清水義範のレビュー一覧

  • 八つの顔を持つ男

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    人間生きていくためには幾つもの顔を持たねばならない。裏表どころではない。ということで正幸の姿に何ら違和感を覚えなかった。ちょっと笑っちゃったけどね。
    あらすじ(背表紙より)
    都内の出版社に勤務する松本正幸、五十歳。妻と一男一女のごく平凡な家庭を営む。―彼は田舎に住む年老いた両親の行く末を案じ、また浪人中の息子の進路で悩む父親でもある。そしてまた、地域住民との親睦を図りつつ、部下の女性と秘かに不倫を愉しむ顔も持つ。様々な「顔」を持つ男の実体は…?「企業」「恋愛」「家族」小説としても味わえる奇妙な連作長編。

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    2017年07月21日
  • 考えすぎた人―お笑い哲学者列伝―

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    生産した物は、その場にいる人間が等しく分けあうのが共産主義。しかし、大国が共産党一党独裁政治をすると、必ず官僚による利権の独り占めが生じ、公平な配分は行われない。不満を抑え込むため秘密警察が作られ逆らう者は弾圧される。マルクス唱えた理想と夢は、欲にまみれた人間には実現不可能であった。ソクラテス、プラトン、アリストテレス、デカルト、ルソーなど世界の名だたる哲学者を、とびきりのユーモアで面白おかしく紹介する。笑いながら哲学の断片をも齧ることができる。一粒で二度美味しいお得な作品だ。

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    2017年06月10日
  • 間違いだらけのビール選び

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    統一感なく、な短編集。

    落ちがあるような、ないような
    共感を得るような、得ないような。
    表題の話は、なんだそりゃ!? という状態ですが
    この業界、ありえそうです。

    雨、に関しては突如としてそちらのジャンルに、ですが
    発見されたのは、一体誰なのか。
    ヒント…というか、多分、なのは出てきますが
    本当にそれなのか、違うのか。

    ブラッド・ゾーンは支配されていると思うと
    ぞっとするものがあります。
    いや、それに気が付く自分も、本能に支配されてる、かと。

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    2017年05月29日
  • 愛と日本語の惑乱

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    17/01/28 4:30am
    清水作品としては余り得るものはなかった。
    唯一「フェルスター症候群」(Foerster's syndrome) と言う言葉を知ることができたことだけが収穫。

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    2017年01月28日
  • 独断流「読書」必勝法

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    清水氏の西原氏に対する評価、「この人は大した小説読みだ」は、清水氏に悪気はないのだけど、教師が生徒に対してよくやる評価(褒めているようだが、こう評価するのは自分より下と見なす人に対してのみ)である。この評価に喜ばず、それに敏感に反応した西原氏の反射神経はさすがである。

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    2017年01月12日
  • 愛と日本語の惑乱

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    40代初めの売れっ子コピーライター、野田敦。
    彼の恋人は、妖艶な女優、新庄百合子。
    恋人の愛が冷めていく中で、野田の日本語がおかしくなっていく。
    そこらへんの仕掛けが、ああ、清水義範さんだな、と思わされる。

    野田はSHK(この後に決して48とかはつかない。「敷島放送協会」の略なんだそうだ)の放送用語委員でもあるという設定で、そこで日本語に関するいろいろな問題が出て来る。
    ちょっとお勉強本みたいになるけれど、これはこれで興味深い。
    縦書き文書での数字の書き方はどうするべきか。
    外国の地名は現在、現地音に近い呼び方をするのに、中国の地名だけは日本語読みしているのは改めるべきなのか。
    差別語や、そ

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    2016年11月27日
  • 【カラー版】夫婦で行く意外とおいしいイギリス

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    イギリスの食べ物がメインの本なのかと思いましたがイギリスの歴史がメインの本でした。北部の旅の様子が興味深かったです。

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    2016年11月19日
  • 【カラー版】夫婦で行く意外とおいしいイギリス

