清水義範のレビュー一覧
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清水氏の小説って、こんなに冷静なものなのだとやっとかめシリーズや、勉強シリーズでしか触れていなかった作者の作品に驚きました。
作品の文体、文章、言葉遣いに引き込まれる感覚で一気読みでした。
著者は日本語に対する深い考察を持っていてその著述も多く大変に興味深い。
だからであろうか、この作品を読む際に文章に対する抵抗があまり無い。
普通どのような作品を読んでも理解しづらい表現があるし、それが自分の読解力不足が理由の時も含めて当たり前なのだけれど。
この作品ではさまざまな文体を駆使しているけれどそれぞれの文体の隅々まで著者の神経が行き届いていると感じられた。
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Posted by ブクログ
・ちゃんと伝わる文章は修練で身につけられるが、名文にある品格はトレーニングでは身につかない。それは文章力の話ではなく、人間性の問題なんだから
・依頼する文章を書くときは、なぜ依頼するのかを説明する。それが人を動かすコツである。そういうことを書けば、お世辞っぽい言葉が並んでしまい、かえって相手は気を悪くするんじゃないかと心配になるかもしれない。だが、その心配は無用である。お世辞を言われて気を悪くする人などほとんどいない。大概の人はいい気分になる。人にものを頼むなら、お世辞のひとつも言うのがあたりまえ
・謝罪文を書くコツは、すべての事情を長々と書くこと。文書の長さで、深くおわびしたい気持である、と -
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バルカン諸国から、中東、そしてスペイン、イタリアと。著者が旅行されたその場その場で出会った食べ物について、旅行記調で書かれています。夫婦での旅行記ですので、奥様の意見に対しての客観的な見方など、やり取りが目に前に見えるように臨場感あって楽しめました。現地の観光については、簡単にしか書かれていません。毎日何を食べたのか。何がおいしかったのか。そういった食事にまつわることに限定されています。しかしそれが素晴らしく。旅行に行くにあたって、料理はやはり重要な要素なのだなと思わされました。
各章の最後に、出会った食べ物を、日本に帰ってから実際に作ったレシピが書かれています。著者と奥様の観察眼と、それを再 -
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ネタバレまず、読みやすいことがこの小説の特徴であると思いました。
歴史を扱っている小説でありながら、現代人に馴染みある言葉遣いで描くことで、より手に取りやすいものになっていると思われます。
さて、この小説は、信長の天下布武の心理的原動力を、十一屋梨華という一人の女性を恋う心として書いていました。
頭の回転が速く、自分と同じ革新的な考えをしており、自立した女性である梨華。彼女は信長に世界の広さを教えました。そして、彼女が自分の望む人生を歩むために母親の母国である明へ移住したために、信長は自分のやり方で彼女に再会しに行こうとします。すなわち、日本を平定し、朝鮮や明、さらにはヨーロッパまで日本を進出させ、 -
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著者が50代に夫婦でイスラムの国々を旅行した紀行文。著者は3回のインド旅行後トルコに行った際、すっかりイスラム世界にはまってしまい、その後ウズベキスタン、イラン、レバノン、シリア、ヨルダン、チュニジア、モロッコ、エジプト、スペイン、イエメンと各国を訪れた。
私自身、卒業旅行でトルコに行き、歴史・文化の厚みと、なによりもイスラム建築の幾何学的な洗練された美しさに圧倒された。本を手にした時、その時のことが思い出されたので他の国々はどうなのだろうと思い読むことにした。
読んでみると、やはり国によって色々と違うところがあり(お酒が飲める飲めないとか、人々の感じとか)、その違いがまた魅力的だった。今