清水義範のレビュー一覧
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これは面白い。
日本語についてのエッセイで中身はかなり濃いのだが、この作者にかかると、笑ひながら考へさせられるといふ、奇妙な經驗をすることができる。
私は通勤電車の車内で讀んでゐたのだが、笑ひを堪へるのに往生した。
聲はなんとか出さずに濟んだが、横隔膜や腹筋の小刻みな振動を押さへることは不可能であつた。
第?室から第?室までの6部構成となつているが、その第?室。
「ヘンナ語みつけ」と題されてゐて、街で見つけたおかしな日本語が集められてゐる。
たとへば、
「シロアリ・ゴキブリ・ダニ・ねずみ等の相談を受けてをります」
私の頭の中では、殺蟲劑による被害に困つたゴキブリやねずみが相談を持ち掛けてゐる映像がイメージされてしまつた。
「このままでは我々は全滅だ、どうしたものか」
「さうだ、こないだ貼り紙があつたぞ、あそこで相談してみやう」
なんて・・・。
2003年11月19日讀了
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Posted by ブクログ
ネタバレ☆3.5かな。
全体的には面白いが、きつい部分がいくつかあった感じだった。
週刊誌、知り合いからの情報、手記、ルポルタージュと色々な媒体で犯人である井口克己や被害者である真奈美を少しずつ情報が出てきて、少しずつ猟奇的殺人の内容が見えてくるのが面白かった。例えば、最初は真奈美が一方的に勝手に殺されたと想像できるけど、最初に近づいたのは真奈美の方だったみたいなそういうどんでん返しみたいなのも少しあって、ミステリーとしては面白かった。
その少しずつ知っていく描写は良かったのだが、主人公の謎の人。正体はラストまで明かされず、実は井口克己であり、少しずつ思い出していく展開なのだが、いかんせん、ほとんどこの小説ではルポルタージュなど、文章を読んでいるだけで、あまり印象がないというのが第一印象。ラストの自分の記憶を完全に取り戻していたことを明かし、笑う場面で終わるのももう少し先を見せてくれって思った。それで終わり?みたいな印象を受けた。
あと、この小説の内容が猟奇的殺人の真相を追っていくなだけに気持ち悪い場面や文章があったりと嫌な気持ちになるところもある。自分はタイトルと表示だけでこの小説を買ったから、尚更、きつかった。
最後にこの小説の一番好きな場面は何日目か忘れたけど、井口克己が文章を読み終わり、頭を掻きむしるという場面。なぜ、ここなのかというと、今まではこの人は実は井口克己なんじゃないかっていう疑惑だったけど、この場面から読み手の井口克己なのではないかという考察が確信になる場面だから。
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Posted by ブクログ
「文体模写=パスティーシュ文学を確立する」とある。しかし、古来から本歌取りは日本文学の伝統。そして先立つ小林信彦の「発語訓練」(1983年)のほうが文体模写の嚆矢と思う。唐獅子シリーズの「唐獅子源氏物語」(s57年)は源氏物語の文体模写である。
蕎麦ときしめん」の前書きで、清水氏ではないという設定の別の東京人の名古屋文化(誤)理解を紹介という構図は、先立つ小林信彦の、アメリカ人のフラナガンという架空人物の日本野球文化(誤)理解の紹介というのと同じ構図である。偶然の一致であろうか。
著者でない人物の日本文化論というのは、イザヤベンダサン著山本七平訳という「日本人とユダヤ人」が嚆矢であろうか。今では真著者は山本氏と判明している。
清水義範氏にはパスティーシュ完成者としてそれなりの世界があり評価するが、パスティーシュ世界で小林信彦の存在も忘れてはならないと思う。 -
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「国語入試問題必勝法」
タイトルに騙された気分w
兄がまさしく主人公と同タイプの、国語だけ苦手な人間だったので、受験の時これ知ってたら有難がったかもな~と思いながら読んでた。
だってやたら説得力あるんだよなあ、この解法。是非試してみたくなっちゃう。笑
「靄の中の終章」
収録作品中、いちばん印象に残った。
