あらすじ
大正三年、東京。画家を志して家を飛び出した槇島功次郎は、雪の無縁坂で、容姿端麗な青年画家・穂村江雪華(ほむらえせっか)と出会う。風変わりだが聡明、ずば抜けた画才を持つ雪華は、この世に未練を残して死んだ者の魂を絵で成仏させる、驚くべき能力の持ち主だった。果たせぬ恋、罪深き業……死者たちの断ち切れぬ思いが、二人の周囲に不可思議な現象を巻き起こす。幻想と怪奇に満ちた、大正怪異事件帖。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
大好きな作家ですが、ここ数年読んだ作品にイマイチ気持ちが乗らず、しばらく遠ざけていました。しかし仕事で近代の新聞連載小説等の挿絵を見る機会が多く、積読の山の中にあった本作は大正時代の画家が主人公だからまさにピッタリで。久しぶりにこれが私の好きな朱川湊人だと思えました。
この世に未練があるせいで成仏できない霊たちが出没する下宿屋。『妖怪アパート』のように可愛くはありません(笑)。霊を払う技を持つ謎の青年画家と、彼のことを妙な奴だと思っていたら意外に自分にも霊を見る力があると知った主人公。
霊たちの想いがわかるとき、とても切ない。表題作については、解決方法を主人公と同じように推理していたため、何もわかっちゃいない自分に気づかされて愕然。成仏する姿に泣きました。
Posted by ブクログ
評価は3.5といったところか。キャラクターは魅力的だが、描写が少々拙い。とはいえ著者の新境地、大正ロマンホラー(そこまで怖くはないが)として、今後に期待したい。
Posted by ブクログ
続編の刊行に合わせての再読。
不思議な力を持つ雪華。
画家志望の友人風波。
不思議で、ちょっと怖いけれど、切ないお話。
みれーじゃの存在の悲しさ、痛ましさ。
死の間際、特にそれが突然であれば、果たせなかったことに執着してしまうことだってある。
悲しいことだけど。
それを利用する蒐集家とは、どういう存在なのか。
それも気になるのだけど、雪華たちが魅力的だし、彼らの掛け合いも楽しいので、その後を知ることができるのが楽しみ。
Posted by ブクログ
朱川湊人の新境地、今までの昭和レトロからちょっと遡って大正ロマン時代のホラー…と言うより幻想奇譚シリーズ。
大傑作という感じではなく、まだアイドリングで温めてる状態かな。シリーズとしての土台を積んでる感じ。
「みらいじゃ」を追うにしても、一話のような語り手たちの絵描きという特徴をもっと使いこんだ方がいいんじゃないかなぁ、と個人的には思うが、まだまだここからのシリーズらしいので楽しみにしておこう。
Posted by ブクログ
大正時代の画家(見習い)が遭遇する怪異譚。と言ってもどこか哀愁を帯びていて、恐ろしさはあまりない。得体の知れない美貌と博覧強記知識の持ち主の雪華の正体が気になるところ。未練者かな。
Posted by ブクログ
大正時代を舞台にした、ちょっと不思議なお話です。
ノスタルジーな雰囲気を味わうにはいいですが、
推理ものを期待して読むと肩すかしを喰らうかもしれません。
Posted by ブクログ
大正時代初期の東京を舞台に、この世とあの世の狭間に蠢く魂の謎を若き天才画家が解明する物語。
ジャンル的にはファンタジーホラーでしょうか。大正という時代設定がぴったりはまって、何となくもの悲しさを感じる。死者の現世に残した未練が不思議な現象を起こし、雪華の不思議な能力でおさめていくパターン。シリーズ化されそう。