清水義範のレビュー一覧
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「文体模写=パスティーシュ文学を確立する」とある。しかし、古来から本歌取りは日本文学の伝統。そして先立つ小林信彦の「発語訓練」(1983年)のほうが文体模写の嚆矢と思う。唐獅子シリーズの「唐獅子源氏物語」(s57年)は源氏物語の文体模写である。
蕎麦ときしめん」の前書きで、清水氏ではないという設定の別の東京人の名古屋文化(誤)理解を紹介という構図は、先立つ小林信彦の、アメリカ人のフラナガンという架空人物の日本野球文化(誤)理解の紹介というのと同じ構図である。偶然の一致であろうか。
著者でない人物の日本文化論というのは、イザヤベンダサン著山本七平訳という「日本人とユダヤ人」が嚆矢であろうか。今で -
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「国語入試問題必勝法」
タイトルに騙された気分w
兄がまさしく主人公と同タイプの、国語だけ苦手な人間だったので、受験の時これ知ってたら有難がったかもな~と思いながら読んでた。
だってやたら説得力あるんだよなあ、この解法。是非試してみたくなっちゃう。笑
「靄の中の終章」
収録作品中、いちばん印象に残った。
認知症の方の思考・心境って、まさしくこんな感じなんじゃないだろうか!?Σ(゚艸゚;)
人間としての尊厳が揺らぐ時って、きっとこんな風にうろたえるものなんだろうな…。
やたらハッキリ思い出すのが昔のこと、それも愛する奥様のことや自分をイジメた相手のこと~っていうのも、なかなかリアルだった。
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「清水義範」による長篇時代小説『ifの幕末(『幕末裏返史』を改題)』を読みました。
「池波正太郎」の『人斬り半次郎 幕末編』、『新装版 幕末新選組』に続き、幕末を舞台にした作品です… 「清水義範」作品は、6年前に読んだ新解釈世界史エンターテインメント作品『シミズ式目からウロコの世界史物語』以来なので久しぶりですね。
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十九世紀半ば、ゴールド・ラッシュに沸くアメリカに、周囲の男たちから浮いた優雅な身なりの青年が。
金鉱を見物に来たフランス人の「シオン」は、帰国する船賃稼ぎ中の「ジョン万次郎」と出会い、日本への興味を深める。
数年後、「シオン」はオ -
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古事記から現代文学までの日本文学史の流れと、変容しながらも日本文化の根底にある価値観みたいなものの理解を深められた。
古事記の美しさと醜さを同格に論じるところ、源氏物語の短歌と敬語が頻繁に用いられるところ、枕草子や方丈記や平家物語などの滅びの美さ、奥の細道の陰を醸し出す紀行文学。
日本はやはり、奥ゆかしさの美学があるのだと感じる。美しさは「生きるために必要なもの(福岡伸一)」であると考えると、奥ゆかしさがないと生きることができない国民性を日本人は身につけている。つまりは日本人の礼儀正しさや集団主義だ。
そのような感性が仕上がったのは、封建制度や貴族文化など人間の手によってつくられるもの以 -
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清水義範の面白エッセイ『もっとどうころんでも社会科』を読みました。
清水義範の作品は昨年10月に読んだ『映画でボクが勉強したこと』以来ですね。
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“活きた社会科”をお勉強する面白エッセイ。
日本人はどうして土地に執着してしまうのか?
その答えは大化の改新と班田収授(はんでんしゅうじゅ)の法にあった!?
では、お金って何?
家族って何?
社会科は人間の生活の積み重ねなのだから、ホントは身近で面白い!
本文とまったく無関係なようでいて、深いところで社会科の真髄を描くサイバラ漫画もますます絶好調!
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