朱川湊人のレビュー一覧

  • 都市伝説セピア

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    高校1年の時に読み、ここに収録されている『アイスマン』が好きすぎてオマージュした小説を書いてた思い出がある。懐かしい。あれから12年経ち、再読。やっぱり『アイスマン』が好きだ。

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    2019年06月01日
  • 白い部屋で月の歌を

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    第10回ホラー小説大賞の短編賞受賞作の表題作。

    白い壁、白い柱、白い床の何もない部屋。鈍い銀色の天井から巨大な鉗子で人を掴む…なんだこれは?と最初設定に不安を覚えたが読み進めるうちにすぐに解決。

    朱川さん、グロめホラーを書かれてもどこか品がある。やっぱりいいなと改めて感じた。

    表題作の他に「鉄柱」と作品が。こちらは前述の霊的なホラーではなく、ある田舎町のある慣習による不気味な怖さを醸し出していた。その町では誰もが幸せに暮らせる。しかしここが自分の人生最良の日だと判断したらば人生をそこで終わらせることが…

    朱川作品、切なさと美しさで壊れてしまいそうなところが素晴らしい。好きな作家さんだわ

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    2019年03月19日
  • 無限のビィ上

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    列車事故大惨事で知られる街で、信吾は知的障害を持つ弟を慈しみ守りながら元気に暮らしていた。だが、新しく赴任してきた水島先生の手に触れた日を境に、周囲で不可解な事件が続く。悲劇の連鎖はいつしか街全体を呑み込み…。

    国鉄戦後五大事故の一つ三河島事故をモチーフにしたSF作品。朱川湊人らしく昭和30年代の下町の様子が細かく描かれる中、不気味な雰囲気で物語が進む。三河島事故の描写がやや冗長な気もするけれど、展開が気になり次々とページをめくりながら下巻へ。
    (A)

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    2019年02月24日
  • 鏡の偽乙女 薄紅雪華紋様

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    ネタバレ

    大好きな作家ですが、ここ数年読んだ作品にイマイチ気持ちが乗らず、しばらく遠ざけていました。しかし仕事で近代の新聞連載小説等の挿絵を見る機会が多く、積読の山の中にあった本作は大正時代の画家が主人公だからまさにピッタリで。久しぶりにこれが私の好きな朱川湊人だと思えました。

    この世に未練があるせいで成仏できない霊たちが出没する下宿屋。『妖怪アパート』のように可愛くはありません(笑)。霊を払う技を持つ謎の青年画家と、彼のことを妙な奴だと思っていたら意外に自分にも霊を見る力があると知った主人公。

    霊たちの想いがわかるとき、とても切ない。表題作については、解決方法を主人公と同じように推理していたため、

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    2019年01月17日
  • わくらば追慕抄

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    「わくらば日記」に続く、わくらばシリーズの続編。

    人や物の記憶を「見る」ことができる姉と、活発な性格の妹。そんな姉妹が知り合った刑事や関係者たちと、難解な事件を解決していくストーリー。

    短編のようにいくつかの物語が収録されているが、時系列で進んでいくので、ちょうど「日記」を読み返しながら回想しているような構成になっている。

    ただ記憶を「見る」だけではなく、状況をよく観察し、その真意を判断することができる姉の思慮深さと、誰に対してもまっすぐな妹の性格は、この本をいつまでも読んでいたいと思わせるのに十二分なものである。

    そんな姉妹だからこそ築くことができる人間関係と、ふたりが関わるキャラク

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    2018年05月11日
  • わくらば日記

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    幼い姉妹の周りで起きる不思議で、ちょっと怖い毎日。

    人や物が見た出来事の記憶を「見る」ことが出来る力を持った姉。優しく、しとやかで、体も心も傷つきやすい。

    そんな姉を思いやる元気な妹。

    姉が持って生まれたその不思議な力は、当然のごとく警察の事件解決に一役買うことになる。
    幼い姉妹の心の葛藤と、犯人や被害者への思いがとても繊細に描かれている。

