朱川湊人のレビュー一覧

  • なごり歌

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    内容(「BOOK」データベースより)
    昭和48年、小学校3年生の裕樹は県境に建つ虹ヶ本団地に越してきた。一人ぼっちの夏休みを持て余していたが、同じ歳のケンジと仲良くなる「遠くの友だち」。あなたの奥さまは私の妻なんです―。お見合い9回の末やっと結婚にこぎつけた仁志が突然現れた男にそう告げられる「秋に来た男」。あのころ、巨大団地は未来と希望の象徴だった。切なさと懐かしさが止まらない、連作短編集。

    昭和小説の申し子とでもいうべき郷愁専門作家「朱川湊人」。ジャストの世代には甘酸っぱい時代の空気を胸いっぱいに吸い込ませ。その後の世代には昭和という時代への羨望を抱かせます。ネットも携帯電話も無い時代、今

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    2018年04月17日
  • 都市伝説セピア

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    ニヤリとするラストのアイスマン
    完成度が高く切なく泣ける昨日公園
    意外な展開になるフクロウ男
    の3篇が面白かった。

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    2018年03月10日
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀

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    内容(「BOOK」データベースより)
    都電が走る、この下町には、白い野良犬の“妖精”がいる。口が悪くて、おせっかい。そんな人たちが暮らす町に、ちょっぴり不思議で、ささやかな奇跡が起きる時…ここも東京。1970&80年代の思い出とともに、あなたも追憶の彼方へ―

    懐かしさと切なさを書かせたら日本随一の名手です。表紙からして狙っている空気満載ですが、期待している人にはたまらない作品です。表紙に小さく出ている白い犬がプチで、どの話にもちょっとずつ出てきます。表題作はプチが主人公のです。
    琥珀という東京の下町が舞台の連作です。40年代から現代までの間色々な人々の人生の移り変わりが描かれているあ

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    2018年03月09日
  • 銀河に口笛

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    昭和40〜50年代に小学生だった著者と同世代の人でなければたぶんツライ。どんぴしゃの世代なら、オレンジ色の空と歩道橋と建物、この表紙だけで郷愁に浸れそう。

    あのとき「ボク」たちが流れ星を追いかけた先にたたずんでいた「キミ」。35年前のことを回想しながら、ボクはもう会えないキミに語りかける。キミはきっと宇宙人。

    ウルトラマンに仮面ライダー、(たぶん)カンロ飴と、その頃を懐かしむ要素がいっぱい。だけど、ノスタルジックな小説の名手にしては期待値より上とは言えなくて、阪本順治監督の『団地』(2015)を観たときのような気分です。

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    2018年02月21日
  • さよならの空

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    ネタバレ

    初長編。
    解説松尾たいこ氏。(表紙担当の方)

    冒頭プロローグから 夕焼けとさよならした状態なので
    本編はどんなスペクタクルな展開が…、と思ったら
    結構ほのぼの系??
    そこまで強烈!!な感想は抱かず。

    でも、今の北朝鮮のミサイルがきても、毎日変わらぬ日常を過ごしているわけだし
    そんなものかもしれない。。

    キャラメル・ボーイの情緒に今後変化はあるのか
    伊達のおじさんはどういう選択をしたのかが気になる。。

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    2017年12月06日
  • キミの名前 箱庭旅団

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    さまざまな世界を箱庭に見立てた連作短編集「箱庭旅団」シリーズ第3弾。
    コメディタッチ風あり、ゾッとする奇妙な物語あり、SF設定の不思議な世界観ありと実にバラエティーにとんでいる。逆にそれが落ち着きに欠けている。ちょっとブラックだけど面白かったのは、「サトミを泣かせるな」。

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    2017年09月23日
  • 銀河に口笛

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    小学三年生の少年たちが奇妙な流れ星を見た日、不思議な力を持つ少年と出会う。身の回りに起こる事件を経て、成長する少年たちを描くノスタルジー小説。
    懐かしい昭和40年代の風景が甦る。少年時代の世界は狭かったけど、夢と希望は無限だった。それぞれの事情で、あの頃のようには再び戻ることはできないが、決して忘れられない日々である。朱川版「スタンド・バイ・ミー」。

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    2017年07月19日
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀

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    278頁より

    子供は親の「願望達成機」ではない。

    まして見栄だの世間体を満足させるための

    生き物でもないのだ。

    291頁より

    本当に優しい人というのは

    同時に深い悲しみを知っているもの

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    2017年07月10日
  • 満月ケチャップライス

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    家族がテーマとなっている話。
    アットホームな内容だとばかり思って読み進めていたら、かの有名な宗教団体などが出てきたり、
    少し想像していたのとは違う感じ。

    私、この方が描く家族に何だか違和感を覚える。
    何だろか、親が余りにも親らしくない、親になりきれていないと言うか。
    普通、自分が連れ込んだ男が、自分の娘に危害を加えていたら、
    その後同じ様なことは繰り返さないでしょう…
    と思うのですが。

    話全体としては中々面白くて、チキさん好きだなぁと思えるのですが、
    やはり親がナチュラルに糞で、私の中ではそれが際立ってしまいました。

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    2017年06月02日
  • 水銀虫

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    ブラックです。「薄氷の日」森のくまさん♪と「微熱の日」山ワロは、小説の中のこととはいえ、よくもこんな出来事が・・・と、描写に目を背けたくなった。でも、朱川さんの作品は好んで読んでしまう。

