朱川湊人のレビュー一覧

  • わくらば日記
    ノスタルジーには希望だけでなく悲劇前の哀しげな追憶も含むことがあって、最近の昭和ものにはその暗い側がないがしろにされてるよなぁ。

    って思ってたんだと、改めて思い出さされた本でした。
    主人公と幸薄そうな美人の姉、厳しくとも優しい毅然とした母の家族に、娼婦あがりの茜さんという女性たちが、まだまだ戦争の...続きを読む
  • 本日、サービスデー
     表題作の中編一編と短編四編収録

     一日だけどんな願いことも叶えれることを知った男の一日を描いた『本日サービスデー』、三途の川での橋渡し役と女性のやり取りを描いた『蒼い岸辺にて』。
     どちらも設定や展開はベターな作品だと思うのですが、朱川さんの語り口の巧さ、ベタな設定にも一つのスパイスといえるアイ...続きを読む
  • 赤々煉恋
    ストーリーはグロテスクだったり
    オドロオドロしかったり怖かったり
    だけど、全然怖くないし気持ち悪くもなく
    人間の業の悲しさが漂ってくる短編ばかりで
    読み終わると、なんだかホッとする
    朱川さんの小説は、他の小説では味わえない
    独特の世界を味わえるのです
  • 太陽の村
    去年くらいに読みましたが、めっちゃ笑いました。夢中で読みました。素直に面白かったです。
    最っ高のお気に入り! とするには至らないけれど、もし実際にこんな場所があったら……と、時折想像しています。
  • さよならの空
    最初はなかなか読み進まず、放置して、他の朱川湊人さんの作品を読んで「めっちゃ好き!」という勢いをつけてから改めて読みました。
    多分、最初の部分だけ見て「外国人の恋愛話? しかもややこしそうな内容?」と思ってしまったのだと思います。

    トモールが、なんやかんや言っても子どもらしくて本当に可愛かったです...続きを読む
  • 都市伝説セピア
    ホラー(?)短編集。
    なんとも不思議な小説でした。

    『アイスマン』 ノンコ可愛い。ラストが怖い!一押し。
    『昨日公園』 よくできてる!感動。
    『フクロウ男』 ミステリーっぽい。好き。
    『死者恋』 女性が怖い。
    『月の石』 個人的にはイマイチ。
  • 白い部屋で月の歌を
    ジュンは霊能力者シシィのもとで除霊のアシスタントをしている。仕事は霊魂を体内に受け入れること。彼にとっては霊たちが自分の内側の白い部屋に入ってくるように見えているのだ。ある日、殺傷沙汰のショックで生きながら霊魂が抜けてしまった少女・エリカを救うことに成功する。だが、白い部屋でエリカと語ったジュンはそ...続きを読む
  • あした咲く蕾
    昭和の東京の下町を舞台にした、ちょっと不思議でいい話七編。
    朱川さんは、こういうシチュエーションの物語を作ると本当に巧い。浪花節にならず、お涙頂戴でもないのに、ホロッときてクスッとくる。特に今回の作品はラストのスパイスに味わいがある。
    お気に入りは表題作、「カンカン軒怪異譚」「花、散ったあと」。
  • 都市伝説セピア
    「花まんま」がおもしろかったので
    デビュー作にもチャレンジ。
    ちょっと不気味な世界の中にも、
    ほのかに温かい空気感があって、
    1話1話独立しているのに、まとまっている作品です。
    おもしろいけど、怖いのが苦手なので星4つ。
  • 赤々煉恋
    黒朱川作品。
    様々な愛を描いた5編の短編集。
    どのお話も人の業の深さや狂気を、恥美的でおぞましく描いています。
    「死体写真師」の救いのなさと偏執、「私はフランセス」のどこか美しさすら感じさせる妄執、「いつか、静かの海に」のおぞましさが特に好みでした。
    後味も悪いので好みは分かれるとは思いますが、個人...続きを読む
  • オルゴォル
    主人公の小学校4年生の少年が、近所のお爺さんに頼まれ、東京から鹿児島にオルゴールを届ける話。
    大阪に住む離婚した父親とその再婚相手のミチコさん、そしてその友人で少林寺拳法三段の女性サエさん。そうした人に助けられながら目的地を目指します。
    最後の頃にちょっと霊的な雰囲気のところがありますが、朱川さん得...続きを読む
  • かたみ歌(新潮文庫)
    初めて読んだ作家さんです。勧められて読みましたが、読んで大正解でした。幽霊にまつわる話ばかりで怖さもありますが、それ以上に切なくて深い感動が心を満たしてくれます。舞台が昭和レトロの街なのも懐かしさがあっていいですね。たくさんの人に読んでもらいたい作品です。
  • わくらば追慕抄
    わくらば日記の続編。
    前作を気に入っていたので続編を楽しみにしていました。
    ハードカバーで出ている事は知っていたのですが、文庫で続む派なので心待ちにしていました。
    前作は、かなり前に続んだので、ワッコちゃんや鈴音など、おなじみのキャラクターの登場で嬉しくなります。
    又、今作では敵役として薔薇姫が登...続きを読む
  • 太陽の村
    SF? ミステリ?
    フリーターなデブが、家族旅行でのハワイからの帰りに飛行機事故である浜辺に打ち上げられる。その地は江戸時代よりも前の日本だった…。
    ちゃんと後半にはオチ(ネタ)があるのだけど、それにしても、現代の青年が、大昔に行けば、もう少し賢く生きられそうな感じだけど、どっぷり消費社会に浸かって...続きを読む
  • 都市伝説セピア
    ホラー短編集。
    ゾクッとしたり切なくなったり、怖さいろいろで、
    どんでん返しもあり、飽きずに読めた。

    「昨日公園」が良かったな。
  • 太陽の村
    その頃 私も浮かれていたけど・・・・・・「人類の進歩と調和」
    誰に 何に 向かって 言ってたんだろう。
  • 白い部屋で月の歌を
    タイトルがすでに多くを物語ってる。いったい誰が主人公何だとひきこまれた。美しいながらもどろどろとした雰囲気が醸し出されていた。二つ目の短編、終わりに一緒になって絶望を感じた。
  • さよならの空
    もし夕焼けがなくなるとしたら・・・。

    具体的には「夕焼け」だけれど、自分の身近にある少し心を和らげてくれるもの、の価値についての再確認ができる小説でした。

    役に立つたたないじゃなくて、何を大事にしていきてきたのか。

    そんなことを見つめなおすきっかけになります
  • 本日、サービスデー
    あーーーー満足。朱川さん、こんな楽しい感じのも書くんだー。幅があっていい!短編五作。どれも独特で面白い。 「あおぞら怪談」のるり子さんってあの妖怪アパートのるり子さんとはまた別手ですよね?!次の朱川さんがどんなのかとっても楽しみ。
  • あした咲く蕾
    昭和の東京下町が舞台の少し不思議な短編集。「湯呑の月」でやるせない気分になった。まぁ、いいとこどりされてるような気分になるよね……。

    そういえば、『わくらば日記』って続きまだかな。2冊目まで読んだけど。