朱川湊人のレビュー一覧
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ネタバレ朱川湊人がノスタルジー色を抑えて、ホラーと幻想を押しだしたら、こういう短編を書くのだなぁ、とある意味感心した1冊。古き良き郷愁を存分に味わいたい人にとっては、この本は外れなんだろうな。実際評価も割れているようである。
俺は、これはこれでアリだと思う。こういうのが読みたくない気分の日もあるんだけど、そうじゃない日は妖艶に耽溺したいタイミングもある。(俺的に)ちょっと歪んだ性癖を、リアル体験する趣味はないし勇気もないが、怖いもの見たさって野次馬根性はある。その欲求を程度の低い媒体で満たそうとすると悪酔いしてしまいがち。気分が悪くなる程度なら自業自得と納得もできるが、酔いが行動に出そうになると…非 -
Posted by ブクログ
ネタバレホラー短編集。
枯葉の日:全体的に暗いトーン(季節の描写含む)、確かに内容も暗いものだったけどわたし的には最後に救いがあったように思えたかな。きっと彼は彼女を殺してあげた。殺すことが大事なのではなく、その願いに気づき叶えてあげたこと。彼女はこれでやっと解放される、その自由にわたしは共感できたんだと思う。
しぐれの日:読み進めるにしたがって、ぞわぞわした気分になる話(作者の意図にまんまと乗ってる感が・・)。どんどん救われなくなる感じがね。自業自得なことではあるんだけど、幸せっていうのは簡単に手に入らないね。そのとばっちりが子供にくるなんて。
虎落ちの日:これも気持ち悪い・・。祖母の孫を思う気 -
Posted by ブクログ
大正時代の東京。画家を志す槇島風波は裕福な家を出て、風変わりな友人・穂村江雪華と同じ下宿に暮らしていた。
天才的な画力を持つ雪華は、さまよう魂を絵で成仏させる不思議な力の持ち主でもある。巷では、何者かが一人歩きの婦女子を縄で縛り上げ、金品を奪う「鬼蜘蛛事件」が起きていた。
妹の友達の護衛を引き受けた風波は、雪華とともに事件に巻き込まれ……(「鬼蜘蛛の讃美歌」)。
「黒のコスモス団」と名乗る不良少女団に呼び出された風波。兵役忌避で故郷を飛び出した女ボスの幼馴染が、雪華に瓜二つだというのだが……(「黒のコスモス少女団」)。
画業で結果を残さなければ家に戻ると、父親と約束してしまった風波。友人である -
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ネタバレ公園の遊具から落ちてケガをした妹…
母は呟いた…「運の悪い子」
ある日突然、家に現れた、怪しいけれどなんだかユーモラス、そして家事に堪能な謎の男“チキさん”
彼の一生こそが、まさに「運の悪い子」なんじゃないか?
中学生だった「僕」の一人称で語られているから、ほんわかした雰囲気で、チキさんの作る美味しい料理や、次第にチキさんに心を開いて仲良しになっていく母子家庭の兄妹が描かれていくけれど、実際には恐ろしい事件を引き起こしたカルト集団の話などと絡んで、平和な日常を一瞬にして失いかねない社会の話でもあるのだ。
『やっぱり幸せな家っていうのは、いつもきれいなタオルと、新しい卵がある家のことを言う