朱川湊人のレビュー一覧

  • 太陽の村

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     飛行機事故が原因で理解不可能な不思議な村に入ることになった主人公の話。大半はコメディタッチで進み、シモネタも含んだギャグも満載のエンターテイメント小説である。
     作者は私の同級生であり、作中に散りばめられる小ネタ的なギャグもいちいち分かってしまうところが面白い。最後になって明かされる秘密は夢オチでなくてよかったが、奇想天外で無理もある。
     主人公がいわゆる引きこもり型のオタクであり、没社会性の持ち主であることが、話の展開に欠かせない要素になっているのも面白い。
     ただ、家族の死があっさりと語られるなど、作品世界の軽さが際立っていて少々気になった。
     2010年に上梓され、2012年に文庫化し

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    2015年09月25日
  • 満月ケチャップライス

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    表紙と題名に惹かれて購入。

    温かくも切なさが残る読後感でした。
    チキさんはあの家族の中にいて幸せだったのだろうけれど、幸せになって欲しかったと思わずにはいられない。

    せめて最後、亡くなる前に再会してほしかった。2人に会いに来て欲しかった。

    現実はそううまくはいかない、それはわかってはいるけれど。

    タオルと卵はいつも新しいものを、ね。

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    2015年08月26日
  • 白い部屋で月の歌を

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    朱川湊人を初期作品からおいかけて読んでみようと思い手に取った本。

    表題作は角川ホラー大賞短編賞を受賞している作品。
    うん、上手い。荒削りではあるものの(特に主人公の正体やそれが暴かれる描写あたりはかなりザツいと個人的感想)文章は美しくてやるせなくて、澄んでいるかと思えば淀み、血の匂いがするかと思えば涙に変わり…

    読ませ方が実にうまいのだけど、物語の展開が気になってドキドキとページを繰るような感覚とは違う。物語の世界にスワーッと沈み込んでいくような感覚。それこそ気がつけば白い部屋で月の啼き声を聞いていてもおかしくないような。

    ラストの1文がちょっと作為的に悲しいが、それも味だと思わせる世界

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    2015年04月18日
  • わくらば追慕抄

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    同じ能力を持つ謎の女性が現れて、姉とは全く違う使い方をすることで人に不幸を与えていき、二人の過去も匂わせます。疑問は残されたままいつものように姉の力で問題を解決していきますが、最後もまたその女に邪魔をされ、あまりすっきりしない終わりで、次回もこのようにたびたび邪魔されていくのか、そして姉があまり長く生きられなかった理由も明らかになるのかなど気になるところで終わっています。続編はまだないようなのでもやっとします。

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    2015年04月15日
  • 都市伝説セピア

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    ネタバレ

    Q:口裂け女に出会って「私きれい?」って聞かれたらどう答える?
    A1:「きれいです」→これでもかぁとマスクを外したら、裂けた口が見えてその口で頸動脈食いちぎられて殺される
    A2:「不細工です」→鎌で口を割かれた後、殺される

    で、どうせ死ぬなら「そんなに殺したいか、かかってこんかい」とタイマン張る。という結論に達した小学校6年生。修学旅行帰り新幹線の中のバカな俺たちでした。

    というような青春時代を過ごした俺たちには、怖さよりも懐かしさがたまらない、タイトル通りのセピア色した短編幻想ホラー小説集。怖さに偏らず、切なさに偏らず、懐かしさというおもりでバランスとっているやじろべえみたいな作風が面白

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    2015年03月25日
  • 鏡の偽乙女 薄紅雪華紋様

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    浪漫香る大正時代の雰囲気なんかはとても好きですが、雪華の核心に迫らず続く感じなのでちょっと不完全燃焼。

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    2015年02月08日
  • あした咲く蕾

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    朱川さん、大好き。でもどれもノスタルジーあふれる内容で、ちょっと寂しくなった。表題作、「あした咲く蕾」、おばさん、本当手加減下手だったんだなぁ。猫又になっちゃったじゃないの・・・。

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    2015年01月16日
  • オルゴォル

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    子供は外(社会)との関わり合いにより成長する。大人と関わり合いを持つ事で新たな扉を開く事が出来る。かわいい子には旅をさせろ。と言うのは本当だな。

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    2014年12月19日
  • わくらば日記

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    朱川作品二作目でした。私は平成生まれでこの昭和三十年代のことは実際に体験したことがあるはずない。それなのにこの懐かしさは何なのだろうと『かたみ歌』に引き続き思いました。
    清廉潔白で心優しい鈴音と少しおてんばだけどまた心優しいわっこちゃん。怖い見た目とは裏腹に百合丸なんていう可愛い名前の神楽さん。とにかく自由奔放で強い茜ちゃん。ひとりひとりのキャラクターがとても愛おしかった。
    ものごとにはいろんな背景があって、自分から見える側面だけが真実ではない。普通の人は自分の側面からしか見えなくて、真実はあやふやになる。それを飛び越える力を持った鈴音。でも、見えることは本当に幸せなことなのか。すごく考えさせ

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    2014年11月29日
  • 白い部屋で月の歌を

