清水義範のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「三億の郷愁」「灰色のノートから?」「灰色のノートから?」を納める短篇集。
このうち「三億の郷愁」は三億圓事件の犯人から三億圓を強奪すると云ふ物語。
昭和59年から事件のあつた昭和43年にタイムスリップした二人が、三億圓事件の搜査データをもとに事件を研究し、三億圓を強奪しやうとする。
私が8歳の頃の時代がよく描かれてゐて、とても懷かしかつた。
次の2篇は、作者の青春時代に題材をとつた「青春小説」。
「青春小説」とカッコ付なのがミソなのだらう。
作家にならうと云ふ志を持つて東京に上京する前後のことが描かれてゐる。
こちらは、讀んでゐてさほど面白い物語ではなかつた。
2003年10月11日讀 -
Posted by ブクログ
觀察の達人、清水義範が描いた、年寄の諸相。
年をとると云ふことが如何なる事なのかを面白く描いてゐる。
私も既に40台。
まだ年寄ではないが、年寄とは幾つぐらゐからなのだらう。
自分では年寄ではないと思つてゐても、周圍の人間が年寄だと認識すればやはり年寄になつてしまふのだらうか?
そんなこんなをいろいろと考へさせられた。
「八十年間世界一周」。
この題名はもちろんベルヌの「八十日間世界一周」からのパクリであるが、これを讀んでゐて、北杜夫のお母樣、齋藤輝子さんを思ひだして、こんな年寄になりたいものだなあと思つた。
2003年10月10日讀了