朱川湊人のレビュー一覧

  • かたみ歌(新潮文庫)

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    ストーリーテリングがお上手で
    取りようによっては怖くもなり得る内容なのだけど、ノスタルジックで心あたたかくなるのが、朱川作品の特徴。

    短編集なので、合間合間にサクサク読めるのも好き。

    「花まんま」「かたみ歌」など、
    タイトルのつけ方も好みです。


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    2019年08月04日
  • かたみ歌(新潮文庫)

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    7編の連作短編集。
    心霊現象的なものをからめながら、人間の生き方がちりばめられています。
    特に最後の「枯葉の天使」はこれまでの謎がすべて明らかになります。
    全体の構成がよいので、どんどん引き込まれていきます。
    とても面白い本でした。

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    2019年07月17日
  • 都市伝説セピア

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    五つの短編が収録された、朱川湊人さんのデビュー作です。

    ホラーあるいはファンタジーの範疇に入る作品ながらも、全編に漂うノスタルジックな雰囲気が、そこはかとない寂しさや哀しさを感じさせます。

    非日常が日常の中に自然に溶け込んだ不思議さは、恒川光太郎さんや乙一さんの作品世界に近いものがありそう。

    類型的でない独自の雰囲気を持つ作品群を、楽しませていただきました。次作以降の作品も是非読みたい、と思っています。

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    2023年01月09日
  • 箱庭旅団

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    ネタバレ

    不思議な、でも、読後感はちょっと切なくなる物語が多いのが朱川さんの作風。そして、物語の所々に白馬にまたがり、時空を超えて旅する少年の影がちらつく。

    彼のような存在は旅行者(トラベラー)と呼ばれている。
    そんな彼のような存在と『唯一無二の絶体真理』という本のがこの短編集を貫く縦糸と言えるだろう。

    この本の内容を理解した者が手にすることができる目の前の空間をめくり上げて別の次元に行くことができる能力は、その描写ととも強く印象に残ったが、切なさという点では、『秋の雨』が一番だろうか。

    いつ果てるともわからぬ旅行者の旅は今しばらく続くようだ。

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    2019年03月24日
  • 無限のビィ下

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    発端は10年前の大事故だった。看護婦だった母親の不思議な体験、その時胎内にいた信悟に宿った不思議な力。それに目をつけて執拗に追ってくる水島先生。そして遂に正体を現した「無限のビィ」の真の狙いとは-。

    リーダビリティがあるので勢いに乗って読み進められるけれど、やはり冗長な部分が(上巻でも感じたことが)気になった。最後のオチも、もしかしたら?という期待は裏切られなかった。ただ物語が発するメッセージは明確で、読んで損したという気にはならない作品。
    (B)

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    2019年03月02日
  • 銀河に口笛

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    ずっと過去形で語られているので、どういう終わり方をするのかとハラハラしながら。。。

    結果、素敵な終わり方でしたが。

    正体は謎のままだけれど、大切なのはそこではなく
    彼らと過ごした子供時代なのだろう。。

    同級生の女の子とか、救われない部分もあったけれど
    本当に、人はいつ大人になるのだろう。。
    いつから、色々とあきらめてしまうのだろう。

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    2018年10月30日
  • あした咲く蕾

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    ネタバレ

    異論があること大前提、あくまで俺の好みとしてなんだけど、朱川作品にホラーは求めていない。

    夕暮れ時の赤い空、地面には曼殊沙華、泣きながら空を飛ぶカラス、日暮れまで15分とない時間なのに家に帰る道を忘れ迷子…サーカスの子飼いにさらわれそうな不安感

    この程度の怖さがあれば、朱川ワールドは十分に広がってくれるはず。ほんまにTみたいな展開や、誘拐犯がででくる必要はないのだ。
    この作品集は、ホラー感を極力排して、ノスタルジーとファンタジー感をしっかり味合わせてくれるのがよい。「夕暮れ時は寂しそう、とっても一人じゃいられない」こそが朱川小説の真骨頂だと、俺は勝手に思っている。

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    2018年10月16日
  • 幸せのプチ ――町の名は琥珀

