のレビュー一覧
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哲学者の萱野稔人氏が金融緩和策に批判的な三人の専門家(藻谷浩介氏、河野龍太郎氏、小野善康氏)と対話形式でのインタビュー内容を文字に起こしたものである。
3人の中でも小野氏の内容が興味深かった。
小野氏の論理展開の大前提は、「お金が究極の欲望の対象になる」ということ。成熟社会では、モノがあふれていて、モノへの欲求がお金への欲求より低くなってしまったとする。
「成熟社会になってもまだまだ人びとにはほしいモノがある」との反論に対しては、
「もっているお金をつぎ込んで、ほしいモノを次々に買うのかと聞いてみると、大概の場合、返ってくる答えはこうです。『いや、お金がもったいないから買わない』
この言葉こ -
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デフレの正体を、「団塊世代の一次退職→彼らの年収の減少→彼らの消費の減退→内需対応産業の一層の供給過剰感→内需対応産業の商品・サービスの値崩れ→内需対応産業の採算悪化→内需対応産業の採用抑制・人件費抑制→内需の一層の減退という国内経済縮小の流れが渦を巻いているのです」と説明している。
社会学部出身の自分としては、著者の主張のように、人口構成の変化に気がつけなかったことが恥ずかしい。
本書で残念なのは、著者は貧困者の救済も必要としながら、そのあたりの記述は迫力がないというか、貧困の現場で起きていること(湯浅氏や堤氏が著す貧困の実態)を理解していないような気がした。日本政策投資銀行勤務だから仕方が -
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ベルファスト 20世紀初頭 タイタニック造船
造船や航空機産業の拠点
暗記勉強ばかりしていた日本の知識人に不足しているのは、知識というテキスト情報ではなく、類推を通じて情報の縱橫に串を指し、全体の構造を把握する訓練です
歴史は繰り返すと言うのは、まったく同じことが繰り返されるということではなく、同じ構造がくり返し再現されるということです。過去の出来事から構造を理解すれば、未来の出来事も予測できるわけです
文化は辺境に残ると言われる
台湾新幹線 2時間弱 5500 ビジネス 8100
新幹線なら10,000 15,000
NY-DC 3時間以上かかって二等でも3万
日本人が、日本の優れ -
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2013年刊行の少し古い本。三人の著名エコノミストがアベノミクスの掲げる金融緩和を真っ向から否定し、その危険性を解く。
自分の理解できる範囲で、何で金融緩和が意味がないかという理由は2点)。
1.日本は人口オーナス期(現役世代が減少して高齢化社会)に入っていて、人口が減っていくところに需要は生じないというもの。需要のないところにお金をジャブジャブ注ぎ込んでもその効果は?
2.人は豊かになっていくとモノではなくお金の所有願望が強くなっていくというもの。ものが溢れている日本にお金をジャブジャブ注ぎ込んでも実際にお金がモノに変わるのか?
2番目については思いあたる節もあり目から鱗。ミニマミスト思考と -
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ネタバレやらなきゃならないことはかなりはっきりしているんだけどどうやったらできるのかがわからなくてうんうんいう、という感じ。
竹富島のポイントカード・ファンクラブは離島だからできる部分がある。顧客のデータ、オープンビッグデータの使用は多少のセンスが必要かなあ。和倉温泉の一旅館だけという話はよく分かる気がする。直販の時に旅館組合って使えるのかなあ。個人単位でやるほうがまだありそうな。
スイートルームの数が足りない話、2020使って何とかするのか。サービスが問題になりそう。日本の私鉄JR共有パス問題は長期戦かな。
ガイドになるのかなあ。うーん。 -
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<目次>
第1章 「商店街」は起業家精神を取り戻せるか~新雅史
第2章 「限界集落」と効率化の罠~山下祐介
第3章 「観光地」は脱・B級志向で強くなる~山田桂一郎
第4章 「農業」再生の鍵は技能にあり~神門善久
第5章 「医療」は激増する高齢者に対応できるか~村上智彦
第6章 「赤字鉄道」はなぜ廃止してはいけないか~宇都宮浄人
第7章 「ユーカリが丘」の奇跡~嶋田哲夫
<内容>
『デフレの正体』『里山資本主義』を書いた藻谷浩介さんの2013年の対談集(「新潮45」)。7人のその道の泰斗とその専門分野で高度成長を終えた日本の将来について忌憚なく語る。問題点がえぐり出されているが、 -
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氷見の寒ブリ、越前ガニ、秋田へしょっつる鍋とか、旬のもの食べに行くぞ!
