朱川湊人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
昭和48年、小学校3年生の裕樹は県境に建つ虹ヶ本団地に越してきた。一人ぼっちの夏休みを持て余していたが、同じ歳のケンジと仲良くなる「遠くの友だち」。あなたの奥さまは私の妻なんです―。お見合い9回の末やっと結婚にこぎつけた仁志が突然現れた男にそう告げられる「秋に来た男」。あのころ、巨大団地は未来と希望の象徴だった。切なさと懐かしさが止まらない、連作短編集。
昭和小説の申し子とでもいうべき郷愁専門作家「朱川湊人」。ジャストの世代には甘酸っぱい時代の空気を胸いっぱいに吸い込ませ。その後の世代には昭和という時代への羨望を抱かせます。ネットも携帯電話も無い時代、今の人々が見ると不便極まりないと思うのでしょうが、どんどん時代が進んで行っているスピード感は昔の方が絶対にあったし、どんどん便利になっているという感覚でした。僕はもうちょっと後の世代なのですが、この時代の尻尾に属していたと思っています。
昭和賛美をするつもりはないです。何しろ高度経済成長真っ只中で、川は汚いし空気も汚い。煤煙で空はいつもぼんやりとした青で、人々の価値観も人よりも少しでも勝つ事を目指していたような気がします。
それでも人々は画面の前に縋りつく事も無く、近所の人々と交流してお互いに助け合い、商店には活気があふれて、頑張れば豊かになれるという希望がありました。多分に理想のフィルターが掛かっていますが、懐かしい時代だったなあと思い返します。
以前の「かたみ歌」は商店街、今回は団地です。マンモス団地という名前も懐かしいですね。色々な社会的問題は置いておいて、各々の心の中にある美化された昭和を想起させる、黄昏を感じさせる短編集です。こういう胸の奥に温めた密を滴らせるような物語を書かせたら天下一品です。 -
Posted by ブクログ
内容(「BOOK」データベースより)
都電が走る、この下町には、白い野良犬の“妖精”がいる。口が悪くて、おせっかい。そんな人たちが暮らす町に、ちょっぴり不思議で、ささやかな奇跡が起きる時…ここも東京。1970&80年代の思い出とともに、あなたも追憶の彼方へ―
懐かしさと切なさを書かせたら日本随一の名手です。表紙からして狙っている空気満載ですが、期待している人にはたまらない作品です。表紙に小さく出ている白い犬がプチで、どの話にもちょっとずつ出てきます。表題作はプチが主人公のです。
琥珀という東京の下町が舞台の連作です。40年代から現代までの間色々な人々の人生の移り変わりが描かれているあたりは、今までの作品を踏襲している為非常に安定感が有ります。今までのものよりも悲しみの部分を抑え目に、懐かしさを多めでブレンドしている為、切なさを求めていると若干物足りなさを感じますが、ぼんやりと自分が子供だったころの東京の街並みを思い出して気持ちよく物語に入って行けます。
友達や近所の人々今でも元気でいるだろうか?僕の事なんて覚ええていないだろうなあと思いながら、懐かしい町を歩きたくなります。 -
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昭和40年代の下町に住む6人の子供たち。
これはただのノスタルジー溢れる少年たちの成長物語ではない。
6人のうち1人、転校してきた男の子『リンダ』。
何とも不思議な力を持っている男の子で、どうやら地球の子供ではない。
この設定が非常に素敵。
そして子供たちの中の1人、『ミハル』は男の子なのだけれど、心は女の子。
今でいう性同一性障害。
今でこそ沢山の有名人が自分のジェンダーをカミングアウトして、
多くの人達に様々な“性”があるのだと、世間でも知られるようになっているけれど、
当時の日本でそれを表に出すのは、さぞ大変な事だったでしょう。
最初は戸惑っていた子供たちだが、時間が経つにつれて『ミハル』を自然と女の子として見ているシーンがとても良い。
子供の頃の記憶とは、どうしてこうもキラキラしているのでしょうか。
懐かしさと不思議さがうまく交わって、とても優しい作品でした。
他の星から来た子と仲良くなれるなんて、やっぱり
とても素敵。 -
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ネタバレ久しぶりの再読。
シリーズ第二作は、死者の様々な形や想いを描いた前作と逆に、生者の妄執や危うさを描いていた。
前作にあった『みれいじゃ』や『みれいじゃ』を創る蒐集家(コレクター)の本質に迫る部分がなかったのは残念だが、それは次回へのお楽しみということか。
今回出てきた人々も一歩間違えば『みれいじゃ』になっていたかも知れない(実際、そうなりそうだった人もいる)わけで、こういう想いや危うさはハラハラさせられる。
一方で風波と雪華との友人関係も更に深くなっていくが、雪華の秘密は明かされないまま。風波の生活も一変し、いよいよ次がシリーズ最終作となるのか。
個人的にはお欣との関係もまだ続いて欲しいとも思うが、さてどうなるか。