あらすじ
ピントが外れている文章こそ正解! 問題を読まないでも答はわかる!? 国語が苦手な受験生に家庭教師が伝授する解答術は意表を突く秘技。国語教育と受験技術に対する鋭い諷刺を優しい心で包み、知的な爆笑を引き起こすアイデアにあふれたとてつもない小説集。吉川英治文学新人賞受賞作。
【パスティーシュ小説の嚆矢!丸谷才一氏激賞!講談社文庫創刊50周年新装版】
清水義範の作品もまた、からかひ、批評し、祝祭する。入試問題出題者に対する慢罵と嘲笑は痛烈を極めて恐しいほどだ。いい加減きはまる入試問題に翻弄され、責めさいなまれてゐる少年少女に対する憐みを感じ取って、胸を打たれた。殊に結末がよく出来てゐる。人々が清水のパロディをあんなに喜んで読むのは、一つには、この暖かな心が嬉しいからであらう。――丸谷才一(中略・解説より)
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学生の時に塾の先生に面白いとすすめられて、貸してもらって読んだ本。
それまで本は真面目なものだと思っていたけど、こんなに自由で面白い発想の本もあるんだ!といまだに心に残る本。
あの『6文字』は衝撃過ぎた。
当時国語のテストをやる度にあの『6文字』を書きたくなる衝動を抑えられなかった笑
Posted by ブクログ
●2025年7月7日、グラビティの読書の星で紹介してる男性がいた。
《質問:生涯この本だけは読んでおいたほうが良いと思う、とっておきの、小説を教えて下さい!》に対する回答
「国語入試問題必勝法/清水義範↓
ガダラの豚/中島らも↓
果てしなき流れの果てに/小松左京↓
アルジャーノンに花束を/ダニエル・キィス↓
ホテル・ニューハンプシャー/ジョン・アーヴィング
悪童日記/アゴタ・クリストフ↓
消去/トーマス・ベルンハルト」
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表題にある「国語入試問題必勝法」笑ってしまった。
心に残ったのは「靄の中の終章」
周りも本人も認知症かな?あれ?なぐらいの時の気持ちってこんな感じなのかな。
ちょっと筒井康隆を思い出すそんな作家さん。
Posted by ブクログ
「これはもう、どう考えたってかなり多くの書店で、受験参考書のコーナーに置かれるであろうことが目に見えています。その結果、多くの受験生が間違って買ってしまうであろうことは大いに予想されるところであり、まずそのことをお詫び申しあげます。」(pp.270-1)とあとがきに書いてある。ので、これは受験参考書ではなく、ちょっと変わった短編集。
著者はパロディをすることで超有名な作家だそうだが、おれは初めて読んだ。まず最初の「猿蟹合戦とは何か」で、その旧仮名遣いに面喰らう。内容は面白く、表記故の読みにくさとは裏腹にスイスイ読んでしまった。元ネタが分からない。調べてみると司馬遼太郎?そう言えば高校の時、東京に出てきて、行きたい大学の直前講習みたいなものに、本当に入試の直前に参加して、英語の添削をしてもらったら、そこの先生が「〜とはいはなひ」(言わない)とかやたらこんな表記をしていて、この人何からこういう影響を受けているんだろうか、と思ったけど、この先生も司馬遼太郎の影響なのだろうか、とか思った。そして猿蟹合戦の話は小説ではないと思うけど、本のタイトルにもなっている次の「国語入試問題必勝法」は小説。まあ面白いけど、この手法を使おうなんて、おれが高校生でも思わないとは思うけど。「霧の中の終章」、なんか星新一みたいな不思議な感じ?でも一番面白かったのは、「ブガロンチョのルノワール風マルケロ酒煮」という、小説じゃなくてただのレシピの紹介。途中までは、なんだレシピか、と思うけど、途中から強烈な違和感を覚えて、あ、となるという、なんかやられてしまった感があって、おれはこれが実は一番好きかな。「いわゆるひとつのトータル的な長嶋節」は、長嶋茂雄や他の野球解説者を知っていればもっと面白いだろうに、とおれの無知が悔やまれる作品。でもあんまり知らないのに、笑えた。「人間の風景」も笑えたし。