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    ネタバレ

    【本の内容】
    ジュンは霊能力者シシィのもとで除霊のアシスタントをしている。

    仕事は霊魂を体内に受け入れること。

    彼にとっては霊たちが自分の内側の白い部屋に入ってくるように見えているのだ。

    ある日、殺傷沙汰のショックで生きながら霊魂が抜けてしまった少女・エリカを救うことに成功する。

    だが、白い部屋でエリカと語ったジュンはその面影に恋をしてしまったのだった…。

    斬新な設定を意外なラストまで導き、ヴィジョン豊かな美しい文体で読ませる新感覚ホラーの登場。

    第十回日本ホラー小説大賞短編賞受賞作。

    [ 目次 ]


    [ POP ]
    二作とも愛をテーマにしたホラー小説である。

    「白い部屋で月

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    2014年11月26日
  • オルゴォル

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    顔見知りのおじいさんの頼みを聞いてオルゴールを遠方まで届けることになったハヤト。お金欲しさに安請け合いした。それがきっかけで、大切にしなければならない友達、人それぞれの考えや事情、人の親切や愛情などいろいろなことを学ぶ。

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    2014年08月08日
  • 本日、サービスデー

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    ネタバレ

    書店でタイトルを見たときに感じたのが普段の日常から脱却した特別なことが起こるんだろうなと勝手に想像して読んだ。大まかに言ってしまえばその通りなんだがタイトルの小説以外にも短編が4つ入っていてどれも心が少しだけほっこりする作品で変な裏切りが無い分人によってはイメージ通りとか感じてしまうかもしれないがこれはこれでよいと思う。

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    2014年07月16日
  • オルゴォル

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    旅のストーリーとしては際立っているものではないと思いますがやはり戦争の遺恨を残す場所を廻りラストの盛り上がりはジ~ンとしますね。
    いい話だと思います。

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    2014年07月16日
  • あした咲く蕾

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    「カンカン軒怪異譚」という話が、一番心に響いた。

    ハラ減ると、ロクなこと考えない。

    おばちゃんの考え方に、確かにその通りだなと思った。

    どんなにやりたいことや、諦めたくないことがあっても、お腹が空いたままだと、なんだかどうでもよくなってしまうというような、経験をしたことがある人は、結構いるんじゃないだろうか・・・。

    でも、お腹がいっぱいになってみると、もう少し頑張ろう。生きてて良かったと思うのだから、不思議なものだ。

    肉や魚だけじゃなく、野菜、山菜、貝・・・。
    どんな食べ物にも命があって、その命をもらうことで、生かされている。

    どんな悩みも抱えている時は、深刻に考えてしまうものだけ

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    2014年07月13日
  • 銀河に口笛

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    ネタバレ

    今は図らずも遠く離ればなれになった友人に向かって語りかけるようにつづられた35年以上も前の少年時代の思い出。

    小学校3年の2学期の始業式の日に主人公モッチたちが通う小学校に転校してきた不思議な雰囲気を持つ少年リンダ。彼が小学4年の2月始め、つまり1年足らずで突然転校してしまうまでの間に起きた出来事を綴った物語です。

    それは、自分たち子供にはどうすることもできず味わう無力感だったり、人生経験に乏しい(それは子供であるが故に当たり前のことなのですが)ことによる無知・未熟さ、世の間の理不尽さにやり場のない憤りを感じながら、少しずつ大人になっていくことなのだと。

    昭和のあの時代に生まれ、少年時代

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    2014年06月08日
  • わくらば追慕抄

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    不思議な能力を持つ病弱で美しい姉と、妹のワッコちゃんの
    ノスタルジックな昭和事件簿第2弾。
    どこか物悲しい雰囲気を含みながら、本作では
    薔薇姫という敵が出てきます。
    姉さまと同じ力を持っていて、それを悪用している。
    しかも、薔薇姫は姉さまのことを知っている?
    正体は明かされてはいないから、きっと続くんだよね?
    前作もそうだったけど、読み始めた時に想像している
    事の成り行きとは、全く違う結末がいつも待っていて
    そこに優しさや温もりを感じる終わらせ方をしているから
    安心して読むことができます。

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    2014年05月05日
  • わくらば日記

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    朱川作品は「かたみ歌」以来、2作目。
    昭和初期のなんともノスタルジックで不思議なお話に
    心がザワザワしたのですが、今回も背景は昭和初期。
    いわゆる戦後の貧しくとも活力に溢れていた時代。
    特殊なところといえば、語り手である和歌子の
    病弱で美しい姉が、人や物の記憶を読み取る事が出来るという
    不思議な能力を持っていること。
    しかし、その力を使う事は激しく体に負担をかけることになる。
    優しくて大好きな姉の為、マネージャー的に姉を支える妹?
    楽しくて悲しくてやるせない色々な思い出をまとめた回想録。

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    2014年05月03日
  • 都市伝説セピア

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    ホラーって感じではないが、読み進むうちに
    闇の部分が見えてきて、奇怪なお話でありました。

    短編だけど、捻る部分は捻っていて
    「おおーそういうこと」
    とナカナカに面白うございます。
    私なりに評価高し

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    2014年04月24日
  • あした咲く蕾

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    ネタバレ

    ちょっと不思議で、しんみりしたり、ほろりとしたり
    雨が降る夜なんかにしっとりと読みたい短編でした。

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    2014年04月05日
  • あした咲く蕾

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    阿刀田高の後継者候補かなと思う。
    オチがあって、ブラックかホラーの短編が好きですけど、
    本書は暖かい話が多かったです。
    「雨つぶ通信」「虹とのら犬」が特に良くて涙が出そうでした。
    この作者の本をもっと読もうと思う。

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    2014年03月31日