朱川湊人のレビュー一覧

  • 本日、サービスデー
    表題作を含む短編集。不思議な世界に誘われる。「あおぞら怪談」が出色。これだけなら☆5つ。性欲とは無縁な純愛が長年とりついて離れなかったるり子の魂を天空に解き放つ。人を思いやる愛情に心が揺さぶられ、青空の青が目にしみた。「気合入門」、「青い岸辺にて」は子供たちに読ませてやりたいような仄々と心温まる作品...続きを読む
  • あした咲く蕾
    少し不思議に包まれた物語でした。
    電車内で読み始めてしまったのですが、
    表題作でおばさんを思う男の子と
    お姉さんの気持ちに重なってしまい、
    半泣我きで我慢するはめになりました。

    美味しい元気のでるチャーハンを食べたいし、
    虹の香りも、嗅いでみたいです。
  • わくらば追慕抄
    わくらばシリーズ第二弾!!とても良かった。薔薇姫とか新キャラが出てきて続きが気になる。二人が成長している。お姉さんとのお別れがどんどん近付いてきていて切なくなります。
  • あした咲く蕾
    不思議な話が入ってる。
    短編。
    朱川ワールドなんだろうけど。
    でもそういうこともあるんだろうなっていう。
  • あした咲く蕾
    夢中になって読みました
    時代は昭和、語り部のそれぞれの主人公はほぼわたしと同年代
    住んでいる場所は違えども、情景は手に取るようにわかるのも
    この小説にのめり込んだひとつの理由かもしれないです
    それぞれの短編の中の少し不思議な話が違和感なく
    人の心のさびしさやむなしさ、やさしさが淡々と流れている感じ
    ...続きを読む
  • あした咲く蕾
    柔らかく、暖かく、そこにほんの少しのホラー。そして"昭和"のノスタルジー。
    朱川さんという事で分類的にはホラーにしましたが、ホラーと言うより"不思議"と言うレベルです。
    暗さを感じさせる短編は少なく、むしろ明るく軽やかです。別離や悲しみもあるのですが、全体に透明感があり、希望がぶら下がって居るからな...続きを読む
  • 水銀虫
    人の心に巣くう「水銀虫」。
    それに取りつかれ罪を犯した人々の7つの物語を収録したホラー短編集。

    朱川さんは好きな作家さんのひとりですが最近読んでいませんでした。
    久しぶりにあの怖さを味わいたい、と思い本書を手にとったのですがやっぱり期待を裏切りませんでした!

    どの話もぞわわわ~っとしますがなかで...続きを読む
  • 赤々煉恋
    ちょっと特殊な世界を描いた短編集。光景はおそらく不気味なはずなのに、叙情的で…気がつくと引き込まれていた。「アタシの、いちばん、ほしいもの」が一番好き。伏線のすごさには驚き読み返したほど!
  • 赤々煉恋
    22歳、若く美しいまま亡くなった妹の思い出を残したいと、遺体の撮影をカメラマンに託したら…。

    ネクロフィリアやアクロトモフィリア、全く共感はできないが朱川氏の描き方が美しいので引き込まれてしまう。

    こうやって読むと東電OLをモチーフにした作品は相当数あって、いかに作家魂を刺激する事件だったのかが...続きを読む
  • わくらば追慕抄
    昭和の時代に、他人の記憶を読むことが出来る少女とその妹のお話。
    「わくばら日記」に続く第2作である。
    ノスタルジックな連作短編集だが、洞爺丸事故を題材とした1篇が悲しい。
  • あした咲く蕾
    『大阪万博』『仮面の忍者赤影』『公団住宅』『ワイルド7』『カルメン・マキ』そういった 時代背景に7つの短編が収録されている。
    これらの物語には、わずかなものでもよく見ることができる、かすかな声でもよく聞くことができる、小さな幸せを、より感じることのできる心を持っている。そういった人たちが生活している...続きを読む
  • わくらば追慕抄
    時は昭和30年代。
    人や物の記憶を見ることができる不思議な能力の持ち主の姉とそれを支える妹の物語。
    「わくらば日記」の続編です。

    人の記憶を見ることができるからと、人に頼られたり、逆に恐れられたり・・・。ちょっと切なくなることもあるけれど、温かい気持ちになれました。
  • 本日、サービスデー
    とにかく、どの作品もおもしろく目の付け所が良い。作者は、『もしも...』という
    非日常を書くのにこだわっており、読みやすかった。
    ただ、どの作品ももう少し長くなると更に肉付きがよくなり、ボリューム感がでると感じた。
  • わくらば追慕抄
    舞台は昭和初期。不思議な力を持った姉様とワッコが送った懐かしい日々の回想。

    前作の続きなのだが、姉さんこと鈴音はものや人の記憶を読むことができる。いわゆるサイコメトリーが可能で、その力を使って日常生活で起こる様々な問題を解決していく。
    回想録ということもあり、姉の命の残り少なさも切ないが、姉がどう...続きを読む
  • 本日、サービスデー
    一生に一度のサービスデーを返還したことで、多くの命が
    救われた。

    人に感謝されるようなことって、
    なかなかできないので、

    感動的。
  • 水銀虫
    人の魂に入り込んで這いずり回り穴を無数にあけていく水銀虫。タイトルどおりうずうずと虫が這いあがってくるような短編集です。一人勝ち組だと思い込んでいる女の話、孫を事故で亡くした祖母の話は怖かった。
  • わくらば追慕抄
    やはりと言っては失礼だが、前作の方が幻想的でノスタルジーだった気がする。
    終わり方はしんみりと続きが気になって、面白かったと思えるのだが若干中だるみした(読むペースが)。
    そろそろ姉さまが死んだ話もして欲しいし、吹雪さんとの関係も明かして欲しい。
    いい雰囲気な話だけに、ダラダラと引き伸ばして欲しくな...続きを読む
  • わくらば追慕抄
    超能力モノなのに全く違和感ないのがすごい…(遺跡の話ね)。
    吹雪さんの話はちゃんとオチがつくといいなぁ。
  • わくらば追慕抄
    『わくらば日記』の続編。

    各短編の内容はシリアスなものが多いですが、語り口調の柔らかさや登場人物たちの暖かさのおかげで読後感が暗くなることもなく、安心して読むことができました。

    新キャラも今作では登場しますが、中でも注目は鈴音と同じ能力を持ちその能力を悪用する御堂吹雪。彼女と鈴音の関係については...続きを読む
  • 水銀虫
    理性が壊されていくときの、ぞくぞくとした違和感。高揚ともとれるような一種の解放感。
    そんな、人間が一瞬の間に見せる、本来的な姿、
    バランスを崩し転がり始める、その微妙な一瞬の感覚を
    体の中を蠢く虫のはいずりになぞらえる。

    それは朱川さんしかできない表現だと思う。

    人間は、社会的な人間だからこそ、...続きを読む