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    2017年05月21日
  • 遊星小説

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    世界の不思議な出来事すべてがこの一冊に。名手の技が光るショートショート集。
    ちょっとした思いつきが、大胆な発想でひとつのストーリーになる。プロの作家はやっぱりただ者ではない。面白かったのは「不都合な真実」。オチは笑わずにはいられない。

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    2017年05月16日
  • 銀河に口笛

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    昭和40年代の下町に住む6人の子供たち。
    これはただのノスタルジー溢れる少年たちの成長物語ではない。
    6人のうち1人、転校してきた男の子『リンダ』。
    何とも不思議な力を持っている男の子で、どうやら地球の子供ではない。
    この設定が非常に素敵。

    そして子供たちの中の1人、『ミハル』は男の子なのだけれど、心は女の子。
    今でいう性同一性障害。
    今でこそ沢山の有名人が自分のジェンダーをカミングアウトして、
    多くの人達に様々な“性”があるのだと、世間でも知られるようになっているけれど、
    当時の日本でそれを表に出すのは、さぞ大変な事だったでしょう。
    最初は戸惑っていた子供たちだが、時間が経つにつれて『ミハ

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    2017年05月07日
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀

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    登場人物の生まれ育った、もしくは、一時期を過ごした町への郷愁とか愛着に寄り添う感じの短編集。
    琥珀という町が舞台というのが共通していて、お話ごとに時代が微妙にずれています。全体的にほっこりしたり、じーんときたりするストーリーで、商店街の雰囲気なんかにこちらまで懐かしさを感じる錯覚もあったり。
    でもプチの存在感が思ったより薄い印象。悪くはないけど、あんまり自分のなかに残らない読後感です。

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    2017年04月27日
  • 黒のコスモス少女団 薄紅雪華紋様

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    「鏡の偽乙女」の続巻。前巻の冒頭にもあったので、風波と雪華の別離が訪れるのだろうな。その時雪華の正体が分かるんだろう。知りたいけど知りたくない。
    この二人の掛け合いが面白くて、声を出して笑ってしまう。「みれいじゃ」の三郎も
    いい奴だし、西塔も(憎まれ役?)好きだな。惚多が残念なことになってしまうが。
    どの話も、美しく悲しい。続きが気になる。

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    2017年04月27日
  • 満月ケチャップライス

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    主人公の進也は中学1年生。妹の亜由美は小学4年生。美人と言われているけれど寝顔と怒った顔は般若のような母と3人で暮らしています。ある日、母が連れてきたモヒカン男チキさん。その髪型に似合わず弱々しい彼は料理上手。しかも超能力が使えて……。一見穏やかなファンタジーですが、重いのなんのって。坂本弁護士一家殺害事件や地下鉄サリン事件がモチーフになっています。朱川湊人の作品中、子ども目線で語られるものは大人目線のものより苦手かも。なんだか説教くさくなって、そのうえ切なさが足りない。ただ、3人で料理する姿はとても楽しそうで○。

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    2017年04月25日
  • 黄昏の旗 箱庭旅団

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    現在過去未来、さまざまな世界を舞台にしたショートストーリー15篇の箱庭旅団シリーズ第2弾。
    朱川湊人版『世にも奇妙な物語』。奇想天外な物語が宝石箱にいっぱい詰まっている感じ。個人的には、ちょっとブラックなストーリーが好きなので、電車から見える旗を目指して行くと別れた妻子に出会う『黄昏の旗』と、母から渡された手紙の謎が怖い『時計のまち』がお気に入り。

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    2017年04月23日
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀

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    琥珀という町に生きた人たちのお話。

    琥珀という町の刻んできた歴史のお話。

    ふんわりとノスタルジックな印象の1冊。

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    2017年04月02日
  • 白い部屋で月の歌を

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    霊を剥がすことができる先生のお手伝いをしている誰か。その正体は、読んでいてもはっきりせず、その本人自身もよくわかっていないようだ。徐々にその正体がわかってくる。霊剥がしの依頼こどに読み進めれるので、手軽に面白く読める一冊。

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    2017年03月31日
  • 黒のコスモス少女団 薄紅雪華紋様

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    ネタバレ

    久しぶりの再読。
    シリーズ第二作は、死者の様々な形や想いを描いた前作と逆に、生者の妄執や危うさを描いていた。
    前作にあった『みれいじゃ』や『みれいじゃ』を創る蒐集家(コレクター)の本質に迫る部分がなかったのは残念だが、それは次回へのお楽しみということか。
    今回出てきた人々も一歩間違えば『みれいじゃ』になっていたかも知れない(実際、そうなりそうだった人もいる)わけで、こういう想いや危うさはハラハラさせられる。
    一方で風波と雪華との友人関係も更に深くなっていくが、雪華の秘密は明かされないまま。風波の生活も一変し、いよいよ次がシリーズ最終作となるのか。
    個人的にはお欣との関係もまだ続いて欲しいとも思

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    2017年03月28日
  • さよならの空

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    環境破壊による地球規模の危機。
    その対策として取られたウェアジゾンの散布。
    夕焼けがなくなったからといって日常生活に支障が出るわけではない。
    それでも、多くの人にとってはやりきれない思いがすることなのだろう。
    反対派の人たちは声高に非難の叫びをあげる。
    では、オゾンホールの出現によって家族や友人が被害にあったとき、それでも反対と言えるのだろうか。
    他に対策がなく、緊急の措置が必要だったことを知れば、また反応は変わるのだろうか。
    知留の張り付いたような表面だけの笑顔。
    良いことをすれば・・・という、子どもながらの決意が哀しい。
    死者との再会は楽しいことばかりではない。
    懐かしいと思う人もいれば、

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    2017年02月24日