朱川湊人のレビュー一覧

  • 白い部屋で月の歌を

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    表題作もよかったが、もう一編の『鉄柱』が素晴らしかった。恐怖はさしてないが、生きるとは?という問いに対する、明確な解がもてないことが不安を煽る。そういった意味ではホラーであったし、一種の哲学作のようにも感じた。また、ひきこまれる文章と展開は一級。

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    2021年04月05日
  • 私の幽霊 ニーチェ女史の異界手帖

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    この手のオカルト物?好きです。
    UMAを次々登場させて物語が進んでいきます。
    東野圭吾のガリレオのオカルト版的構成で楽しめました。
    ガリレオでは内海刑事が謎の事件に遭遇し、湯川准教授を頼りに解決していきますが、この小説では雑誌編集者の日枝女史がオカルト現象に遭遇して、それを博物学者の栖氏が解決してく行くと言うストーリーです。久しぶりに、良い作家さんを見つけたかも!

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    2021年03月30日
  • かたみ歌(新潮文庫)

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    連作短編集。いずれも死にまつわる話で、確かに背筋がひやりとするところもあるのだが、不思議と優しい気持ちにさせられる。死を、一方通行に終息していく、やるせない結果として扱わない。むしろ、未知の可能性として、世界の広さとして描かれている。

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    2021年03月27日
  • 妖し

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    ネタバレ

    特に「マイ、マイマイ」と「李果を食む」が印象に残った。

    マイ、マイマイ
    過去の体験は今の自分を作っている。その事実を物理的なものに例えて、体からぽろっと抜け落ちる表現がおもしろかった。
    自分が持っている価値観に案外無自覚だったりするよなと思った。

    李果を食む
    兄弟それぞれの事実に基づいた認識が、同じものを見ているはずなのに、捩れの位置みたいに全く違うものとして突き進んでいく感じ、徐々にどれが真実が分からなくなる奇妙さが読んでいておもしろかった。

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    2021年03月20日
  • 狐と韃(むち)~知らぬ火文庫~

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    初めの話がクソ男の話なので、読むのが嫌になるが、そこでやめないでほしい。その先に、重厚な物語の広がりがあるから。

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    2021年01月09日
  • 主夫のトモロー

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    主夫でなく主婦のじぶんも、何度となく「わかる、わかるよーー」と言いたくなる、等身大エピソード満載のおはなしでした。朱川さんの作品は、時にドキッとぞくっとさせてくれるものが多い印象だったのですが、こういう身近なお話もまたいいなぁ、と感じました。続編期待したいです!

    こどもから広がる人間関係には面倒なことやガックリくることもあるけれど、それでもやはり、思いがけない出会いや一歩ふみだしてみることを過度におそれずにいたいなと感じました。トモローさんのオープンさ、フラットさ、あこがれます・・^^

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    2020年12月09日
  • 主夫のトモロー

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    会社の倒産から、彼女と結婚して主夫となったトモロー。
    妻の美智子をはじめ、その両親や、トモローの兄さんなどとの関係が温かい。
    周囲には、理解されないこともあるけれど、基本は温かく見てくれる。
    特に、妻美智子のキャラがすごく好き。かっこいい!おっとこまえ♪
    家事に育児に習熟していくトモロー。
    生まれた娘チーコへのみんなの愛情の深さにほんわかした気持ちになる。
    4年前の作品だけど、今はもうちょっとは夫が家事を分担することも普通となったかというと微妙な気はするけど、みんなの意識が変わっていけるといいと思う。
    頑張れトモロー。

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    2020年06月11日
  • 幸せのプチ

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    涙腺崩壊…はしなかったけど、じんわり温かい話だった。
    琥珀という架空の町。昭和40年代、50年代という時代と下町と人情が嫌味なくマッチ。
    きれいなお姉さんや、感じ悪いおじさんや、優しい大人、貧しさも心の豊かさでカバーみたいな、100%良い人ばかりじゃなく、弱い人もずるい人もいて、それでも皆で補いあい、昔はよかったなぁ的なんだけど、押しつけがましくなくて、素直によい。
    ところどころ現れる白い犬ぷちもよい。

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    2020年05月18日
  • 妖し

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    ネタバレ

    ゾクっときたのは「曇天の店」・「フクライ駅から」・「喪中の客」くらいだな。

    ちょっとイマイチ、って思いながら読んでいた最後に、めちゃゾクっとくる「喪中の客」。
    小池真理子さん、さすがです。

    恩田陸さんの「曇天の店」は良かったけど、余韻がありすぎて笑

    「フクライ駅から」は読み終わってから思わず作者を確認。
    朱川湊人さんだったか!

