清水義範のレビュー一覧
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ネタバレまず、読みやすいことがこの小説の特徴であると思いました。
歴史を扱っている小説でありながら、現代人に馴染みある言葉遣いで描くことで、より手に取りやすいものになっていると思われます。
さて、この小説は、信長の天下布武の心理的原動力を、十一屋梨華という一人の女性を恋う心として書いていました。
頭の回転が速く、自分と同じ革新的な考えをしており、自立した女性である梨華。彼女は信長に世界の広さを教えました。そして、彼女が自分の望む人生を歩むために母親の母国である明へ移住したために、信長は自分のやり方で彼女に再会しに行こうとします。すなわち、日本を平定し、朝鮮や明、さらにはヨーロッパまで日本を進出させ、そうやって会いに行くことを望んでいます。
無論、世は戦国時代ですので、日本の平定すら容易ではありません。
それを革新的な自軍でもって一つ一つ破っていき、そして先を見据えることを続けている信長からは、常人離れした頭の良さと、そして一途な純情さを感じました。 -
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著者が50代に夫婦でイスラムの国々を旅行した紀行文。著者は3回のインド旅行後トルコに行った際、すっかりイスラム世界にはまってしまい、その後ウズベキスタン、イラン、レバノン、シリア、ヨルダン、チュニジア、モロッコ、エジプト、スペイン、イエメンと各国を訪れた。
私自身、卒業旅行でトルコに行き、歴史・文化の厚みと、なによりもイスラム建築の幾何学的な洗練された美しさに圧倒された。本を手にした時、その時のことが思い出されたので他の国々はどうなのだろうと思い読むことにした。
読んでみると、やはり国によって色々と違うところがあり(お酒が飲める飲めないとか、人々の感じとか)、その違いがまた魅力的だった。今では大変なことになってしまっているシリアなど、当時は行けたのか!という驚きとともに、貴重な遺産が今となっては破壊されてしまって残念だと思った。 -
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清水義範の久しぶりのパスティーシュ短編集。それが筆者の本領なのに、最近は旅行記や老後の心構えみたいなのばかり依頼されて欲求不満だったとか。お得意の文体模写が実に楽しそうだが、往年の勢いは失われてしまったな。
例えば、注釈で遊ぶという発想は清水氏らしくて面白いのに、その内容が説明過多になってしまっている。昔はもっと「わかるヤツだけわかればいい、それが教養ってもんだ」的な傲慢さが(謙虚なお人柄なので他の作家ほど露骨ではないものの)垣間見えて、それがパロディを痛快で鋭いものにしていたのに、子供向けやお年寄り向けの噛んで含めるようなウンチク本ばかり書いているうちに角がとれすぎてしまったのかなぁ。
誰しも年を取る。ずっと同じ状態にとどまっていられる人なんかいない。長年見守っていると、自省もこめてそう達観せずにはいられない。日の出の勢いの羽生結弦くんだっていずれ後進に勝てなくなり、引退する日がくるのだ(って、関係ないか)。敬愛する清水氏の久々の挑戦への敬意とエールをこめて、ちょっと甘めの採点。 -
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ネタバレ「接続詞があるから、文章は展開でき、つながっていくのだ。手持ちの接続詞が豊かで、それがうまく使ってあれば、読みでのあるものになる」
「接続詞は文章の論理構造を決定している」という章は、新鮮な驚きを感じながら読んだ。著者の清水義範さんは「接続詞があるから、文章は展開でき、つながっていくのだ。手持ちの接続詞が豊かで、それがうまく使ってあれば、読みでのあるものになる」と仰る。そう言われて、自分の駄文を読んでみると、驚くほど接続詞が使われていない。ということは、私の文章は、論理構造が欠落しているのか?と不安になった。残念ながら、この感想・レビューも例外ではない。これからは、接続詞を意識して文章を書いて行こうと思った私であった。
<です・ます>体は、礼儀正しくて、ソフトな言い方なのだ。読者に直接語りかけるような文章の場合、こちらを採ることが多い。それに対して<だ・である>体は、読者への遠慮を排して、事実を力強く言い切るものである。≫ 私は「事実を力強く言い切る」時ではなくても、ついつい<だ・である>体を使っている。私は、気の弱いオヤジだが、自己主張については恐れを知らない奴なのかもしれない。少なくとも、人それぞれ状況に応じて感じ方は違うと考えているし、だから面白いと思っている。 -
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やっとかめ探偵団のおばあさん、いや、皆さんが若返っているような気がするのは私だけだろうか。
最初はもっとヨボヨボ、失礼、お年寄りらしいお年寄りだった気がするのだが、
だんだん元気になっているような。
それは、作品の中の時代がリアルタイムに近づいてきて、
インターネットやゴミ分別といった単語がちらほらしているせいなのか。
同じ60代でも少し前の60代とは全く若々しさが違う現実を反映したものなのか。
情報収集能力や水利職が相変わらず冴えているせいなのか。
もうちょっとボケをかましてくれないと、おばあさんたちであることを忘れてしまいそうなぐらいだ。
いずれにしても、バラバラ殺人が解決したことよりも、探偵団の皆さんが元気なのは嬉しい。
東京弁の鶯谷刑事の身の上に進展があるともっと嬉しいのだが。 -
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やっとかめ探偵団シリーズの作品が入っている短編集。
いつものメンバーはバスツアーでおでかけになり、
いつものように殺人事件に巻き込まれる。
といっても、事情聴取のためバスごと警察署に連れていかれるという、
珍しい体験もしたが。
他の話では、
三途の川に事務所をかまえる幽霊探偵が面白かった。
犯人や動機が分からず殺されてしまった被害者に
納得して三途の川を渡ってもらうために、
事件を調べて解決する探偵、という設定が。
しかも、その探偵自身が探偵事務所を開いたばかりで死んでしまったため、
三途の川を渡りかねている鶯谷刑事のお兄さんときては、
シリーズ化してほしいぐらいだ。