朱川湊人のレビュー一覧

  • かたみ歌(新潮文庫)

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    不思議な出来事が起こる「アカシア商店街」を舞台にした短編集。「かたみ歌」というタイトルは一体どう言う意味なのかと思ったが、なるほど「死人の想い=かたみ」の話なのかと納得。全ての話が死に関わる話で、少し物悲しく、少し恐ろしく、どこか懐かしい感覚がする。後半になるほど様々な事情が一気に明らかになるストーリーは爽快だった。またそれぞれの話に出てくるその時代を代表する曲もいい味を出していた。

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    2022年07月30日
  • 揚羽の夢~知らぬ火文庫~

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    鴨長明が主人公の物語。学生時代は歴史が苦手だったが、こうして読書をすることでスルスルと頭に新しい知識が刻まれていく、、、本のチカラはスゴイ。
    登場人物がみな魅力的、ドラマになってもおもしろそうな小説だった。朱川湊人さんの作風と鴨長明の飄々とした風情がよく合っている。

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    2022年07月24日
  • かたみ歌(新潮文庫)

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    初めて読む、朱川湊人さんの作品。
    7つの連作短編集。

    舞台は昭和40年代の東京下町、“アカシア商店街”というアーケード通りとその周辺の街。
    この時代は子供も沢山いて、商店街も大変賑わっている様子。
    レコード屋のスピーカーからは古い歌謡曲が流れている。

    私の頭の中は、セピア色の古い昭和の街にタイムスリップした感じ。
    でもこの作品は、そんなノスタルジックなだけの作品ではない。
    黄泉の国と繋がっているらしいお寺があり、7編それぞれ、死や霊にまつわる不思議体験のお話。

    どの登場人物も、幽霊を普通に受け入れている(怖がらない)のが良い。
    本来こうした“不思議”は私達の身近なところあり、共存している

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    2022年06月28日
  • かたみ歌(新潮文庫)

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    昭和40年代半ばくらいかな、アーケード商店街を持つ東京下町。その周辺に住まう住民たちと死にまつわる短編集。
    下町で日常を暮らす人と不思議な存在との共存。昭和のどこかまでは、まだそんな雰囲気があったようです。郷愁という言葉が、一番しっくりくる作品でしょうか。
    “栞の恋”は、古本屋(この作品全体の主要舞台ですね。)の一冊の古本で、栞を使った短い往復書簡。素敵な恋の物語です。以前、映像化されましたね。これが、一番好きでした。そのうち電子書籍での恋なんかも書かれるかしら。
    朱川さん初読みかなと思っていたら、「白い部屋で月の歌を」ですね!作風違って気が付かなかった。こちらもすごく良かったです。
    shuk

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    2022年06月18日
  • さよならの空

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    ネタバレ

    幻想的。

    星新一さんの「午後の恐竜」を連想した。

    物語は、夕焼けの中、戦地に出向く恋人ケンを見送る20歳のテレサのシーンから始まって、

    メインの話はその60年以上あと、科学者となったテレサが発明したウェアジゾン(たぶん造語)・・・オゾンホールの拡大を食い止める薬品を世界中に散布するところから始まる。

    夕焼け・・・たしかにオレンジ色の空は美しいが、それがなくなったとしたら世界中の人は実際にどんな反応を示すだろう・・・。

    別に、と答える人も多いかもしれないが、「朱川湊人」というペンネームが、「朝焼けでオレンジ色に煌めく荒川の水面」を車窓から眺めていた大学通学時の思い出に起因しているそう。

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    2022年05月22日
  • 妖し

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    ネタバレ

    「喪中の客」終始いやな予感にドキドキさせられ、身構えていたのにやはり最後にゾクリ。やられた。

    「細川相模守清氏討死ノ事」時代物は苦手だが我慢して読み続けただけの価値はあった。読後爽快!ニンマリ

    「フクライ駅から」なーんだネット系の都市伝説かぁ…期待せず読み進めたら意外な展開になり引き込まれた。フェスタのその後を知りたくなる。

    「真珠星スピカ」なんて素敵な家族。泣けた。

    「わたしキャベンディッシュ」バナナに対する認識が変わった。シゲルの味が気になって仕方ない。

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    2022年05月19日
  • 都市伝説セピア

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    ネタバレ

    「情」の爆発力と悲哀の中に混じる温かみかな。

    僕が朱川作品に惹かれてしまうのは。

    この本で言うと、それは②。

    たまにしか出会えないから、必死になって追いかけてしまうのだろう。

    ⑤も好きだなと感じる温かい作品。

    そのほかの3作は、好きかと問われると疑問だが、作品としてはとてもしっかりしていると思う。

    【あらすじ(始めの部分)】
    ①アイスマン
    25年前、16歳の夏、精神を病んで叔父の家に預けられた僕は、夏祭りの見世物小屋に入ろうとしたとき、傍らの少女に手を引っ張られ、別の見せ物を見に行くことに。
    ②昨日公園
    遠藤は息子とキャッチボールをする。三十数年前、親友のマチを見捨てざるを得なかっ

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    2022年04月17日
  • アンドロメダの猫

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    いつもの朱川湊人さんらしくない作品だったが、スリル満点で最後まで読めた。ラストは悲しい内容だったが、ハッピーエンドにはなれないストーリー展開だったのである意味予想通りだった。

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    2022年04月11日
  • アンドロメダの猫

