友井羊のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ兎にも角にもリクが可哀想すぎて、心が痛くてたまりません。光一も酷い目にあっているので同情できなくありませんが、自分が虐待されていたからといってリクを虐げてよい理由には全くならないわけで。
本書でも言及されていますが、ペットのいる家庭で児童虐待があった場合、3割以上の家庭で子供による動物虐待が行われているという現実があるようです。そのことは理解でき、光一が虐待に走ってしまうのは仕方がないと思いつつも、リクが愛らしく「くぅん」と鳴く様子や虐待のありさまの描写を目にすると、どこにもぶつけようのない怒りと悲しみが沸き立ってくるのです。
本書の主軸となる話はあくまで法廷ミステリ的な部分だと思うので、その点だけ見れば光一が裁判を起こした本当の理由と結末には心底驚かされ、なかなかの佳作なのではと思います。
リクを殺したのは光一自身で、父が隠している「何か」を明らかにするために裁判を起こしたことは、およそ予想がつくことだと思います。その「何か」が光一への虐待なのではと予想はしていたのですが、あの友井羊氏が私に予想できる程度のどんでん返しを用意しているはずがないという期待もあったりします。
とはいえ、本作はかなり初期の作品で、そのころの作品ならそういう展開もあるかも…… などと高をくくっていたところに、全く意識していなかった真相が出てきたので、これには相当な驚きがありました。
その点は本当に素晴らしいと思うのですが、やはりリクのことを思うと複雑な気持ちになります。改めて表紙のイラストを見、光一の膝の上に頭を乗せ、口角を上げて光一を上目遣いでみつめるリクの姿を見ると、なんでこんなに可愛らしい愛犬を……と、やるせない気持ちに。
記憶に強く残るインパクトのある作品でしたが、後味が少々よくない印象がどうしてもぬぐい切れず、★5をつけるのはためらわれてしまいました。 -
Posted by ブクログ
ほんとに怖い内容だった。
私にも愛犬がいるから、特に動物虐待の話はキツい。読み始めたら最後まで読まなきゃ怖くて読むのをやめられなかった。
この父親はおそらく病気だろう。だからと言って許されることはない。
昨年の虐待死事件の犯人の父親を思い出す。どうしてあんな事して自己弁護が出来るのか…人間が動物と違う所の一つに自己嫌悪というものがあると思う。自分の行った愚行に嫌悪感を抱かないなら、もはや人ではないと思うのだけど。
色々な事を思い出して吐き気さえする。
朝起きたらうちのワンコをすぐ抱っこして癒して貰おう。
あーこんな夜中にこの本はやめるべきだったなぁ泣
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Posted by ブクログ
ネタバレこれまでに刊行された友井羊氏のミステリ作品を大変気に入っていたので、まさかファンタジーで来るとはと驚き(買う前に何度も著者名を確認してしまったほど)。実は私、最近ファンタジーや寓意的な話が苦手でして、楽しめるかどうか不安でした。
結果から言えば、本作は比較的興味深く、また楽しく(ときに切ない気分にはなりますが)読み終えることができました。
美しいものしか見えないヒカリを前に、彼女の瞳に映らなくて自分たちの外見的な醜さを露呈することを恐れる周囲の人たち。ヒトの外見はそのような人間の醜い部分を象徴しているのかな?
ヒカリが再び視力を失ってしまったのは、玲一郎の本性を知って人間どころか世界に不信感(外見が美しいものでも、その実は醜いものではないかという疑心)を抱いてしまったから?
ストーリー自体も楽しめるのですが、上記のような作中の要素が何かを象徴しているような気がして、それをいろいろ推定するのも楽しく思いました(実はそんな意味ないのかもしれませんが……)。
話として印象的だったのはヒカリがずっと目にしたかった雪の花を見る場面で、その描写はたった三行。それに続くヒトの外見や彼とのやりとりはその何倍も多く、密度も段違い。ヒカリがどれほどヒトのことを想っているかが伝わってくるようでした。
その場面は、あるいはそれまで見たいものだけを見てきたヒカリが、そうでないものも溢れている世界を受け入れていくという、ある種人としての「成長」を意味しているのでしょうか。
また、最も美しいものが透明の花というのも意味深。透明な花びらの向こう側には何かしら世界の一部が映っているわけで、そこに何が映っていようが美しいものである、とも受け取れるわけで。
正直、作中の要素全てを理解できている自信はないし、解釈が正しいのか不安だったりしますが、良い作品だなぁという印象は残っています。