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    こういう感じが好きで朱川湊人を止めれれない。昭和の40年代ぐらいの、ちょっと不思議で懐かしい感じが、経験した世代にはたまらない。その時代の空気をたっぷり吸わせてくれる小説。琥珀はあるあるの連続です。野良犬のプチも子供達が通う模型屋も、オリオン仮面もありそう。

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    2018年07月04日
  • 白い部屋で月の歌を

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    「生きる」ことにまつわる2つの作品からなる。
    それぞれの作品のストーリーは独立している。

    ホラーというジャンルだが、決して「おどろおどろしい」いわゆるホラー小説ではない。

    一作目は、霊を剥がすことを生業とする霊能力者の話。そこに登場する憑坐(よりまし)の仕事をする『青年』が本当の主人公。
    体の自由がきかないその青年は、ある仕事を通じて知り合った女性に恋をすることで、自分の生い立ちに疑問を感じ始める。

    そこからストーリーは一気に進んでいくのだが、「生きている」ということはどういうことなのか、人間・霊・魔・人形、様々な存在を登場させることで、「人として生きる」ことの意義を読み手に問いかける、

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    2018年05月18日
  • 冥の水底(下)

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    ネタバレ

    知り合いから見せられた狼人間の写真。マガチと呼ばれる者達の1人だという。合成を疑った医師の主人公だったが、その後、その知り合いは姿を消す。
    心配になりアパートを訪れたことにより、殺人事件の犯人として追われる身となった彼は、息子と共に写真に纏わる謎を追うが……。

    最後、シズクが山に取られて良かったと思う。
    マヤコをあまりに崇高な存在にしてしまっているから、夢の中の理想のマヤコだけを想って逝けた方が、偽りのものかもしれないが幸せなように感じられた。

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    2018年03月22日
  • 赤々煉恋

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    ネタバレ

    表紙が違う。。。
    女性が片手を伸ばしているイラストだったのだが、該当なし。

    なかなかぶっ飛んだ題材を扱っているのに、 さらりさらりと表現してしまうのが毎回凄い。
    性的な関係も絡むので、中高生にお薦めできるのと出来ないのがあるが。。
    3作目は読んで欲しい。

    『死体写真師』
    →写真師の動機は何なのだろう。。あくまでも、その後のシステムは商売人である葬儀社の思惑から来ているのだろうし。

    『レイニー・エレーン』
    →これまた、主人公は何故にそういった行為に走ったのか。。。本当、子供がいる人はそちらを優先して欲しいと思うのは綺麗ごとなのだろうか。。

    『アタシの、いちばん、ほしいもの』
    →欲しいもの

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    2017年12月27日
  • 冥の水底(下)

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    彼らの人生が失敗だなんて誰にも言って欲しくない。その人を美化し過ぎていたとしても、一人の人を思い続けた彼の人生は悲しく美しく、尊いものであったはず。心が戻らなくても、彼女と映画を見て笑い合う夢を見て欲しい。

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    2017年11月24日
  • わくらば日記

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    「わくらば」にはよく知られている、病気におかされた葉を意味する「病葉」と草木の若葉を意味する「嫩葉」という正反対の意味がある、とは本書の解説で知った。
    であれば本書の主人公、活気溢れる妹の和歌子と病身の姉、鈴音の対照的な姉妹の姿が浮かんでくる。
    本編ではわからずに解説でなんとか著者の深い意図がやっとわかる。ちょっと恥ずかしい。

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    2017年11月19日
  • 白い部屋で月の歌を

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    ネタバレ

    『白い部屋で月の歌を』『鉄柱(クロガネノミハシラ)』
    以外にも、タイトルの方が短編。

    巻末に第10回ホラー小説大賞についての批評があって
    『姉飼』『相続人』『ぼっけえ きょうてえ』『光 A Light』『蜥蜴』も気になる。。

    タイトルの作品のラストの月は、きっと青くて白いのだろうなぁ、と、イメージが浮かぶ。
    大どんでん返し、な激しい展開なのに、ラストは静かな余韻が残るというか。。

    『鉄柱』は再読すると主人公以外の隣の奥さんや町内会長が気になる。
    主人公は…
    妻の「こんな静かなところにきても、この病気からは解放されないのね」コレって、主人公の事を指しているのでは??と思ってしまう。

