上田惇生のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
1964年、ドラッカーが55歳ころの作品と言うことは、今の私くらいの年齢だ。しかも、50年後にも通用する内容の本を書けるというのがすごい。なぜ、大阪万博前に「顧客は満足を買う」って宣言できているのか不思議です。今のビジネス本の多くが2年くらいで陳腐化しちゃうのとは大違いって思うけど、今はもっと時代が速いのかな?
この本は、結構、実践的と言うか数字的なアプローチも多く、今まで読んだ本とはちょっと雰囲気が違うが、この実践的な話も面白い。むしろ、この方が新鮮だし、これまで読んだ本より集中できた。洗濯機の白さを競う話も面白かった(^^)。
本書の中で本業は3種類と言っている。これは社員一人一人の仕事の本業は何かと言うことにもつながっている。経営者はもちろんのこと社員も自らの仕事を以下の3つととらえる必要がある。
(1)今日の事業の成果を上げる
(2)潜在的な機会を発見する
(3)明日のために新しい事業を開拓する
社員は毎日この3つの仕事をやっているかどうかチェックすべきだろう。社員で新しい事業の開拓などと言うと戸惑うかもしれないが、小さな改善も新しいステップになる。
そもそも、企業の歴史とか伝統とかいうが、それは「過去の意思決定や行動や業績によってもたらされたものが今日の事業」と言うだけのこと。それをなどるだけでいいのか?それは(1)のみの仕事をしているに過ぎない。
明日のための意思決定や行動をしなくていいのか?作られた過去の歴史ではなく明日の歴史を作れ!と言うことだろう。
選択と集中は重要なことだけど
5万ドルの取引も500ドルの取引もかかるコストはほとんどかわらないからといって、コストだけを意識した選択ではいけないと感じる。なぜなら私は零細企業の経営者だから。事業仕分けのように、ある部分だけを見て、「不要じゃないか」「2番ではいけないのか」と言う判断では割り切れないものを持っているのが零細企業なんだろう。
(だから生き残れないのか?しかし、それでも生き残れて何が楽しいのか?)
事業分析と言う点では、なかなか零細企業にはハードルが高い面もあるが、この本の基本を理解したうえで自社向けにアレンジをして分析する必要性は高いと感じた。
(以下は個人的なメモ)
商品の仕分けも必要なこと。
(1)今日の主力製品
(2)明日の主力製品
(3)生産的特殊製品(限定的な特殊市場を持つ製品)
(3)開発製品
(4)失敗製品
(5)昨日の主力製品
(6)手直し用製品(欠陥が明白であり、その手直しが容易であり、現実に大きな利益と成長が奪われているもの)
(7)仮の特殊製品(主力製品になるかもしれないにも関わらず特殊製品として扱っている製品)
(8)非生産的特殊製品(この製品がなければ量産品の注文が来ないと言い訳されるような製品)
(9)独善的製品(成功してないければならないのにまだ(もう?)成功しない製品)
(10)シンデレラ製品(チャンスを与えれば成功するかもしれない製品)
ノンカスタマー 自社の商品を買っていない人は誰か、なぜ顧客になっていないのか?
金と時間の使い方 顧客は何を買うか、金と時間をどう使っているのか
価値選好 他社から何を購入しているのか、その満足はどんな価値があるのか、それは潜在的に競合するのか
提供しうる価値
存在価値
商品群 顧客の考え方や経済的な事情から意味ある商品群は?