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    写真あり、コンパクトな歴史著述がある旅行記。無味感想なガイドブックに食傷気味な人には、ピッタリ!
    定着したイギリス料理のモノ足りない味の体験談を見て、やはりフィッシュ&チップスしかないのかと思う。
    旅行行程は、イギリスの見どころを全て回るツアーは、働いている間は、無理だろう。しかし、独特な文化を体験するために、いつかは行ってみたいなぁイギリスと思う作品。

    1つお願いしたかったのは、サビルロードでスーツを仕立て、その体験談が欲しかったというのは、リーマンのヒガミになるのかな。

    国家の問題だと思うのですが、旅行者が、イギリス以外のワインを飲まざるをえない物価の高さを、何とかすべきでは?

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    2016年09月26日
  • 【電子特別版】夫婦で行くイスラムの国々

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    テーマを決めて、世界を旅することの面白さ。

    インドへの旅をきっかけに、イスラムの国々を回ろうとする筆者。トルコ、ウズベキスタン、イラン、レバノン、シリア、ヨルダン、チュニジア、東トルコ、モロッコ、エジプト、スペインときて、イエメン。世界史で学ぶだけではわからなかった、それぞれの国の姿。一口にイスラムの国々と言っても、宗教に対する態度はそれぞれ。情勢が変わって、きっとここに描かれた姿は、もう見られないかな、と思う国も。

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    2016年09月09日
  • 【カラー版】夫婦で行くバルカンの国々

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    年初に旅したクロアチア。バルカン全体のイメージをつかむための本を探し、いくつか見つけた中の柔らかい旅行記。
    作者のこってりした文体に好き嫌いはあるかもしれないが、バルカン半島の全体像を掴むにはいいんじゃないかな。
    元バックパッカーとしては、バスツアーなんて!と斜めに構えていたが、前回の旅でそのよさも知り、この本はバスツアーでありながらもアンテナの張り方次第で無理なく現地を体験することを伝えている。

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    2016年04月30日
  • 身もフタもない日本文学史

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    現代のところはちょっと端折りすぎだろ!と思ってしまうが、近代以前の紹介はわかりやすく、なんといっても面白い。この著者の視点って、いつも斬新で感心してしまう。

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    2016年04月03日
  • 飛びすぎる教室

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    ネタバレ

     清水義範と西原理恵子による,お勉強エッセイシリーズのひとつ。シリーズ7作目にして最後の作品である。この作品のテーマは,「ほとんど枠組なしの,こんなことも勉強だよね」というもの。このシリーズは,清水義範らしい,ひねくれた目線がないので,よくも悪くも優等生のような仕上がりになっている。ほどよく知的好奇心をくすぐる話が多いのだが,聖書の話やら,奴隷の話やら,天使の話やら…やや興味を持ちにくい題材も多い。清水義範作品の中では中の下…あるいは下の上程度のできか。ぎりぎり★3で。

    個々の作品の所感は以下のとおり

    ○ 文明の自己紹介(歴史の話)
     テーマは世界史。学生が学ぶ世界史は,中国史とヨーロッパ

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    2017年01月01日
  • 早わかり世界の文学 ――パスティーシュ読書術

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    清水義範さんといえば、パスティーシュ小説。
    第一人者にして、その後続く人はいないのではないかと思われる。
    その、パスティーシュという手法への自負が書かれた本だった。

    「ユーモア小説」と言われてもいいけど、「パロディ」と呼ばれるのは抵抗があるようだ。
    つまり、批判や批評したいのではなく、毒がなく、あの名作、この文章ってこういうことかと、すとんと腹に落ちる作品を書きたかったと。
    う~ん、ご本人は嫌がりそうだけど、やっぱり清水さんって教育的なひとだなあ、と思う。

    セルバンテスの「続ドン・キホーテ」が、別人による「偽ドン・キホーテ」を取り込んで展開した話は、強烈な印象に残る。
    そんな面白いことがあ

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    2016年03月12日
  • 夫婦で行くイタリア歴史の街々

