しきみのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
乙女の本棚シリーズから、中島敦さんとしきみさんのコラボ作品『文字禍』です。この作品、難しいっ!!
ストーリーは、アッシリアの碩学ナブ・アヘ・エリバ博士が「文字の精霊」に関する研究をすすめるうちに、文字がもたらす恩恵とともに災いにもたどり着く…。アッシュールバニパル王に進言するものの聞き入れてもらえず、悲惨な最期を迎えてしまうというもの…。
『…文字の無かった昔…歓び(よろこび)も智慧(ちえ)もみんな直接に人間の中に入って来た。…文字が普及して、人々の頭は、もはや、働かなくなったのである。』
なんか、この一文が刺さりました。文字に頼り過ぎているのかな…とか、思ってみたり…だけど、文 -
Posted by ブクログ
坂口安吾文学忌、安吾忌
1947年発表の 恋と愛の坂口安吾定義
恋す:いまだ所有せざるものに思いこがれるような
ニュアンス
愛す:落ち着いてすでに所有したものを慈しむよう
な感じ
これは納得します
恋愛を「一時の幻影であり、醒めるもの」
そして 大人はそれを知っていると論ずる
今だと 推し活なるものがあり
推しを 恋すとなるのか愛すとするのか
時代で定義も変わるのかもしれない
恋愛論としながら
「恋愛とはいかなるものか私は知らない」とはじまり 一生文学に探し続けると続く
だから難解なのではなく 結論を持っていないのではないかと思われる
だって熟読したけどわからない
恋愛には常 -
Posted by ブクログ
アッシリヤの碩学ナブ・アヘ・エリバ博士が、「文字の精霊」が人間に及ぼす災いについて研究するうち、分析的思考や文字そのものへの否定にまで陥り、アッシュールバニパル王に進言するものの認められない。
やがて大地震で自家の書架が倒れ、"文字共の凄まじい呪の声"とともに落ちかかってきた書籍(当時の粘土板)の下敷きとなり、圧死してしまうという最期を迎える。
「文字ノ害タル、人間ノ頭脳ヲ犯シ、精神ヲ痲痺セシムルニ至ッテ、スナワチ極マル。」
文字を精霊に見立て、文字を学び言葉を手に入れた者たちはつぎつぎと狂わされる、とする見解には思わず頷かされるばかりだった。
文字を使っているだなんて -
Posted by ブクログ
泉鏡花文学忌、死因は肺腫瘍
泉鏡花の戯曲 1913年
戯曲を読むのは難しく
夜叉ヶ池の龍神との約束の鐘
日に三度鳴らす役目を負った青年と美しき妻
夜叉ヶ池の主、白雪姫は人間との約束を守り池を守るが剣ケ峰の恋人の所に行きたくて仕方ない
激しい日照りに村人は、雨乞いの生贄に美しい妻を選ぶ
それを知った夫と友人は命をかけて抵抗する
妻は自死、夫は後を追い池の中へ
約束は守られずつかれる事のなくなった鐘
白雪姫は恋人の元へ
村は大洪水となり、愚かな村人は魚となる
姫と妻 ふたりの女の物語
しきみさん、このイラストは大変でした
さすがに乙女の本棚にならなければ戯曲は読まなかったので、ありがとうござ -
Posted by ブクログ
江戸川乱歩文学忌、遺作は、「超人ニコラ」
読んだ記憶は無いかな
1929年昭和4年の作品
魚津の蜃気楼を見た帰りの電車
包まれた“推し絵の額”を 抱えた老人と乗り合わせる
その絵にまつわる老人の兄の不思議な昔話
蜃気楼のような物語
もう一つの舞台は 兄がその絵を見つけた1890年建築の浅草十二階段
そこに入り込む描写も夢物語
その絵は「八百屋お七」ののぞきからくり
お七は、恋した男会いたさに放火事件を起こし死刑となった娘
推し絵の熱情系女子に恋した兄は 自分が推し絵となっても彼女と添いたい
推し絵の中で歳を重ねる兄と若いお七を見守る旅する男
しきみさんのラストのイラスト
車窓を一枚の絵