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    朱川湊人さんの作品は初めて。口語調だったからか読みやすかった。
    わかっていた結末だけれど、結末の悲しさがこの物語の全てではないと思った。今までの生きてきた中で一番濃い時間を共に過ごせたこと、見えないと思っていたものを「確かにある」と思えたことが、瑠璃の人生の幸せだったんじゃないだろうか。
    自分の人生を特別なものにしてくれた特別な存在に出会えてよかったと瑠璃はきっと思っているし、もし時間を巻き戻しても同じようにしていたんじゃないかと思う。ただただ深い愛の話。

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    2022年03月06日
  • 都市伝説セピア

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    ノスタルジックなホラー短編集。秀作。
    昨日公園:友達を救うため時を繰返す
    アイスマン:夏祭りの河童の氷漬け
    フクロウ男:都市伝説を具現化
    死者の恋:死者を愛する女の狂気

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    2022年02月24日
  • 時間色のリリィ

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    朱川さん最新作で初の児童書だそうです。

    先週、良作とはいえ、「狐と鞭」で艶かしい短編をいくつかぶつけらましたので、本当に子どもたちが楽しんで読めるのか、検閲気分で読ませていただきました。

    検閲後の判定でございますが、全国の御父兄の皆さま、お子さまが「時間色のリリィ」を目の前に持ってこられた際には、どうぞためらわず、読ませてあげてください。

    数作のホラー、淫猥なものや理不尽な作品もある朱川さんではございますが、本作に関しましては、表紙のイメージ通り、お子さまにも充分、安心感を持って読んでいただける内容になっております。

    ついでと言ってはアレですが、54歳のわたくしも小学生のときの夏休み朝

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    2021年10月19日
  • かたみ歌(新潮文庫)

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    ある商店街を舞台にした連作集。
    何らかの形で死を扱っているが、不思議と重く感じさせず、むしろせつない。
    登場人物は外見的にこう見えると思わせておいて実はそうではなかったというものが多い点は、とても参考になる。

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    2021年10月06日
  • なごり歌

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    ネタバレ

    「かたみ歌」の続きで読む。今度は団地が舞台。なぜ昭和40年代の頃を扱うのかわからないが、ある種のノスタルジーを感じる読者がいるに違いない。連作なのに、互いに話がつながりあっているのが、もうひとつの謎解き。認知構造を変える手法としては学ぶべき点が大。

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    2021年10月06日
  • 太陽の村

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    昭和40年代の方が、あれね、と懐かしく思い出すネタが満載。ネタ、ツッコミが多くて少し疲れました。安心が保証された世界、好きになってくれる人がいる世界、自分で切り開く世界、決断を宿題にされました。

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    2021年09月25日
  • 本日、サービスデー

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    ネタバレ

    ①は朱川作品の中で一番繰り返し読んでるかな。おめでたい、ご都合主義と言われようが自分には心地よいのだろう。④さえ、オチがつけられていれば五つ星でも良かったのだが・・・。オススメは①と⑤。
    ①本日、サービスデー
    家庭でも会社でも冴えない中年鶴ヶ崎が迎える奇妙な一日。天使も悪魔も出てきて。
    ②東京しあわせクラブ
    「事件」の証拠品を競いに集うマニア達。最高に悪趣味だが朱川さんしか書けない。
    ③あおぞら怪談
    昔、チャンピオンに連載されていた「手っちゃん」の女版。最後の台詞、味がある。
    ④気合入門
    マッカチン(アメリカザリガニ)に勝った!と叫んだ瞬間、中途半端さがとても残念。
    ⑤蒼い岸辺にて
    目覚めると

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    2021年09月23日
  • 都市伝説セピア

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    朱川作品は7作品目にして、やっと
    デビュー作を読みます(^◇^;)
    「アイスマン」「昨日公園」「フクロウ男」
    「死者恋」「月の石」の5つの短編集。
    どの作品も懐かしい言葉やシーンが散りばめられていて
    不自由だった時代のノスタルジーに浸れます。
    時々読みたくなるんですよね。

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    2021年08月21日
  • 白い部屋で月の歌を

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    朱川さんのファンだが、ホラーは苦手。でも二作とも良作で、表題作もいいが、②は秀逸。小説の醍醐味を存分に味わえる。
    ①白い部屋で月の歌を
    人でない語り部の話を三読目で理解し、ピノキオが浮かぶようになった。憑座の話。
    ②鉄柱(くろがねのみはしら)
    笑顔の人たちの下に燻る不気味な雲と、妻晶子から漂う不幸な香り。ラストもいい。

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    2021年08月20日
  • 妖し

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    印象的だった作品

    ANNIVERSARY/村山由佳
    真珠星スピカ/窪美澄
    李果を食む/阿部智里
    かぐわしきひと/乾ルカ
    喪中の客/小池真理子

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    2021年05月31日
  • なごり歌

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    『かたみ歌』同様、死を、単なる終わりとしてとらえるのではなく、世界の広がりとして描く。小説という物語形式だからこそ、それが充分に伝わる。小説以外ではなかなかこれは表現できないだろう。

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    2021年05月06日
  • 妖し

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    以前読んだ妖のアンソロジーと同じかと思いきや少しテイストが違った。
    でもどれも一通り面白かった。

    その中でも武川佑さんの短編が素晴らしかった。
    日本史に明るくない私が読んでも目が離せない凄まじい熱量。読めない字も吹き飛ばすほどの強風がふく文章。本を持つ手が肘まで熱くなるような引き込まれ方をする物語に久々に出会った。まるでVRの映像を観たような読後感。

    うーん、アンソロジーにハマりそうだな。

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    2021年04月19日