    これ

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    2017年11月15日
  • 赤々煉恋

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    ネタバレ

    2004年から2005年にかけて雑誌『ミステリーズ!』に発表された短編5編からなる短編集。
    5編のうち1編はネクロフィリア(死体性愛)、もう1編はアクロトモフィリア(四肢欠損性愛)、更にもう1編は アポテムノフィリア(身体欠損性愛)、というなかなかド変態な内容ですが、朱川湊人氏の筆にかかると、ダークなファンタジーになります。
    5編のうちもう2編は幽霊もので、変態性はありません。
    5編に共通してバッド・エンディングですが、イヤーな感じのするエンディングではなく、切なくホロ苦く哀しい、という感じです。
    この感じ、何かに似ていると考えると、解説の中の「特撮」というキーワードから、市川森一脚本に思い当

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    2017年09月22日
  • 月蝕楽園

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    こんなエロスの世界もあるんですね。みつばち心中は不思議な高揚感があります。でも、やっぱり最後は朱川先生らしい終わり方。
    孔雀墜落は哀しい話しで、やっぱりこれも朱川先生ならではです。

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    2017年09月13日
  • 月蝕楽園

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    朱川湊人著「月蝕楽園」
    同性に対する恋愛、性同一性障害、外見のコンプレックスなど社会の「基準」から浮いてしまった人々の悲しみや恨み、寂しさを描いた5つの作品。
    彼らは最終的に苦しみや悲しみから解放されるのだが、それは必ずしも幸せな手段による開放ではないというところに新たな悲しみを感じる。

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    2017年08月22日
  • 主夫のトモロー

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    タイトルを見れば、何について書かれているかすぐ分かる。
    手を繋いでいる表紙の絵も、読み終えてみれば重要なポイントを突いている。
    トモローって良い名前だな~
    男の子がいたらつけたかったな。

    小説家志望の斉藤知朗。
    編集に携わっていた美術誌が突然廃刊となり…実質クビ?
    そんなタイミングで、恋人の美智子は「結婚しよう!」と言った。
    美智子の夢はインテリアデザイナーとして独立すること。
    彼女の両親も進んだ考え方の人たちで、愛娘が好きな仕事を思いっきりできるよう、トモローくん、主夫よろしく頼む!
    と背中を押す。
    そんなこんなで、“世間の常識”的には男女逆転、トモローと美智子的には、やりたいこと全部やっ

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    2017年07月02日
  • オルゴォル

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    後少しで5年生になるハヤト。
    両親が離婚しており、東京で母親と暮らす。
    大阪で住んでいる父親の所へ行くのだけれど父親は再婚しておりもう少しで子供も産まれる。

    この父親、決して悪い人ではないのだけれど、何だかモヤモヤ。
    大事なことをどうして自分の口から伝えないのか。
    『自分は父親だ』と言うなら、どうして子供と向き合わないのか。
    きっと想像力が足りないのだ。
    簡単な事ではないだろうけど、この父親は好かない。

    大阪で知り合ったサエと、ハヤトが東京でおじいさんとした約束をはたしに2人で鹿児島へ。

    戦争や近年で起きた事件、事故など色々と詰め込みすぎかなぁと思うものの、
    それでも良い本だ。
    読みやす

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    2017年04月24日
  • あした咲く蕾

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    どんなに幸せの絶頂にいても、先のことはわからないものだ。
    一瞬で奪われてしまう人の命とは、なんて儚いものなんだろう。
    それでも、幸せな記憶はずっと心に残っていく。
    会ったことがない父親に、公園で会ったとうれしそうに話す娘。
    自分もその場所にいたはずなのに、何も覚えていないことが切なくて哀しくて涙ぐむ母親。
    この世の常識でははかれないことだってある。
    こんな奇跡ならあってもいいじゃないか、と信じたくなってくる。
    幸せに過ごした時間は戻らないけれど、大切に思える人がいた…その思いはきっと消えることはない。
    ちょっと不思議な、だけどとてもあたたかで切ない物語。
    おだやかな物語は、いつだって心を優しい

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    2017年03月19日