朱川湊人のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
星4.5
とっても爽やか!な読後感です。
ばりばりのキャリアガールのみっちゃんと結婚したトモロー。プロポーズのきっかけは、トモローが働く出版社が廃業したことで、普通とは違った主夫が誕生するところから、2人の間に生まれたチーコが2歳過ぎるまでの、トモロー主夫業のあれこれ。
世間の目、子育て中の赤ちゃんのかわいさ!パパ友やママ友、幼い頃に自分置いて出て行った母親との関係などなど。
日常の家族の出来事があったかく、時にはシビアに書かれていて読んで楽しかったです。
人生の美味しいとこ取りをして、何もかもうまくいって二人でイッヒッヒって笑おう、と目指す夫婦。良いですねぇ。 -
Posted by ブクログ
黒葛原涼(つづらはら すずむ)は、推理作家の父・黒葛原玲に蔵書の管理を任されて、荒川区町良にある三角形のビルに部屋を持つことになる。
父のファンで大家さんの、翁(おきな)さんは、涼が名探偵になると固く信じている。
実は、名探偵になりたい、なんて思う子供だったのだ。
今は…今は?
少年探偵団!!って感じの表紙イラストが素敵。
よしよし、そういう本なんだな?と気持ちスタンバイ。
路面電車の走る町、荒川区(なぜかここは実名)町良(まちら)の世界観を語るための説明がちょっと長い気がするが、町の様子は事件の展開にも大いにかかわってくるので、よ~く思い描いて、頭の中に展開しておきたい。
いいタイミングで、お散歩番組で「町屋」を訪ねていて、意外にも面白くて変わったお店や施設がたくさんあった。
素敵な町である。
いきなり履歴書を持って探偵助手を希望してきた、ネジ子さんには、なんだか秘密がありそうな…
そして、12年前に海に消えた弟の甘は生きているのか?
とっても面白くて、でもどこか物悲しい朱川ワールドでした。
シリーズ化でしょうか?
各話、江戸川乱歩作品からの引用あり。
乱歩をきちんと全部読みたくなりました。
(傑作選しか読んでいないので…)
第1話 都電の町と鉄仮面
涼、父の蔵書とともに、町良に住む。
鉄仮面が出るそうな!
第2話 ネジ子さんが来た
涼、立派な一人掛けソファを買う。
ひったくり“カマイタチ”の追跡。
第3話 セカイは知らんぷり
涼、怪我をした猫を保護する。
教育ママとアメリカ帰りの息子の確執とは?
第4話 守り神は失踪中
涼、人形探しを頼まれる。
昔ながらの天ぷら屋の女将さんと、息子の来し方行く末。
第5話 スキマ男のレモン
涼、盗撮容疑で連行さる?!
心の隙間にはレモンが効く(!?)
第6話 まぼろし楽隊(ジンタ)
結局、楽隊の正体は何だったのでしょうか?
涼の蔵書部屋は、とっても賑やかになりました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ不思議な、でも、読後感はちょっと切なくなる物語が多いのが朱川さんの作風。そして、物語の所々に白馬にまたがり、時空を超えて旅する少年の影がちらつく。
彼のような存在は旅行者(トラベラー)と呼ばれている。
そんな彼のような存在と『唯一無二の絶体真理』という本のがこの短編集を貫く縦糸と言えるだろう。
この本の内容を理解した者が手にすることができる目の前の空間をめくり上げて別の次元に行くことができる能力は、その描写ととも強く印象に残ったが、切なさという点では、『秋の雨』が一番だろうか。
いつ果てるともわからぬ旅行者の旅は今しばらく続くようだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ異論があること大前提、あくまで俺の好みとしてなんだけど、朱川作品にホラーは求めていない。
夕暮れ時の赤い空、地面には曼殊沙華、泣きながら空を飛ぶカラス、日暮れまで15分とない時間なのに家に帰る道を忘れ迷子…サーカスの子飼いにさらわれそうな不安感
この程度の怖さがあれば、朱川ワールドは十分に広がってくれるはず。ほんまにTみたいな展開や、誘拐犯がででくる必要はないのだ。
この作品集は、ホラー感を極力排して、ノスタルジーとファンタジー感をしっかり味合わせてくれるのがよい。「夕暮れ時は寂しそう、とっても一人じゃいられない」こそが朱川小説の真骨頂だと、俺は勝手に思っている。 -
Posted by ブクログ
「生きる」ことにまつわる2つの作品からなる。
それぞれの作品のストーリーは独立している。
ホラーというジャンルだが、決して「おどろおどろしい」いわゆるホラー小説ではない。
一作目は、霊を剥がすことを生業とする霊能力者の話。そこに登場する憑坐(よりまし)の仕事をする『青年』が本当の主人公。
体の自由がきかないその青年は、ある仕事を通じて知り合った女性に恋をすることで、自分の生い立ちに疑問を感じ始める。
そこからストーリーは一気に進んでいくのだが、「生きている」ということはどういうことなのか、人間・霊・魔・人形、様々な存在を登場させることで、「人として生きる」ことの意義を読み手に問いかける、そんな作品のように感じられた。
2作目は「満足死」について。
会社での不倫問題で異動を命じられた男性が、妻と共に移り住んだ小さな町が舞台。
そこは、「例え人を傷つけたとしても、自分のやりたいことをまっとうすることをよしとする」、少し変わったところ。
しかし、住人は皆親切で、ふたりは幸せに暮らしていく。あるひとつの問題、「人生で最高に幸せを感じたときには、その最高の状態で自ら死を選ぶことができる」というものを除いては。
「自らの意思で生きる」、「幸せに生きる」とはどういうことかを、「自らの意思で、幸福な最後を迎える」という切り口から考える。
「安楽死」にも通じるその考え方は、医療が進歩し、高齢化が進む先進国が直面しなければならない最も新しい課題のようにも感じられた。
どちらもすごくおもしろかった。