というのがこの冬の旅のテーマだった。
なぜ、わざわざ遠くまで行って、それを食べに行こうと思うのか。
地元食材がブランディングされているからだ。
その努力を地元がしているからだ。
一方、廃れる観光地というのは、人が来ない。
もっと宣伝が足りないからだ、うちには見所がないからだ、とプロモーションに頼ろうとして努力することをしない。
そういった古いマインドがこびりついている。
日本の観光にはビジョンがなく、戦略がない。
せっかく頑張っていても地元政治の影響が大きくてやる気をなくしてしまう。
東京、京 -
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僕はかつては「観光立国なんて胡散臭い」と思っていた。しかし、藻谷氏の『デフレの正体』を読み、「人口減少で内需が縮小する日本においては、訪日外国人をいかに増やすかが重要」ということを知った。
そのうえで、『観光立国の正体』。
この本では、観光産業は単なるサービス業でなく、地域全体の「総合力」が問われる産業なのだと知った。
・資本や経営だけでなく、多少コストが高くついても必要な資材はできるだけ地元で調達し、住民がいお互いに支えあう。
↑こういう考えはとても大事だと思った。「少しでも安く」という考えしか頭になく、例えば外部から安い食材を仕入れているようでは、地域が潤う観光業にはならない。
また、 -
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<目次>
はじめに 観光業界の「ルパン」
(1)観光立国のあるべき姿 (山田桂一郎)
第1章 ロールモデルとしての観光立国のスイス
第2章 地域全体の価値向上を目指せ
第3章 観光地を再生する~弟子屈町、飛騨市古川、富山県の実例から
第4章 観光地再生の処方箋
(2)「観光立国」の裏側(対談:藻谷浩介×山田桂一郎)
第5章 エゴと利害が地域をダメにする
第6章 「本当の金持ち」は日本に来られない
第7章 「おもてなし」は日本人の都合の押し付けである
おわりに
<内容>
経済が縮小していきつつあるなか、「観光立国」を謳う日本だが、どうもうまくいっていないようだ。「里山資本主義」 -
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本書が述べたいことは、大きく2点。
①各地域はマーケットインの発想で観光施策を立案、実行せよ。決してプロダクトアウトでは考えるな。
②その際の実行部隊は、①を実行することができる新しい観光推進団体が良い。地域の古参のメンバーが跋扈する組織では難しい。
山田氏は、スイス在住でスイスの観光施策に詳しく、地域ボトムアップ型の施策を進められている現状を紹介しつつ、そうした方法を日本にも根付かせていくため、各地で実践している。スイスでは、地理的な制約が大きいこと、歴史的な背景が根深いことから、地域ボトムアップ型がうまくいってるとのこと。日本でも可能だと考え、現在各地で観光アドバイザーをしている。藻谷さ -
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先日、小菅村でご講演を聴かせて頂いた藻谷浩介さんの新刊『和の国富論』(新潮社)を拝読。
講演会終了後に著書サイン会となり思わず1冊購入。さすが藻谷さん、商売上手(笑)一言二言でしたが、小菅村の林業について会話させて頂きました。全国を廻られ各地の先進的な林業を見聞きして来られた藻谷さんからもっと林業についてお聞きしたかったが独り占めできず我慢。
本は6名の方々との対談集です。
その6名のお話から日本経済を再生させる6カ条。
1)企業統治は「ガバナンス強化」より「家業化」せよ
2)農林漁業は「効率化」より「需要高度化」せよ
3)地方創生は「雇用」よりも「営業生活圏」の確保で
4)リーダーは「進学 -
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ネタバレこれからの日本を予想する。
和の国富論というタイトルはこの本の良さを表しているような表せていないような…
アダムスミスの国富論の、「自由競争こそが経済成長と完全雇用に導く」という側面だけが強調されるが、その前提として、「市場の参加者に、他者に同感する能力と、自己の感情や行為を他人の目で見て帰省する習慣が求められる」ことも指摘されていた。
その共感力をベースにした国作り、経済の維持は日本独自のやり方が近いとこにいるのではないか。
それぞれの分野で一家言を持つ、6人の実践家と藻谷氏の対談集。藻谷氏がエコノミスト、アナライザーとして本を書くだけでなく、こういった形で「実際の経済はどう動