あらすじ
女性科学者テレサが開発した化学物質ウェアジゾンによって、夕焼けの色が世界中から消えてしまう事態に。最後の夕焼けを迎える日本で、テレサと小学生トモル、”キャラメル・ボーイ”らはある行動に出る……。
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Posted by ブクログ
中盤までにかけては、話がおだやかに進みすぎてちょっと読むのに時間がかかった。
後半にかけての話の流れはとても良かった。自分にはラストもかなりすっきりしたし。
トモルの将来が楽しみですね。
Posted by ブクログ
オゾン層を修復するために開発された化学物質「ウェアジゾン」で太陽光線から特定の波長が散乱され、「夕焼けの色」が地球上から消えてしまう世界が舞台。「当たり前の日常」が奪われたとき、人はどう感じるのだろうか。個人的には夕陽がなくなるのは耐え難い。その化学物質の開発者と本物の笑顔を失った少年が旅を通じてそれぞれの心が解けていく話。
朱川さんが登場人物や読者に“日々の営みの大切さ”を再認識させる、とどこかに書いてあったが、そこまで読み込むことはできなかった…。
登場人物の説明が飛ぶし、中途半端なところもあったけど、後半に向けて物語が収束していく中で、まぁ、別にいいや、関係ないか、と静かな納得が残った。
何でもかんでも科学的に考えてしまう主人公が最も非科学的な愛やら赦しなんかを原動に動いている感じも悪くなかった。
Posted by ブクログ
幻想的。
星新一さんの「午後の恐竜」を連想した。
物語は、夕焼けの中、戦地に出向く恋人ケンを見送る20歳のテレサのシーンから始まって、
メインの話はその60年以上あと、科学者となったテレサが発明したウェアジゾン(たぶん造語)・・・オゾンホールの拡大を食い止める薬品を世界中に散布するところから始まる。
夕焼け・・・たしかにオレンジ色の空は美しいが、それがなくなったとしたら世界中の人は実際にどんな反応を示すだろう・・・。
別に、と答える人も多いかもしれないが、「朱川湊人」というペンネームが、「朝焼けでオレンジ色に煌めく荒川の水面」を車窓から眺めていた大学通学時の思い出に起因しているそう。
朝と夕方は違うが、その「原体験」から着想を得たのかな、と想像すると、作品全体が、僕の大好きなオレンジ色の輝きを放ってきて、満ち足りた気分になる。
僕には、いい読みごこち。
Posted by ブクログ
最初はなかなか読み進まず、放置して、他の朱川湊人さんの作品を読んで「めっちゃ好き!」という勢いをつけてから改めて読みました。
多分、最初の部分だけ見て「外国人の恋愛話? しかもややこしそうな内容?」と思ってしまったのだと思います。
トモールが、なんやかんや言っても子どもらしくて本当に可愛かったです。
もう戻れない切なさに満ちていながら、それでも未来への希望が見えるような、良い作品でした。
Posted by ブクログ
もし夕焼けがなくなるとしたら・・・。
具体的には「夕焼け」だけれど、自分の身近にある少し心を和らげてくれるもの、の価値についての再確認ができる小説でした。
役に立つたたないじゃなくて、何を大事にしていきてきたのか。
そんなことを見つめなおすきっかけになります
Posted by ブクログ
初長編。
解説松尾たいこ氏。(表紙担当の方)
冒頭プロローグから 夕焼けとさよならした状態なので
本編はどんなスペクタクルな展開が…、と思ったら
結構ほのぼの系??