    窪美澄さんの「真珠星 スピカ」もよかったかな。
    コックリさん、懐かしい。

    あとは、イマイチな印象。

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    2020年04月11日
  • 妖し

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    10人の執筆者が怪異をテーマに描く短編アンソロジー。
    ぞくぞくっとするお話。
    李果を食む、フクライ駅から、かぐわしきひとが好き。

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    2020年03月27日
  • 妖し

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    ちょっと怖い話のアンソロジー。
    どの作品も、良かったのですが、あえて1つというなら、風鈴が出てくる話かなあ。
    読んだことのない作家さんに出会えるので、アンソロジーはおすすめです。

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    2020年02月12日
  • 妖し

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    10人の作家による十の世界。怖い 恐い 引きずり込まれる 目が離せない 読み続けてしまう。

    戻ってこれて良かった

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    2020年01月15日
  • 主夫のトモロー

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    星4.5
    とっても爽やか!な読後感です。

    ばりばりのキャリアガールのみっちゃんと結婚したトモロー。プロポーズのきっかけは、トモローが働く出版社が廃業したことで、普通とは違った主夫が誕生するところから、2人の間に生まれたチーコが2歳過ぎるまでの、トモロー主夫業のあれこれ。

    世間の目、子育て中の赤ちゃんのかわいさ!パパ友やママ友、幼い頃に自分置いて出て行った母親との関係などなど。
    日常の家族の出来事があったかく、時にはシビアに書かれていて読んで楽しかったです。

    人生の美味しいとこ取りをして、何もかもうまくいって二人でイッヒッヒって笑おう、と目指す夫婦。良いですねぇ。

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    2020年01月14日
  • 赤々煉恋

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    普通、ではない人達の愛情のお話

    怖さもあり、切なさもあり



    「わたしはフランセス」が好き



    なんとなく、文庫じゃなくてハードカバーで読めて良かった

    っておもいました、なんとなく

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    2020年01月04日
  • スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち

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    連作短編6編
    昭和の匂いのする町で江戸川乱歩風の味わいのある事件が起こる.ありそうでありえないような不思議な味わいのある小説で,私はとても好きだったのでできたら続きが読みたい.

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    2019年12月07日
  • 赤々煉恋

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    ホラーテイストな短編小説。
    ちょうどSimon & GarfunkelのApril Come She Willを聴いていたのもあり、レイニーエレーンが好き。
    「ヤスラカニネムレ、ワスレナイ」からの「君が好きだった」でグッときた。

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    2019年11月17日
  • スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち

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    黒葛原涼(つづらはら すずむ)は、推理作家の父・黒葛原玲に蔵書の管理を任されて、荒川区町良にある三角形のビルに部屋を持つことになる。
    父のファンで大家さんの、翁(おきな)さんは、涼が名探偵になると固く信じている。
    実は、名探偵になりたい、なんて思う子供だったのだ。
    今は…今は?

    少年探偵団!!って感じの表紙イラストが素敵。
    よしよし、そういう本なんだな?と気持ちスタンバイ。
    路面電車の走る町、荒川区(なぜかここは実名)町良(まちら)の世界観を語るための説明がちょっと長い気がするが、町の様子は事件の展開にも大いにかかわってくるので、よ~く思い描いて、頭の中に展開しておきたい。
    いいタイミングで

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    2019年10月03日
  • スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち

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    タイトルだけだとピンとこないが、表紙のイラストが昭和の怪人と探偵のイメージで良い!実際は昭和の雰囲気の町の現代の話なので、そのギャップも気に入った。町の噂の謎を解くうちに、自主的に助手が増えていくのも楽しい。助手が増えるきっかけにもなったいわくありげな椅子が気になる。そんな椅子で読書したい!

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    2019年08月30日
  • スズメの事ム所 駆け出し探偵と下町の怪人たち

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    楽しかった!
    装丁から、あの時代のお話しかと思えば、思いっきり現代が舞台で、それがより面白くしている。
    巻き込まれ型の探偵?涼に、巻き込んじゃう型の翁さん。
    ナイスすぎるでしょ。
    事件も、殺伐としたものはなくて、いかにも下町な感じ。
    そこから生まれる出会いも温かい。
    作家である涼父の蔵書が、すごく気になるなー。
    それを読めるなら、私も押しかけ助手になるw
    気になる弟甘くんの存在があるので、シリーズ化されることを期待。

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    2019年08月11日
  • かたみ歌(新潮文庫)

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    いやゃぁぁ、それはずるい…

    あちらとこちらの世界の境界線が曖昧な下町の商店街。ノスタルジックでミステリアスで少し怖いような気もするけれど、人と人の想いが交錯するどこまでも暖かくて少し切ない短編集。

    で終わると思ってたのに、ラストのあれはひどい。それはずるい。暖かすぎて切なすぎる。彼はあんなにひどいことをしたのに。


    要は幽霊と呼ばれるものが現れたり超常現象が起きたりするお話ばかりなんだけど、それがなんでもないことのように描かれていて面白いと思った。

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    2019年08月06日