    記憶をのぞき見ることで、知らなくてもいいような、人の心の内側が見えてしまうということがどういうことなのか。

    非常におもしろいストーリーでした。

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    2018年04月25日
  • わくらば日記

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    昭和30年代の日本の下町を舞台に、ひとの記憶を垣間見る特殊能力をもつ鈴音(ねえさま)と、お転婆なワッコの仲良し姉妹の活躍を描くシリーズ。

    当時の風俗や背景が抒情たっぷりに描写されてノスタルジックな感傷に浸れる。

    ワッコの一人称で丁寧に回想される物語は終始やさしい言葉遣いで語られており、ミシンやテレビの導入に一喜一憂する市井の人々の日常が、目にもあざやかに浮かんでくる。

    そしてなんといってもねえさまが非常に魅力的。

    やさしく美しく、どこまでも一途にひたむきに、損なわれた人の痛みに寄り添おうとするねえさま。
    そのせいで自分が病んで傷付いても、彼女は人の根底の善性を信じようとする。
    そのあり

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    2017年08月24日
  • かたみ歌(新潮文庫)

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    ネタバレ

    昭和40年代半ばの東京下町にある「アカシア商店街」で起こる摩訶不思議な物語。
    アーケードのついた長い道に、様々な店がぎっしり連なる昔ながらの商店街の一角にある、ある有名作家似の古本屋の主人を中心に人々と物語は交錯する。

    奇妙な「栞」の文通をしたり、あの世と繋がるお寺があったり、突然懐かしいあの子が「お使い」に来たり……。
    どのエピソードもとても切なく、じわりじわり涙を誘うものばかり。

    時代も変わり、流行る歌が変わっても、人が感じる幸せって昔も今も同じようなものなんだな。
    不思議な懐かしさと、温かな気持ちになる物語。

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    2022年11月01日
  • 本日、サービスデー

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    ネタバレ

    表題作である中編と、短編四編からなる作品集。
    とにかく表題作が感動的です。解説の北上次郎氏は、欧米の小説にたとえていましたが、自分は藤子・F・不二雄先生がいうところのSF(すこし・ふしぎ)作品だと思いましたよ。
    巻末の短編「蒼い岸辺にて」は藤子・F・不二雄作品と水木しげる作品をミックスさせたような感動作。
    「あおぞら怪談」も、なんとなく水木しげる作品を思わせます。
    「東京しあわせクラブ」は、猟奇的で変態な内容。「気合入門」は、夏の日に少年がザリガニ釣りをするというだけのノスタルジック・ストーリー。
    作品世界のノスタルジックな要素は少なめにしながら、昭和世代には藤子不二雄作品や水木しげる作品を夢

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    2017年07月10日
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀

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    やっぱり朱川作品はいい!人々の喜怒哀楽を閉じ込めた琥珀という名前の東京・下町を舞台にした連作短編集でした。各章にはかわいい白い犬「プチ」のイラストが。ところがプチは出てきたり出てこなかったり。でも住人達はみんなこの白いナゾの犬を知っています。私も東京下町生まれのせいか、読後は自分も琥珀の住人であったかのような錯覚にとらわれました。朱川作品のなかでもマイルドこの上ないでしょうけど、とても満足。一人一人みんながんばって生きてる。いつの時代も。どこの町でも。そんなふうに人間を信じたくなる気持ちにさせてくれます。

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    2017年05月16日
  • 主夫のトモロー

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    男が主夫として家庭を守り、主に子どもを育てることの楽しさと苦労が手に取るようによく伝わってくる。思わず吹き出してしまうようなところもあり、また、親子関係の複雑さも伝わってくる。楽しい1冊だ。

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    2017年03月21日
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀

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    ネタバレ

    『琥珀』の場所はこの辺、とGoogle見ながら読みました。
    時間の厚みも重なって、本当にステキな街。

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    2017年02月23日
  • 黒のコスモス少女団 薄紅雪華紋様