そこまで強烈!!な感想は抱かず。
でも、今の北朝鮮のミサイルがきても、毎日変わらぬ日常を過ごしているわけだし
そんなものかもしれない。。
キャラメル・ボーイの情緒に今後変化はあるのか
伊達のおじさんはどういう選択をしたのかが気になる。。
Posted by ブクログ
環境破壊による地球規模の危機。
その対策として取られたウェアジゾンの散布。
夕焼けがなくなったからといって日常生活に支障が出るわけではない。
それでも、多くの人にとってはやりきれない思いがすることなのだろう。
反対派の人たちは声高に非難の叫びをあげる。
では、オゾンホールの出現によって家族や友人が被害にあったとき、それでも反対と言えるのだろうか。
他に対策がなく、緊急の措置が必要だったことを知れば、また反応は変わるのだろうか。
知留の張り付いたような表面だけの笑顔。
良いことをすれば・・・という、子どもながらの決意が哀しい。
死者との再会は楽しいことばかりではない。
懐かしいと思う人もいれば、辛いと思う人もいる。
でも、朱川さんらしい優しさと明日への希望を感じるラストだった。
Posted by ブクログ
夕焼け消失、こういうテーマならノスタルジーが売りの朱川ワールド絶対合うよなぁ…と思ったんだけど。
なんだか上滑りしたなぁ。中盤くらいまでずっとリズムに乗れずで集中力にもかけてしまい、謎の男とかテロリストとか女科学者とかおかんとかのキャラクターも頭の中で整理がつかない状態。俺の読書力も問題でもあるんだろうけど
クライマックスのシーンから、やっと朱川さんらしい盛り上がりが出てくるんだけど、とってつけた感もありーので…
無理して書いたんちゃうの?って思えてしまう1作でした。
Posted by ブクログ
なんかきれいなお話だったなぁ。自分は夕焼けをいつ見て、ほーっと思ったかなぁ、って思いつつ読んだ。あれれ、でも夕日が見えないということは、紫外線から守られているってことじゃないの?UV-Cはオゾンホールがふさがれても降り注いでいるのかな?あーーー途中斜め読みしてたのばれちゃったか。
Posted by ブクログ
オゾンホールの拡大を食い止める為に使用される化学物質が、夕焼けの色を消してしまう。夕焼け最後の日に日本はどうなるのかという話。
発想は面白いが、ドキドキするようなクライマックスに欠ける。
ただ、当たり前のものが当たり前でなくなる時は起こり得るということは肝に銘じたいと思った。
Posted by ブクログ
朱川さんと言うとノスタルジック・ホラーですが。。。。
オゾンホール拡大を抑える薬剤が夕焼けを失くしてしまうという設定はSFめいています。しかし、SFにしては説明が中途半端でむしろ不信感だけが残ります。(もちろん嘘で良いので)きっちり説明するか、いっそ全く説明しないほう良いのに。。。
文庫新刊で「へ〜、こんな方向も模索してるんだ」などと思いながら読んでいたのですが、どうもたどたどしさの様なものを感じます。変だなと思っていたら、初期の(と言っても『かたみ歌』と同時期ですが)作品だそうです。模索はしたけど引いた領域なのかもしれません。
そうした所を除いてしまえば、人物造形もまずまずですし、朱川さんらしい優しさも有ります。エンディングは気持ちの良い作品でした。
Posted by ブクログ
オゾン層の破壊を食い止めるために散布された化学物質ウェアジゾンにより、
夕焼けが消えてしまうことになった世界を舞台とした近未来SF。
夕焼け関連の科学的設定以外はごく普通の現実と変わらないのでSFの印象は薄い。
ウェアジゾンを開発したアメリカ人科学者のテレサが、手放した娘に会うため偶然出会った小学生のトモルと共に横浜へ向かうロードムービー。
とてもひかれる設定で、「夕焼けがなくなる」ということから生まれるノスタルジックな空気は心地いいものの、物語自体は薄い。
テレサの人間性にも疑問があるし、
トモルは弟が事故死するきっかけを作ってしまったという過去を持つが、
それがまったく生きていなくて単にうじうじしているだけ。
途中から合流してくる謎の男も魅力に欠ける。
またウェアジゾン散布計画を妨害しようとしているらしいテロリストも、もっとどうにでもしようがあったのではないかと物足りなさを感じる。
多数の関係者がひとつのゴールへ収束していくタイプの話で、
ストーリーも登場人物も、設定はいいものがあるのに中身が薄い印象。
どうでもいいことにページを割いている感じがして冗長だなあと思ってしまった。