朱川湊人のレビュー一覧
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内容(「BOOK」データベースより)
昭和48年、小学校3年生の裕樹は県境に建つ虹ヶ本団地に越してきた。一人ぼっちの夏休みを持て余していたが、同じ歳のケンジと仲良くなる「遠くの友だち」。あなたの奥さまは私の妻なんです―。お見合い9回の末やっと結婚にこぎつけた仁志が突然現れた男にそう告げられる「秋に来た男」。あのころ、巨大団地は未来と希望の象徴だった。切なさと懐かしさが止まらない、連作短編集。
昭和小説の申し子とでもいうべき郷愁専門作家「朱川湊人」。ジャストの世代には甘酸っぱい時代の空気を胸いっぱいに吸い込ませ。その後の世代には昭和という時代への羨望を抱かせます。ネットも携帯電話も無い時代、今 -
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内容(「BOOK」データベースより)
都電が走る、この下町には、白い野良犬の“妖精”がいる。口が悪くて、おせっかい。そんな人たちが暮らす町に、ちょっぴり不思議で、ささやかな奇跡が起きる時…ここも東京。1970&80年代の思い出とともに、あなたも追憶の彼方へ―
懐かしさと切なさを書かせたら日本随一の名手です。表紙からして狙っている空気満載ですが、期待している人にはたまらない作品です。表紙に小さく出ている白い犬がプチで、どの話にもちょっとずつ出てきます。表題作はプチが主人公のです。
琥珀という東京の下町が舞台の連作です。40年代から現代までの間色々な人々の人生の移り変わりが描かれているあ -
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昭和40年代の下町に住む6人の子供たち。
これはただのノスタルジー溢れる少年たちの成長物語ではない。
6人のうち1人、転校してきた男の子『リンダ』。
何とも不思議な力を持っている男の子で、どうやら地球の子供ではない。
この設定が非常に素敵。
そして子供たちの中の1人、『ミハル』は男の子なのだけれど、心は女の子。
今でいう性同一性障害。
今でこそ沢山の有名人が自分のジェンダーをカミングアウトして、
多くの人達に様々な“性”があるのだと、世間でも知られるようになっているけれど、
当時の日本でそれを表に出すのは、さぞ大変な事だったでしょう。
最初は戸惑っていた子供たちだが、時間が経つにつれて『ミハ -
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ネタバレ久しぶりの再読。
シリーズ第二作は、死者の様々な形や想いを描いた前作と逆に、生者の妄執や危うさを描いていた。
前作にあった『みれいじゃ』や『みれいじゃ』を創る蒐集家(コレクター)の本質に迫る部分がなかったのは残念だが、それは次回へのお楽しみということか。
今回出てきた人々も一歩間違えば『みれいじゃ』になっていたかも知れない(実際、そうなりそうだった人もいる)わけで、こういう想いや危うさはハラハラさせられる。
一方で風波と雪華との友人関係も更に深くなっていくが、雪華の秘密は明かされないまま。風波の生活も一変し、いよいよ次がシリーズ最終作となるのか。
個人的にはお欣との関係もまだ続いて欲しいとも思 -
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環境破壊による地球規模の危機。
その対策として取られたウェアジゾンの散布。
夕焼けがなくなったからといって日常生活に支障が出るわけではない。
それでも、多くの人にとってはやりきれない思いがすることなのだろう。
反対派の人たちは声高に非難の叫びをあげる。
では、オゾンホールの出現によって家族や友人が被害にあったとき、それでも反対と言えるのだろうか。
他に対策がなく、緊急の措置が必要だったことを知れば、また反応は変わるのだろうか。
知留の張り付いたような表面だけの笑顔。
良いことをすれば・・・という、子どもながらの決意が哀しい。
死者との再会は楽しいことばかりではない。
懐かしいと思う人もいれば、