清水義範のレビュー一覧
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小説家清水義範による日本文学史。講談社文庫の「理科」「社会」「国語」「数学」といった学び直しの教養エッセイのカテゴリーの一冊。
源氏物語から始まって、枕草子、平家物語、徒然草、奥の細道などの古典や夏目漱石、森鴎外などの近代文学など日本文学史の大きな海の中に浮かんでいる島々を取り上げているような感じ。作者も言っているが、日本文学史をこの本で全体が描けているわけではない。とはいえ、少なくともこれぐらいの作家の作品は知っておいてねというものだろう。教養としての日本文学の本当の最低ラインを示しているというイメージかな。
最近、NHKの大河ドラマ「光る君へ」を見ていると本当に教養というのは大切だし -
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MONEYというタイトルながら、実際はお金にまつわる犯罪またはギリギリグレーゾーンにまつわる、一応は連作短編集なのかな。それぞれのストーリーは独立しているが、場面や登場人物は重なり合ってたりして。
犯罪なので...ということもなかろうが、うまくいったりいかなかったり。スケールもでかかったりセコかったり、バラエティに富んでいる。どの話も違和感なく読めるのは、ことお金が絡むと、人は平常心を失いやすくなる...ということを無意識に理解しているから。
...などと言ったらうがち過ぎか(^ ^;
ご承知の通り、清水義範氏は多作で、一頃けっこう集中して呼んだ時期があった。が、正直、ある程度の量を読む -
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「これはもう、どう考えたってかなり多くの書店で、受験参考書のコーナーに置かれるであろうことが目に見えています。その結果、多くの受験生が間違って買ってしまうであろうことは大いに予想されるところであり、まずそのことをお詫び申しあげます。」(pp.270-1)とあとがきに書いてある。ので、これは受験参考書ではなく、ちょっと変わった短編集。
著者はパロディをすることで超有名な作家だそうだが、おれは初めて読んだ。まず最初の「猿蟹合戦とは何か」で、その旧仮名遣いに面喰らう。内容は面白く、表記故の読みにくさとは裏腹にスイスイ読んでしまった。元ネタが分からない。調べてみると司馬遼太郎?そう言えば高校の時、 -
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「清水義範」による旅エッセイ『夫婦で行く意外とおいしいイギリス』を読みました。
『ifの幕末』に続き「清水義範」作品です。
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加熱しただけで薄味、付き合せがいつも同じ…食事がイマイチといわれがちなイギリス。
著者夫妻も、英国人の料理への情熱のなさを感じつつ、古都の風情が残るエジンバラ、ネッシーで有名なネス湖、活気に満ちた首都ロンドンなどをしみじみ、ゆったり堪能する。
そして、ついに意外な食の楽しみに辿り着く!?
かつて栄華を極めたイギリスの歴史や食の理解を深められ、旅行ガイドにもなるお得な一冊。
(解説/「井形慶子」)
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小中高と国語は得意科目だった。自慢話になるが、高校の頃は学年トップに立ったこともある。それでいて、本書に引用された小学生の国語の問題が解らない。まさに著者の言う「正体不明の学科」だ。
「あの歌はこんな意味だった」を読むと、清水義範も多くの人が陥りがちな「巨人の星」に関する勘違いをしている。「思い込んだら」と「重いコンダーラ」。主題歌のあの箇所で飛雄馬は地ならし装置を引っ張っていないにも関わらず、引っ張っていたかのような誤解がまかり通っている。昔のアニメージュでも論争があったものだ。
著者は「巨人の星」連載時、少年マガジンの編集長に会った際に「消える魔球はなぜ消えるんですか?」と尋ねたそう -
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蕎麦ときしめん
清水義範
発行:1989年10月15日
講談社文庫
初出:小説現代1993年11月号~1986年6月号
書名となっている作品を含めた6本の短編小説。6編ともパスティーシュと呼ばれるジャンルの作品。模造作品とも訳されるが、文学ならある文体を真似て書く。パロディの一種。著者は名古屋出身の実力作家だけに、無茶苦茶面白い。2022年の元日にこの1冊、今年は幸先がいい。
『商道をいく』と『猿蟹の賦』は司馬遼太郎風に書かれていることが感じられる。『三人の雀鬼』はおそらく阿佐田哲也風。あとはよく分からないが、あとがきを読むと、特定の作家の文体でなくてもいいようだ。例えば、家電の取説風と -
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※これは国語入試問題の必勝法を解説する本ではありません。
国語の成績がどうにもこうにも伸びない受験生時代、題名に惹かれ、手に取った。読みながら「ふむふむなるほど、次からは実践してみよう」などと意気込んでいたのに、あとがきでフィクションだと知り、拍子抜けした思い出の本。それほど、説得力があり、虚構の必勝法だと知っていても、模試で試してみたりしていた。
「時代食堂の特別料理」はいつかの国語の試験に出たことがあり、懐かしかった。偶然にも、このお話に再会できて、改めてゆっくり読めてよかった。
最後に、この本の内容を必勝法に則って6文字で要約するならば「色々あった。」
風刺とユーモアあふれる短編集