ということで、なんかこれまでこれだけ本を読んできたけど、いかに自分が小説を読んでいないのか、ここでこんな新しいタイプのものを経験する、ということが新鮮だった。それにしても著者は本当に頭が良い人なのだなあと思った。もっとこの著者の本、読んでみたい。推理小説がたくさんあるらしいので、探してみようかなと思った。(23/05)
Posted by ブクログ
「文体模写=パスティーシュ文学を確立する」とある。しかし、古来から本歌取りは日本文学の伝統。そして先立つ小林信彦の「発語訓練」(1983年)のほうが文体模写の嚆矢と思う。唐獅子シリーズの「唐獅子源氏物語」(s57年)は源氏物語の文体模写である。
清水氏の「いわゆる・・長嶋節」などは語り口模写として秀逸、「国語入試・・」も出題者心理を抑えている。
清水義範氏にはパスティーシュ完成者としてそれなりの世界があり評価するが、パスティーシュ世界で小林信彦の存在も忘れてはならないと思う。
Posted by ブクログ
※これは国語入試問題の必勝法を解説する本ではありません。
国語の成績がどうにもこうにも伸びない受験生時代、題名に惹かれ、手に取った。読みながら「ふむふむなるほど、次からは実践してみよう」などと意気込んでいたのに、あとがきでフィクションだと知り、拍子抜けした思い出の本。それほど、説得力があり、虚構の必勝法だと知っていても、模試で試してみたりしていた。
「時代食堂の特別料理」はいつかの国語の試験に出たことがあり、懐かしかった。偶然にも、このお話に再会できて、改めてゆっくり読めてよかった。
最後に、この本の内容を必勝法に則って6文字で要約するならば「色々あった。」
風刺とユーモアあふれる短編集。
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これは斬新というか非常に面白い。
あまり話題にはならなかったのかもとも思うが、電子書籍化されているところから、気に入った人も居たのだろうと思う。
Posted by ブクログ
吉川英治新人賞の短編集
こんなパロ本にあげるのだから懐の深い賞
ピントが外れてる文章こそ正解
わからなすぎる問題でこういう経験があったので大変笑えた(実用性は無い、と思う)
ところで平沢進の「パレード」って歌の歌詞がまったく理解できないのですが誰か解いてくれませんか
えっ、ピント?ピントをどこに合わせるのかも
Posted by ブクログ
「国語入試問題必勝法」
タイトルに騙された気分w
兄がまさしく主人公と同タイプの、国語だけ苦手な人間だったので、受験の時これ知ってたら有難がったかもな~と思いながら読んでた。
だってやたら説得力あるんだよなあ、この解法。是非試してみたくなっちゃう。笑
「靄の中の終章」
収録作品中、いちばん印象に残った。
認知症の方の思考・心境って、まさしくこんな感じなんじゃないだろうか!?Σ(゚艸゚;)
人間としての尊厳が揺らぐ時って、きっとこんな風にうろたえるものなんだろうな…。
やたらハッキリ思い出すのが昔のこと、それも愛する奥様のことや自分をイジメた相手のこと~っていうのも、なかなかリアルだった。
「人間の風景」
いやー、笑った笑った。ヾ(^∀^〃)
素人がリレー小説を書いたら、こんなに盛大に事故るのかとw
小説を書けるって、本当に凄いことなんだなと改めて思い知ったよ。
Posted by ブクログ
真面目そうなタイトルに反して、いや反しすぎて一体私は何を読んでいるのだろうと思ってしまった。いやいやいや、決して悪口を言おうとしているわけではなくてですね、ユーモアといいますか、そういうのはあるのはもちろん、著者の想像力には圧倒されました(特に初めの猿かに合戦)。ええ。少々まわりくどいところもあったけれど、楽しめたから気にしない!