清水義範のレビュー一覧
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40代初めの売れっ子コピーライター、野田敦。
彼の恋人は、妖艶な女優、新庄百合子。
恋人の愛が冷めていく中で、野田の日本語がおかしくなっていく。
そこらへんの仕掛けが、ああ、清水義範さんだな、と思わされる。
野田はSHK(この後に決して48とかはつかない。「敷島放送協会」の略なんだそうだ)の放送用語委員でもあるという設定で、そこで日本語に関するいろいろな問題が出て来る。
ちょっとお勉強本みたいになるけれど、これはこれで興味深い。
縦書き文書での数字の書き方はどうするべきか。
外国の地名は現在、現地音に近い呼び方をするのに、中国の地名だけは日本語読みしているのは改めるべきなのか。
差別語や、そ -
Posted by ブクログ
写真あり、コンパクトな歴史著述がある旅行記。無味感想なガイドブックに食傷気味な人には、ピッタリ!
定着したイギリス料理のモノ足りない味の体験談を見て、やはりフィッシュ&チップスしかないのかと思う。
旅行行程は、イギリスの見どころを全て回るツアーは、働いている間は、無理だろう。しかし、独特な文化を体験するために、いつかは行ってみたいなぁイギリスと思う作品。
1つお願いしたかったのは、サビルロードでスーツを仕立て、その体験談が欲しかったというのは、リーマンのヒガミになるのかな。
国家の問題だと思うのですが、旅行者が、イギリス以外のワインを飲まざるをえない物価の高さを、何とかすべきでは? -
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Posted by ブクログ
ネタバレ清水義範と西原理恵子による,お勉強エッセイシリーズのひとつ。シリーズ7作目にして最後の作品である。この作品のテーマは,「ほとんど枠組なしの,こんなことも勉強だよね」というもの。このシリーズは,清水義範らしい,ひねくれた目線がないので,よくも悪くも優等生のような仕上がりになっている。ほどよく知的好奇心をくすぐる話が多いのだが,聖書の話やら,奴隷の話やら,天使の話やら…やや興味を持ちにくい題材も多い。清水義範作品の中では中の下…あるいは下の上程度のできか。ぎりぎり★3で。
個々の作品の所感は以下のとおり
○ 文明の自己紹介(歴史の話)
テーマは世界史。学生が学ぶ世界史は,中国史とヨーロッパ -
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清水義範さんといえば、パスティーシュ小説。
第一人者にして、その後続く人はいないのではないかと思われる。
その、パスティーシュという手法への自負が書かれた本だった。
「ユーモア小説」と言われてもいいけど、「パロディ」と呼ばれるのは抵抗があるようだ。
つまり、批判や批評したいのではなく、毒がなく、あの名作、この文章ってこういうことかと、すとんと腹に落ちる作品を書きたかったと。
う~ん、ご本人は嫌がりそうだけど、やっぱり清水さんって教育的なひとだなあ、と思う。
セルバンテスの「続ドン・キホーテ」が、別人による「偽ドン・キホーテ」を取り込んで展開した話は、強烈な印象に残る。
そんな面白いことがあ -
Posted by ブクログ
ライトノベル風に、運の異常に悪い男の話として始まる小説。中盤までは、ほとんどが会話で進むため、情景の記述がないのだが、登場人物が限られている上に、漫画的に極端なキャラクター設定にされているため、なかなか小気味良く読める。
会話でない普通の文章に「やべー」なんていう言葉を使うのは、いかがなものかとは思うが。
中盤で、主人公が動けなくなったあたりで、突如として会話中心のストーリーが、情景と作者の言いたい話(一般的な話)に切り替わってゆく。作者の心変わりがあったのかもしれないが、明らかに違和感のある展開具合なので、面食らう。
あとがきに「さくさく読める青春小説」とあり、そのとおりだとは思うもの