潜在的な競争相手
潜在機会 わが社の事業の一部と考えていないために見えていなくて試みてもいない機会はどこにあるのか
顧客の現実 顧客の現実であって、わが社に見えないものは何か
強みを基礎とするアプローチ
(1)理想企業のモデルからスタート
・・・・理想的な味噌屋の姿とはどんなものか考え構想を練る
(2)最大の成果を上げるべく機会の最大を図る
・・・・理想企業実現とその最大の成果の実現に向けて一歩を踏み出す
(3)最大の成果を上げるべく人材の最大利用を図る
・・・・そのために人材配置の意思決定が重要
気になった言葉
知識は本の中にはない。本の中には情報のみ。情報を仕事や成果に結びつけるのが知識。
4つのリスクがある(負うべきリスク、負えるリスク、負えないリスク、負わないことによるリスク) -
Posted by ブクログ
1年間の課題本で、この夏あたりの本が一番つらいところでもあります(笑)。個人的には先「に実践するドラッカー」三部作を読みたいところ(震災の影響で今年中に1冊になったことは残念だけど自主的には読んでおく)ですが、他にも読みたい本があるし、まずはペース配分を守って、この秋に勝負と言うところか。
しかし、7月の課題本と合わせて、この本も好んで読むことは絶対にないのですから、読む機会が与えられたことは、非常に大きいです。
第一次世界大戦が終わり、アメリカ経済が好景気となったにもかかわらず、Black Thursdayなんてことが起きた後に、この本を書き始め、その世界恐慌から各国が自国を守るがための経済封鎖が軋轢を生み第二次世界大戦が勃発する直前に書き上げられています。
と言うことで、ドラッカー最初の本と言うことを除くと、歴史上の話を読む感じです。ビジネス書としてはもともと読むつもりがなかったです。
内容的には、政治経済の両面からドイツのナチス、イタリアのファシスト党に関連する内容が多いです。日本は、同じように軍事態勢が強くなり全体主義的な色合いが強かったと思いますが、もともと一元的な政治支配を行なう集団や思想がなく単なる軍国主義だったためにここでは取り上げられていないのでしょう。
ファシズム全体主義を既存の資本主義で打ち破ることはできないと言っています。それは、ナチズムやファシズムと言うものが、経済至上主義の挫折から生まれたものだからと言うことです。「経済人の終わり」と言うタイトルは、ファシズム全体主義を打ち破るのは、自由と平等の社会についての「非経済的な新しい概念」の確立しかないというドラッカーの認識からくるものなんですね。
それにしても激流のこの当時を後から振り返っていうのは何でもできると思うけど、現在進行形で真っ只中にいて、全体を考察する視点を持つというのは、この筆者のすごいところなんでしょうね。 -
Posted by ブクログ
「コンピュータが現れなかったならば、情報とはエネルギーの一種であるということは理解されなかった。電気は、機会の仕事のための、最も安く最も豊富で最も使いやすいエネルギーである。これに対し情報は、頭の仕事のためのエネルギーである。これからはこの類いの仕事のためのエネルギーが最も必要となる。」
この本って1969年、ドラッカー59歳の時の著作ですよね。
「情報とはエネルギーの一種」っていうことを初めて聞いて驚いてしまいました。もっと掘り下げたいなと思います。
イノベーションの重視、それの土台となる知識の重視。これらにまつわる社会システムについての言及。マクロ的に様々な分野での言及はあるが、自分自身のこととなると自分で考えなければならない。答えを容易に提供している簡単なビジネス書とは違い、様々な示唆を与えてくれる。 -
Posted by ブクログ
7月と8月の課題本は歴書だと思って読むことにしているけど、その第一弾ドラッカーの1946年の著書「企業とは何か」。この本は確か三作目で第二次世界大戦末期のGMの経営を内部から調べ、企業経営成功の要因を探ったもので、この本がその後の現代マネジメントへと続く根源と言ってもいいのでしょうね。
でも、本文は他の本を読んでいるとたいして興味深いものはない(^^;。もちろん書かれた年代を思うとすごすぎるのですが。あえて興味深ったものとして、企業の責務としての「完全雇用」と企業の社会的責任だろうか。
それよりもかなり面白いのが、最後の終章の40ページほど。付録が面白く楽しみっていうのは「学研」以来のことだ。
終章 成功を原因とする失敗エピローグ(1983年)
付録1 1983年版へのまえがき
付録2 1993年版へのまえがき
付録3 2005年日本語版訳へのまえがき
(三大付録つきっていうのかな)
特にこの本の提言に対してGMの3つの反論を書いた終章はすばらしい(^^)反論が素晴らしいということではなく、その記述が今となってはドラッカーの先見性を素晴らしくさらに際立ったものにしているから。
3つの反論とは次のようなもの。
1)GMにとっては経営政策とは原理であって恒久的たるべきもの
「GMを怒らせたのは、経営政策というものは一時的なものでしかありえず、常に陳腐化の惧れがあるというこの考えそのものだった。」
そうなんですよね。過去の成功体験をいかに捨てられるかは重要な経営政策なんだろうにね。
2)マネジメントの責任を工員に持たせることは工員に負担増をもたらす