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    物悲しく切ない雰囲気ただよう連作短編集でした。

    一冊目を読んだのが、おそらく3、4年前だったので記憶を探りながら読みました。
    大正時代と言われてもなかなか雰囲気や暮らしぶりと言ったものが想像しにくいと個人的には感じるのですが、前作と同じように雪華や主人公の生きた時代、彼らの見たもの感じたもの、運命に翻弄されたことに対して、最後に2人が語った内容など、情景が目に浮かぶ丁寧な描き方をされているなあと。

    前回はなんとなくみれいじゃが軸になって話が進んでいたような気がしたので、前回感じた奇譚といいますか、不思議な雰囲気は今回薄れたかなぁと感じてしまいました。でも、雀蜂のお嬢や、惣多の結末など一言で

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    2017年02月11日
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀

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    朱川ワールド満載、追憶のカスタネット通り、幸せのプチ、タマゴ小町とコロッケ・ジェーン、夜に旅立つなど連作6話。「幸せのプチ 町の名は琥珀」、2016.11発行です。都電が走る貧乏だけど美人ぞろいであたたかな人情が行き交う町が舞台です。店や登場人物が時代をこえてつながっています。町の佇まいそのものが、そこに暮らし暮らした人々が、すべて愛しく恋しく感じられる感動作です!読後の心地よい余韻に浸っています(^-^)

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    2017年01月25日
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀

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    朱川さんらしい、素敵にノスタルジックな連作短編集。
    つなぐのは1匹の野良犬。
    人懐こく、不思議な白い犬。
    そして、舞台は琥珀という町。
    昭和の雰囲気漂う下町。
    時代が少しずつ移ろいながらも、登場人物も重なっている。
    知らない町なのに、どこか懐かしい琥珀の町。
    子どもの頃に住んでいたあの町に戻ったような、懐かしい夢を見た、そんな気がする。

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    2016年12月15日
  • 主夫のトモロー

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    ネタバレ

    突然の倒産により失業するトモロー。そんなトモローに二人なら暮らせると結婚を迫るミッチャン。めでたく結婚した二人は、「夫が家を守り」「妻が外で稼ぐ」スタイルを出産後も貫いていく。世の中の多くの家庭の逆を行くトモロー一家には、様々な壁にぶつかり時に悩み落ち込んだりもするのだが、「いひっひっ」を合言葉に明るく過ごしていく。そんなトモロー一家の生き様に心がなんともホッコリと温かくなる、そんなお話でした。

    親は「人生を楽しんで生きている己の姿」を子供に見せることが、何よりも大切ではないだろうか?っという考え方には非常に共感!我が家の子供達も、人生は楽しむものなのだ、という考えを自然と身に付けてくれたら

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    2016年07月28日
  • 主夫のトモロー

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    いかに主夫であっても、ママ友は嫁さんに嫌がられる。
    よく分かります。
    普通に子どもの親同氏の付き合いなだけなのに。
    きっと保護者会の役員にも推薦されるだろうし、もうちょっと続けて欲しかった!

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    2016年07月20日
  • 主夫のトモロー

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    ネタバレ

    これはぜひドラマにしてほしい。
    トモローの父親ぶりがいい感じだが、それよりなにより、夫婦の関係が素敵。
    ありがちな問題でも、当事者の気持ちを丁寧に描いていて、
    忘れていた子育ての日々をいろいろと思い出させてもらえた。
    平成のホームドラマ!という感じ。

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    2016年07月06日
  • あした咲く蕾

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    昭和ファンタジーホラー。そんな勝手なジャンル分けをしております。どれも昭和ノスタルジア満載で、不思議な幽霊譚ばかりです。怖い話はありません。ほんのり悲しくて明るくて、心のひだにちゅぴちゅぴと温かい液体を垂らして貰っているような心地よさがあります。好きだな〜この作家さん。

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    2016年01月26日
  • オルゴォル

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    もっとも好きな作品かな。ちゃんとオルゴール渡せたし、子供なりに両親のこと理解できたし。
    そして、自殺じゃないよ。心の病で亡くなったんだよって言葉がすごくよかった。そうだよね。そう思う。

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    2015年08月15日