清水義範のレビュー一覧
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「日常のほとんどは要点だけを短く言えば用が足りる。人々は付け加えても全く意味が深まらない無用の言をだらだらと口にして、かえって本意を濁らせる。書物の中のほとんどの文章は無用の飾り。意味あるものはむこうから目に飛び込んでくるもの。」うつけと言われた信長幼少期の言である。人質時代の徳川家康にかけた言葉も凄い。「自分の力ではどうにもならず我慢をするしかない時がある。我慢をし抜いてみせることを誇りとせよ。」合戦の巧みさに加え、世界を見据える視野の広さを持ち、世の中を面白くすることの重要性を知っていた信長。領土を広げ着々と力を蓄えていく前半世が活き活きと描かれている。久しぶりに血湧き肉踊った。信長という
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言葉の面白い話を思いつくままに書いたら一冊の本になりました。あとがきはそんな言葉で始まっていた。え、これのどこが面白い話なの?と驚くままに発行年を調べたら1990年。これを見ると、時代とともに我々の感性が変化していることが顕著だ。言葉のおもしろさとはこんな揚げ足取りの屁理屈の中にはない。もっと言葉特有の、本質的な部分に迫ってほしかった。ただの駄洒落が冗長になっただけ。長ったらしい、大したオチの用意されていない落語を聞かされた気分だ。そして何より口説い。しかし、解説のたった2ページに書かれた宮部みゆきの散文がやばい。この本はこの2ページにこそ最も大きな価値がある。この2ページだけで、星プラス1。
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Posted by ブクログ
ネタバレある猟奇殺人事件のあらましを、
(犯罪記録)(週刊誌報道)(手記)(取材記録)(手紙)(供述調書)
といったさまざまな表現で読者に「読ませる」。
というのも前提が、あるひとりの記憶喪失の男が治療として「読まされる」からである。
文体を駆使しているのはわかるのだけれど、
どうしても章ごとに同じ意味合いのことが続くのはとても疲れる。
その割の落としどころというか、結局は最後まで「迷宮」でした、みたいなのは、
個人的には合わないか。
『微笑む人(実業之日本社)/貫井徳郎』と読後感が似ている。
ミステリ :☆☆
ストーリー :☆☆☆
人物 :☆☆☆☆
文章 :☆☆☆☆