認知症の方の思考・心境って、まさしくこんな感じなんじゃないだろうか!?Σ(゚艸゚;)
人間としての尊厳が揺らぐ時って、きっとこんな風にうろたえるものなんだろうな…。
やたらハッキリ思い出すのが昔のこと、それも愛する奥様のことや自分をイジメた相手のこと~っていうのも、なかなかリアルだった。
「人間の風景」
いやー、笑った笑った。ヾ(^∀^〃)
素人がリレー小説を書いたら、こんなに盛大に事故るのかとw
小説を書けるって、本当に凄いことなんだなと改めて思い知ったよ。 -
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「清水義範」による長篇時代小説『ifの幕末(『幕末裏返史』を改題)』を読みました。
「池波正太郎」の『人斬り半次郎 幕末編』、『新装版 幕末新選組』に続き、幕末を舞台にした作品です… 「清水義範」作品は、6年前に読んだ新解釈世界史エンターテインメント作品『シミズ式目からウロコの世界史物語』以来なので久しぶりですね。
-----story-------------
十九世紀半ば、ゴールド・ラッシュに沸くアメリカに、周囲の男たちから浮いた優雅な身なりの青年が。
金鉱を見物に来たフランス人の「シオン」は、帰国する船賃稼ぎ中の「ジョン万次郎」と出会い、日本への興味を深める。
数年後、「シオン」はオランダ人と偽って開国目前の長崎へ。
美しい顔立ちと行動力を武器に、幕府の大物たちに接近し、ついには―。
歴史の隙間に“もしも”を巧みにちりばめた傑作長編。
(解説/「金原瑞人」)
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「もし、幕末の日本に、日本をこよなく愛する異国人が居たならば」という、仮定で描かれた物語… 史実に忠実な部分と、創作(虚構)部分との虚実入り混じった展開、、、
幕末史に詳しくない私にとっては、史実なのか、虚構なのか、よくわからない部分もありましたね… でも、それを含めてフィクションとして愉しめました。
ある美貌のフランス人が、日本の幕末史を変えた!? 大の日本贔屓のフランス人「アナトール・シオン」… 日本語を学び、国禁を犯して海を越え、憧れの日本にやってきた、、、
時は幕末、開国前夜… 「ジョン万次郎」、「勝海舟」、「坂本龍馬」、「西郷隆盛」、「近藤勇」、「孝明天皇」、「徳川慶喜」など大物たちと交流を深め、「シオン」は「愛する日本」のため、幕府の知恵袋となる。
昼は盛装して天皇に拝謁、夜は頭巾を被って尊王の志士を助けたり、不平等条約を結ぶところだった幕府を救ったり、遣米使節団に随行したり と大活躍… その働きが運命の歯車に不思議に作用し、ついに日本の歴史が「ひっくり返る」瞬間が、、、
生麦事件、池田家事件、桜田門外の変、「吉田松陰」の死の顛末、新撰組、公武合体、無血開城等の史実を巧く織り込んでありましたね… 幕末史をよく知っていると、もっともっと愉しめたんでしょうけどね、ちょーっと知識不足でしたね。 -
Posted by ブクログ
古事記から現代文学までの日本文学史の流れと、変容しながらも日本文化の根底にある価値観みたいなものの理解を深められた。
古事記の美しさと醜さを同格に論じるところ、源氏物語の短歌と敬語が頻繁に用いられるところ、枕草子や方丈記や平家物語などの滅びの美さ、奥の細道の陰を醸し出す紀行文学。
日本はやはり、奥ゆかしさの美学があるのだと感じる。美しさは「生きるために必要なもの(福岡伸一)」であると考えると、奥ゆかしさがないと生きることができない国民性を日本人は身につけている。つまりは日本人の礼儀正しさや集団主義だ。
そのような感性が仕上がったのは、封建制度や貴族文化など人間の手によってつくられるもの以上に、どうしても太刀打ちできない大自然がどの時代にもあったからではないか。
文学がこの感性の形成にさほど影響を及ぼしているとは思えないのだが、その時代性を表した文学からは日本文化の成熟のプロセスを垣間見ることができる。
これからも文を書く人・読む人が途絶えない限り、文学の価値はあり続けるだろう。未来に継続できるように平和な世界であってほしい。
流れが掴めればよかったので各文学作品の内容は読み飛ばしてしまったが、いつか有名どころはそのよさを噛み締められたらいいな。