朱川湊人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
私もきっとこんな風に見てしまうのかも知れない。
パパが毎日娘を公園に連れてくるのを見たら
眉をひそめてしまうのかもしれない。
事情も知らないのに、奥さんを働かせてと
無責任な噂にのっかってしまうのかもしれない。
後に奥さんになる美智子さんと
人生のいいとこ取りをして、イッヒッヒと笑いあうために
大奮闘するトモローさんのお話。
自分で保守的だなぁ、と思ってしまいました。
知ってみればこんなに素敵で、こんなに幸せな家族は
そうそうないんじゃないかと思います。
温かかったですね。間違っていないことなら
頑張っていれば必ず道がつながっていく。
風当たりが強くとも家族を第一に考えていれば
必ず追い風が吹くときがある。
チーコちゃんは絶対いい子に育つぞと
頷く一冊です。
トモローさんの何事も楽しんでしまうところ
見習いたいです。
楽しい気持ちはきっと家族に伝わりますからね。 -
Posted by ブクログ
失業してしまったことをきっかけに
専業主夫の道を選ぶことになった25歳のトモロー。
男の人が家事・育児に専念するなんて・・・という好奇の眼差しの中
子どもと共にしなやかに成長していく男子の物語です。
25歳の男に成長という言葉は似合わないのかもしれないけれど、
子育てって、自分の成長過程を追体験することができる
絶好の機会なのだ。
忘れていた子どもの頃の気持ちを思い出したり、
反感を持っていた親へのわだかまりが消えたり。
こんな機会を女性が独り占めしてしまうというのは
なんとももったいないことなんじゃなかろうか。
とはいえ、子育て中に感じる
孤独感や閉塞感、公園デビューやママ(パパ)友との軋轢も
相当なものなのである。
『実際のストレスはこんなもんじゃないわ!』という
子育て真っ最中のママさんたちの声が聞こえてくるかもしれないけれど、
とりあえず、世の中のお父さんたちよ
男性が体験した貴重な子育て日記としてぜひ手に取ってみて下さい。 -
Posted by ブクログ
人や物がもつ記憶を読み取る能力がある“姉さま”とその妹“ワッコちゃん”。昭和30年代の東京を舞台に、人と人とのつながりや温かさ、少しの哀しみが沁みる連作短編小説。
時を経て、40年ほど前の子ども時代を、ワッコちゃんが柔らかな語り口で回想するかたちでストーリーは展開していきます。盗難事件や殺人事件、悲しい出来事が続きますが、姉さまやワッコちゃんを始めとした人間味溢れる登場人物のおかげで悲しいだけは終わりません。
この作品には「善か悪か」を読み手に問うシーンが多く登場し、ひとつの大きなテーマになっています。犯罪自体は悪です。しかしなぜ犯罪に手を染めなければならなかったのか、その背景には本人が苦しんだ過去や嘘や事実が隠されている場合もあり、悲しさと切なさが綯い交ぜになりました。
事件ものが多いなか、『流星のまたたき』は切なくも淡い恋模様が描かれとても優しい気持ちになります。
夕日が照らす土手や煙突、部屋に響くミシンの音、三つ指揃える礼儀など、古き良き昭和の情景が鮮やかに広がりノスタルジックな気分に。
『わくらば』の意味は追々分かってくるのでしょうか。続編も楽しみ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ前作の冒頭から、昔の友、雪華を懐かしんでの語りという体裁をとっているから、もう戻らない時の話であるとは分かって読んでいるのだけれど、何とも切ない気持になる幕切れだ。
前作は、怪しい体験も、なんだか若者の冒険ぽく、楽しげな要素も多かったのだが。
『鬼蜘蛛の讃美歌』
夢二経由で…西塔光児との出会い
『汝、深淵をのぞくとき』
のぞきからくりの世界
眠りの中で見る夢、将来の希望とか「望み」と言い直せる夢があるが、どちらにも該当しない第3の夢が、人にはある
『黒のコスモス少女団』
こういう子供たちは、この時代、多くいたらしいです。
今回の本は、女性の境遇を扱ったものが多い
『幽鬼(おに)喰らい』
闇水のような画家も、モデルがいそう
『銀座狼々』
結局狼の正体である念が誰のものなのかは分からない
『白い薔薇と飛行船』
出て来なくなったなあ…と思っていた、平河惣多との再会と別れ。
惣多のモデルは、村山槐多ですね。
風波が読まされた、人肉を喰らう小説は、「悪魔の舌」
今でも読むことができます。
竹久夢二や、芥川龍之介、夏目漱石などの超有名どころは実名で出てきますが、私の知識がないだけで、モデルがハッキリしている登場人物も他にいるのではないかと思われます。
前髪の惣三郎は、ちょっと違う使いようですが…
ついに雪華の正体は分からずじまいでした。 -
Posted by ブクログ
40代半ばとなった中年男性が少年時代のある時期に一緒に過ごした"謎の少年"との思い出を回顧するところから物語は始まる。朱川湊人お得意の当時の流行りや時代背景がマニアックに描写されており、空き地、探偵団、冒険、秘密基地等のキーワードは暗くなるまで遊び倒した"あの頃"を痛烈に思い出させる。子供同士の絆や友情、頑張っても頑張っても子供故の非力さにより世の中に対して何も出来ない悔しさが絶妙に描かれており、その苦味を噛み締めながら成長していくさまは涙を誘う。SFチックな要素を含んだファンタジー作品で全体的には陽気な内容ではあるが、貧乏、親の離婚、虐待、人の死、性同一性障害等のパンチの効いた出来事がスパイスとなり話を引き締める。死というものを考えた時、結局最後に残るのは生きてきたそれ迄のたくさんの喜びとたくさんの悲しみという本作のメッセージは胸に強烈に響く。