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    南部と北部に2回に分けて夫婦でイタリア旅行した紀行文。

    海外ツアーにおけるド定番の歴史遺産や美術品は、勿論。
    風景、現地の人達、タバコ喫煙事情、宿泊したホテル付近でスーパーで晩御飯を購入した時のやりとりなど、役に立ちそうな経験談が豊富で、読みやすい。

    わがままを言うと、建物や歴史上の人物などの写真が、小さくても表記されていれば、旅行の副読本としては、最高だったのだが。

    「国語入試問題必勝法」以来、疎遠になった著者作品を旅行雑誌コーナーで偶然見つけ、10数年振りに購読したのだが、イタリアに行く際は、必ず再読したい作品。

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    2016年03月08日
  • 愛と日本語の惑乱

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    学生の頃一番好きな科目は国語だった。様々な言葉を知ることが楽しくて仕方なかった。
    そんなころに出会った清水義範。
    たくさん読んで、こんな言葉も、こんな物語の発想もあるんだななんて本当に毎回驚かされていた。

    今回かなり久しぶりに読んだ清水さんの作品がこちら。
    日本語に対する造詣の深さに、ため息が漏れる。
    やっぱりすごい。
    そして日本語って楽しい。
    あの頃感じていた気持ちがよみがえってきた。

    一応物語形式で話は進んでいくが、これは日本語の面白さを読む小説だと思う。

    文字がとぐろを巻いたり、言葉があふれたり。
    あ~楽しかった。

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    2015年11月17日
  • 日本語必笑講座

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    言われてみればと思うところや、そういう見方もあるのかという発見があって面白かった。ユーモアのあるツッコミでさらっと読める。

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    2015年10月31日
  • いい奴じゃん

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    ライトノベル風に、運の異常に悪い男の話として始まる小説。中盤までは、ほとんどが会話で進むため、情景の記述がないのだが、登場人物が限られている上に、漫画的に極端なキャラクター設定にされているため、なかなか小気味良く読める。

    会話でない普通の文章に「やべー」なんていう言葉を使うのは、いかがなものかとは思うが。

    中盤で、主人公が動けなくなったあたりで、突如として会話中心のストーリーが、情景と作者の言いたい話(一般的な話)に切り替わってゆく。作者の心変わりがあったのかもしれないが、明らかに違和感のある展開具合なので、面食らう。

    あとがきに「さくさく読める青春小説」とあり、そのとおりだとは思うもの

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    2016年03月16日
  • 日本語がもっと面白くなるパズルの本~難問、奇問、愚問を解く~

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    「日本語パズル」というところに期待すると、ちょっと外れた感じを受けるかも。
    日本語に関する雑学をクイズ形式で読ませる本といった感じ。
    もちろん、それでも面白いわけだが…。
    例えば文学者のペンネームの由来とか、CI前の企業の名前とかといったあたりまでくると、クイズにしたてなくても、と思ってしまう。
    とはいえ、これだけの量の日本語に関するあれこれを集めたのはすごいこと。

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    2015年08月10日
  • 神々の午睡(下)

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     三大宗教の歴史上伝えられている話を、清水義範さんならではの文体で、小説としたもの。
     下巻は近代~現代の話。宗教を拡張していく時期で、いきおい戦争の話が多くなる。
     人の心を救うはずなのに、何故対立するのか。開祖たちが望んでいた未来なのか。

     現代における宗教についても触れられ、宗教とは何かと考えさせられる。

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    2015年07月19日
  • 早わかり世界の文学 ――パスティーシュ読書術

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    文学に限らず、あらゆる芸術、思想、技術、人間の活動全てが模倣の歴史であり、それが文化であると言っていいだろう。その意味で、模倣を軸にした文学史は入門としてとっつきやすい。

    ロビンソン・クルーソーとガリバー旅行記の関係が一番おもしろかった。

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    2018年10月31日