清水義範のレビュー一覧
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清水義範の久しぶりのパスティーシュ短編集。それが筆者の本領なのに、最近は旅行記や老後の心構えみたいなのばかり依頼されて欲求不満だったとか。お得意の文体模写が実に楽しそうだが、往年の勢いは失われてしまったな。
例えば、注釈で遊ぶという発想は清水氏らしくて面白いのに、その内容が説明過多になってしまっている。昔はもっと「わかるヤツだけわかればいい、それが教養ってもんだ」的な傲慢さが(謙虚なお人柄なので他の作家ほど露骨ではないものの)垣間見えて、それがパロディを痛快で鋭いものにしていたのに、子供向けやお年寄り向けの噛んで含めるようなウンチク本ばかり書いているうちに角がとれすぎてしまったのかなぁ。
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ネタバレ「接続詞があるから、文章は展開でき、つながっていくのだ。手持ちの接続詞が豊かで、それがうまく使ってあれば、読みでのあるものになる」
「接続詞は文章の論理構造を決定している」という章は、新鮮な驚きを感じながら読んだ。著者の清水義範さんは「接続詞があるから、文章は展開でき、つながっていくのだ。手持ちの接続詞が豊かで、それがうまく使ってあれば、読みでのあるものになる」と仰る。そう言われて、自分の駄文を読んでみると、驚くほど接続詞が使われていない。ということは、私の文章は、論理構造が欠落しているのか?と不安になった。残念ながら、この感想・レビューも例外ではない。これからは、接続詞を意識して文章を書い -
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やっとかめ探偵団のおばあさん、いや、皆さんが若返っているような気がするのは私だけだろうか。
最初はもっとヨボヨボ、失礼、お年寄りらしいお年寄りだった気がするのだが、
だんだん元気になっているような。
それは、作品の中の時代がリアルタイムに近づいてきて、
インターネットやゴミ分別といった単語がちらほらしているせいなのか。
同じ60代でも少し前の60代とは全く若々しさが違う現実を反映したものなのか。
情報収集能力や水利職が相変わらず冴えているせいなのか。
もうちょっとボケをかましてくれないと、おばあさんたちであることを忘れてしまいそうなぐらいだ。
いずれにしても、バラバラ殺人が解決したことより -
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やっとかめ探偵団シリーズの作品が入っている短編集。
いつものメンバーはバスツアーでおでかけになり、
いつものように殺人事件に巻き込まれる。
といっても、事情聴取のためバスごと警察署に連れていかれるという、
珍しい体験もしたが。
他の話では、
三途の川に事務所をかまえる幽霊探偵が面白かった。
犯人や動機が分からず殺されてしまった被害者に
納得して三途の川を渡ってもらうために、
事件を調べて解決する探偵、という設定が。
しかも、その探偵自身が探偵事務所を開いたばかりで死んでしまったため、
三途の川を渡りかねている鶯谷刑事のお兄さんときては、
シリーズ化してほしいぐらいだ。 -
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幕末もしもワールド、と言うべきでしょうか。でも、もしかしたら本当にそうだったかも、と思わせる何かがあるのです。
フランス人青年、アナトール・シオンがゴールドラッシュに沸くカリフォルニアでジョン万次郎に出会うところから、物語は始まります。日本が大好きなシオンはオランダ人として日本へやってきて、日本のために働きます。アメリカと結んだ条約が不平等きわまりないと修正をせまったり、勝海舟に幕府への意見書を出させたりと大活躍。すべて日本を愛すればこそです。
こんな風に日本を愛する外国人が大勢いたのかもしれません。彼らのおかげで日本は幕末の激動期を乗り切ることができた、と考えるのは行きすぎでしょうか。日本は -
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いや~好きですね~こういう作品。
老人たちが活躍するという話は本当好き。おまけに会話がコテコテの名古屋弁!
むか~し、タモリがTV番組で名古屋弁をコケにしてネタにしていましたが、私、聞いたことがないんですよん、本物の名古屋弁。
名古屋には1度だけ行ったんですけどね・・・み~んな標準語を話していたし(笑)。
だから本当、楽しく読むことができました。
タイトルにもなっている「やっとかめ」、これまた名古屋弁というから驚き!
ユーモア長編推理小説なんですけど、名古屋弁講座もあり笑えますよ~。
駄菓子屋を営むまつ尾婆さんを中心に近所の老人たちと一緒に事件を解決へと導きます。
謎解きも事がどう繋がってい