「戦後の従業員関係の基本は、仕事と製品に誇りを持ちたいという従業員の意欲におくべきであり、労働力はコストではなく資源として捉えるべきである旨を提言した」
いまでこそ、こうした意見はよく耳にするけど、これが60年以上も前に唱えられていたということは、なかなか天動説から地動説への移行は難しいものであるということかな。
3)社会的責任などどうして考えついたのか?能力のないことを行うことは責任ではない。無責任である。
企業は公益にかかわりがあるとし、社会の問題にも関係をもたざるをえない。今なら周辺住民への健康などにかかわる被害を出す企業など1日たりとも存続できない状況である。
このように、今のとなってみればGMの考えがいかに適切じゃないかは理解できるのだけど、当時は無理があったのでしょう。日本の企業が参考にした本書を取り入れられないというのは、成功体験がいかにその後の変化に害を及ぼすかということの証明のようでもあった。
「GMがいかなるものになるにせよ、工場の現場において、今世紀前半の産業の象徴ともいうべき伝統的な組み立てラインが、遅くとも2000年には歴史の彼方に消えていることだけは間違いない」って書かれていたけど、組み立てラインどころか、(ドラッカーさんは亡くなってみることがなかったけど)GMそのものが破綻しちゃったんですけど・・・・。
「1983年版へのまえがき」にはこの本の中で一番気に入った言葉がある。
「いうなればGMは哺乳類における象ないし鯨ということになる。これに対し、明日を担う企業は人間ということになる。象や鯨はその能力の大きな部分を肉体の大きさから得る。人間はそれを頭脳から得る」
「2005年日本語版訳へのまえがき」には、IT革命により知識労働者の主役化をとき、「2020年、30年、今度こそ企業は大きく変わる」と締めている。 -
Posted by ブクログ
メモ。
「マネジメントの条件」
*組織は透明でなければならない
*最終的な決定権をもつ者が必要
*権限には責任が伴わなくてはならない
*誰にとっても、上司は一人でなければならない。
*階層の数は少なくしなければならない。
「機会となり得る変化」
*自らおよび競争相手の予期せぬ成功と、失敗
*生産、流通におけるプロセス、ギャップ、価値観ギャップ
*プロセス、ニーズ
*産業構造と市場構造の変化
*人口構造の変化
*認識力の変化
*新しい知識の獲得
「仕事に必要な情報」
*共に働く者や部下に対して、提供すべき情報は何か。それは、いかなるかたちで提供すべきか。いつまでに提供すべきか。
*自分が必要とすべき情報は何か。それは、誰からか。いかなるかたちでか。いつまでにか。
「知識労働の生産性を向上させるための条件」
1.仕事の目的を考える
2.働く者自身が生産性向上の責任を負う。自らをマネジメントする。自律性をもつ。
3.継続して、イノベーションを行う。
4.自ら継続して学び、人に教える。
5.知識労働の生産性は、量よりも質の問題。
6.知識労働者は、組織にとってのコストではなく、資本財であることを理解する。知識労働者自身が組織のために働くことを欲する。
「自分をマネジメントする」
*自分は何か。強みは何か。
*自分は所をえているか。
*果たすべき貢献は何か。
*他との関係において、責任は何か。
*第二の人生は何か。 -
Posted by ブクログ
この本は320ページほどで20章仕立て。1章あたりのページ数が平均16ページと短いので、枕元に置いて1日1章を読んでiphoneにメモして寝るというパターンで進めました。
この本には、イノベーションと企業家精神を生み出す原理と方法について述べていると書かれている。「原理」である。「定理」じゃないのだ。もう、これは根本となる仕組みなのである。アルキメデスの原理みたなものだなあって思って読んでみた。
とりあえず、前半のイノベーションの機会を紹介してみよう。
イノベーションのための7つの機会
(1)偶然
売れない商品に興味を持つ女性が隣の席に座るかもしれないから晩さん会に行こう
(2)ギャップ
当たり前と思うことに潜んでいるが、凡人は当たり前と思う
(3)ニーズ
ニーズといえば「ニーズを聞くな!感動を売れ!」
(4)産業構造の変化
気が付いていても難しく考えてしまう。対応する場合は単純で具体的に
(5)人口構造の変化
「いつの時代も若者は若者だ」という言葉で片付けられない時代
(6)認識の変化
中流家庭にはブリタニカがある。認識の変化を意識して売り込んだ成果
(7)知識の利用
これは難しい、戦略や分析、マネジメントが必要である
ちょっと斜めに見て書いたけど、こんな感じで、分類が好きな外国の本らしくイノベーションに関しても7つの機会ややっていないことを紹介している。一方の企業家精神の分類も面白い。ただ、実例に挙げてある企業が同じ企業が何度も出てきて、正直、明確な実例の差が見えなかったりした。
「コップに半分水がある」とみるのか「コップの半分は空である」とみるのか、このような視点の違いにヒントがあるのかもしれない。企業化戦略としてさまざな戦略の紹介と実例は興味ある内容のものも多いが、私自身が一番のおすすめは、「終章 企業家社会」。時間がない人はその章の中の「企業化社会における個人」の315~317頁(たった3頁か(笑))。