朱川湊人のレビュー一覧
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ネタバレ10人の作家さんが描く怪異の短編アンソロジー。多種多様な怖い話。一体、どこからこんなアイデアが出てくるのかと驚きながら楽しみました。
恩田陸『曇天の店』
北陸の料理屋。開けてはいけない勝手口。フェーン現象がつれてくるカワケが人を狂わせる。ラストの夫婦の会話が不穏で、余韻たっぷりで終わる。
米澤穂信『わたしキャベンディッシュ』
バナナの種って貴重なんだなあ。シゲルはどんな味なのかしら。
村山由佳『ANNIVERSARY』
小2のときの儀式が35歳で効果を発揮?
夫と息子と幸せに暮らしていたのに、少し違う世界で小2からやりなおし。新しい世界で新しい家族と幸せになっても、新旧、どちらも裏切って -
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1994年~2011年の間に設けられていた、日本ホラー小説大賞・短編賞を受賞した作品を集めたアンソロジー。(自分にとっての)新しい作家に出会えることを期待して、手に取ってみた。
収録されているのは、以下の5作品。
・小林泰三『玩具修理者』(1995年・第2回)
・沙藤一樹『D-ブリッジ・テープ』(1997年・第4回)
・朱川湊人『白い部屋で月の歌を』(2003年・第10回)
・森山東『お見世出し』(2004年・第11回)
・あせごのまん『余は如何にして服部ヒロシとなりしか』(2005年・第12回)
『玩具修理者』のみ既読で他4作は初見だったが、一番面白かったのはやはり『玩具修理者』。テキス -
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昭和だ〜
しかも“ゴリゴリ”の高度成長期
「環境」なんて二の次、「チクロ」入りのお菓子を食べ、光化学スモッグの中で子供が育つ。
道ではダンプカーか我が物顔で行き来し、白黒テレビからは、石坂浩二の「ウルトラQ」のナレーションが聞こえてくる。
「これから30分、貴方の目は貴方の体を離れ……」
そんな“怪しい”ノスタルジー香る連作短編集。
もう一つのお楽しみとして、短編ごとに昭和の名曲?が幾つか入る。
「紫陽花のころ」には布施明「シクラメンのかほり」(超有名)
「夏の落とし文」にはドラマ「愛と死を見つめて」テーマソング(マニアックだけど大ヒット、マコ、甘えてばかりで……)
「栞の恋」にはザ・タ -
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ネタバレ朱川湊人お得意のノスタルジック小説。SF気はあっても、ホラーっぽくないのがちょっと新鮮か?ただ、この手の小説は作者のものだけでなく、結構な弾数が出揃っていて、その中から抜け出しているくらいかというと、ちょっと疑問符。
基本は王道のノスタルジック路線。中年にまで成長した語り手役が、少年時代を思い出し、主人公の不思議な少年や幼馴染の仲間と過ごした2年ほどの小学校時代を思い出す形式。
小学生らしい冒険譚の中に、当時も現代にも顕在する困った問題、貧困やジェンダーやハラスメント、老人介護、交通事故等がテーマとして取り上げられている。
主人公の反則禁じ手をもってしても、その場を収め離だけで安易に解決 -
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昭和40年代頃を中心にした時代、都電が走る下町のアーケード商店街がある街を舞台に、生と死の間を行き来する不思議な体験を軸にした連作短編の構成。
昭和50年代に子供時代を過ごした自分からすると少し前の時代で、どんぴしゃノスタルジーを感じるには今一歩なのだが、人と人の距離が今よりも近かった素朴で小さな世界の雰囲気はよくわかるし、伝わってくる。
ハートウォーミングな筆致の中に、人の世の業が織り成す、今となってはやや生々しく感じられる件りも所々に盛り込まれる。令和の時代の日本社会の深層にも生き続けるウェットな人間関係の負の側面を意識させられ、やや重く感じられたというのが正直な印象。 -
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怖かった度★★(最高が★5)
ホラー克服のための「魁ホラー塾」の第三弾はおびのりさん推薦本『白い部屋で月の歌を』です
第10回ホラー小説大賞の短編賞の受賞作品とのこと
いやーさすがおびー、分かっとるな
こういうことですよ
徐々に馴らして行きたいんですよ!
いきなりド本命を勧めてするんじゃないわよ!まったく
ショック療法が失敗してもっと苦手になるやないか!
ホラーとしてはなんというか、じゅわってくる感じでした
表題作『白い部屋で〜』はなるほどそっちか!って感じですね
ちょっとトリッキーな感じのオチは嫌いじゃないんですが、文章の感じがちょっと雑いというか
作者が狙っているような空気感は出せ -
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方丈記と平家物語に着想した、アレンジ小説です。特に方丈記では、朱川さんらしく、無常で儚げな市井の人々が語られています。
方丈記は、随筆ですが、疫病や火災等の災禍の歴史的史実が多く記録されていますので、それらの引用が多く創作とはいえ、平安の世を垣間見るようでした。平家物語(挫折中)と方丈記、同時期ですが視点の違う二作からの小説もあり、暖めていた構想なのかなと思いました。
揚羽蝶は、平家の家紋ですが、本当に何故だか、お墓によくいるんですよね。それもたくさんいるのではなくて、一頭で飛んでるんですよね。不思議。
芥川や森鴎外など古典からの作品は好きなものが多いので、朱川さんの次作も期待します。