朱川湊人のレビュー一覧
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ネタバレ昭和の高度成長期から平成にかけて、都電が走る町を舞台に人間ドラマを描いた連作短編集。
全体を通して、温かくおおらかな昭和の雰囲気が伝わってきて、どこか懐かしい気持ちになりました。
失敗や後悔を乗り越えるストーリーが多く、救いはあるものの切なくも感じました。
冒頭の「追憶のカスタネット通り」は、街の描写が細やかで、世界観がすっと頭に入ってきました。
「やり直したい過去は誰にでもあるけれど、後悔の種は自分と関係なく進んでしまう」という作者の視点に、ハッとさせられました。
一番心に響いたのは「オリオン座の怪人」です。
優しい気持ちになるラストシーンが秀逸でした。
「人間はコップにすぎない。おい -
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鈴木亮平さん、有村架純さん出演で映画化、しかも直木賞受賞作ということで、これは読むしかないでしょうとなりました。朱川湊人さんは初めましての作者さんでしたが、怖温かいという不思議なジャンルの書き手さんでした。
怖温かいというのは、亡くなった友達が夜に遊びに来てくれる話とか、妖怪のような生き物を育てる話とか、戦後の復興の頃の古き良き日本の大阪の下町が舞台となっている、物暗い雰囲気の短編小説でした。
タイトルとなった「花まんま」はその中の一つの話で、前世の記憶を持った少女が記憶を辿って、亡くなる前の家族に会いにいく話でした。暖かく、優しい話の一面と不気味さとか不思議さ、そして、大阪下町の物暗い雰 -
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★3の下。
もう夏真っ盛りっぽい暑さだしホラーいっときます。
・白い部屋で月の歌を
怖いというより切なさが残るお話。
除霊を生業とする一味に使われる主人公。
月の歌を聴いてみたくなった。
オチは今ひとつ。
・鉄柱(クロガネノミハシラ)
怖いというより考えさせられるお話し。
妙な田舎に左遷させられた主人公。
「死ぬには良い日だ」という思想を体現する村。
ホラー仕立ての小道具を除けばアリだと思うな。
腹が弱いのでアイスとか控えてるんですが、今日は我慢できずにチョコモナカジャンボをパクついてしまった。
皆様におかれましては如何お過ごしでしょうか。
寒さより暑さ -
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ネタバレ昭和の大阪下町、子供が主人公の短編。不思議でダークに終わる妖精生物が印象的だった。
・トカビの夜
近所の朝鮮人チェンホが死に、トカビとして出現
・妖精生物
妖精生物を飼う。母が若い男と逃げる。母にだけ幸せをもたらした生物(精液?)を殺す。嫌いな男に襲われ子を孕み結婚、主人公も逃げ出す?
・摩訶不思議
葬式でおっちゃんの霊柩車が火葬場の前で止まる。生前三人の彼女が集まり動く。何故か女達はその後仲良さそう。不思議なこともあるもんやなぁ
・花まんま
妹には前世の記憶が残っており、彦根の家族に会いに行く。娘を亡くした父はご飯を食べない。代わりに妹(娘)は花まんまを贈る。明日妹は結婚。映画ではこっそり妹 -
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【要約】
兄妹と母が暮らす家庭に、突如として超能力を持つモヒカンの男が現れる。彼の登場によって、兄妹が抱えていた問題は解消され、平穏で幸福な日々が訪れるかに見えた。しかし、モヒカンの薬物購入や、宗教団体の存在が、次第に家族の運命に歪みをもたらしていく。
【感想】
謎の宗教団体が妹を取り込もうとする場面から、一気に物語に引き込まれ、物語から目が離せなくなった。本作は家族愛といった大仰なテーマを掲げているわけではないが、純粋な娯楽としての読書を存分に楽しめる一冊である。特に、作中の宗教団体が現実に存在する団体を想起させる点が、物語のリアリティを高めており、読み進めるごとに緊張感と期待が増していく