しきみのレビュー一覧
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乙女の本棚シリーズから、泉鏡花さんとしきみさんのコラボ作品「夜叉ヶ池」です。しきみさんのイラストは、「夜叉ヶ池」らしく青緑を基調としたもので雰囲気出てます。が…戯曲??何??しかも、今回も難しい…ってところから(^-^;)
竜神が住むといわれる夜叉ヶ池。1日3回鐘を撞かなければ、池から津波が起こり、村は水の底に沈んでしまうという言い伝えがあった…それを守るのが萩原晃・百合夫婦だった。一方その言い伝えがあるために剣ヶ峰に行けない夜叉ケ池に住む白雪姫…この2つの恋の行方を戯曲で表現しているのがこの作品…でいいかな(汗)。
ラストがまた息をのむ展開で…さすが泉鏡花さんです!!難しい…読める -
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乙女の本棚シリーズから、坂口安吾さんとしきみさんのコラボ作品「桜の森の満開の下」です。前に読んだ「夜長姫と耳男」が怖いお話だったので、また怖いお話かも…ドキドキしながら手にしました。
鈴鹿峠に住みついた山賊の男は、桜の満開の時期になると胸騒ぎを覚え落ち着きをなくす性分であった…。ある日、いつものように金品を強奪しようと狙ったのは夫婦だったが、妻が美しすぎたこともあり夫を殺して妻を浚い男との8番目の女房としたのだが…この妻がわがままで男を意のままに操り、残虐で冷徹な一面を持つ狂気に満ちた女だった…。6人の女房を男に殺害させ1人は自分の侍女(女房の中でも一番容姿の劣るもの)とし、山での生活に -
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乙女の本棚シリーズから、江戸川乱歩さんとしきみさんのコラボ作品「押絵と旅する男」です。表紙からは、なんとも言えない違和感を感じてしまったけれど、読み進めるとその訳もわかってきます。
蜃気楼を見に行った帰りの汽車の中で、押絵を持った男性と出会う…。男性は押絵を車窓にむけて、押絵に外の景色を見せているかのように見えたため、興味を持って近づくと見事な押絵を見せてくれた上にその由来を語りだす…。
押絵の初老の男性は兄で、兄のために押絵を持って旅を続けているのだと…。この兄弟の想いを推し量ろうとすると、切ない気持ちになってそれが読後の余韻として広がります…。しきみさんのイラストも、この作品にぴ -
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乙女の本棚シリーズから、萩原朔太郎さんとしきみさんのコラボ作品の「猫町」です。このなんとも不思議な印象を抱かせる表紙、これもまた期待できそうっ♪
主人公は、耳の三半規管の疾病によるものか、薬物による影響か、よく道に迷う私…。迷い込んだ先には別世界が広がる…。ある日、温泉場に逗留していた私は、猫神に支配され住民は魚しか食べない地域があるらしいという言い伝えを聞くが…気に留めることなく、迷い込んだ町は居心地のいい洗練された風情のある町並みと、温和で満ち足りたように見える住民…それが一変し、どこを見ても猫だらけの猫町に…!!思わず驚愕したが…次の瞬間そこには見慣れたいつもの町並みが…。一貫し -
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ネタバレ幻惑幻想。
浮世離れした幻想に片足をいれたような夫婦と、下界といっていい現実世界に蠢く村人や権力者。
それに夜叉ヶ池の幻想そのものの住人たち。
この世ならざる夜叉ヶ池の住人たちとは直接関係はなく話が進むが、最後には幻想幻惑がすべてを飲み込む。
池の堰が切れたように。
さすが、泉鏡花先生。戯曲では天守物語が名高いけれど、それと比べても幻想の度合いと、美しさが際立つ。
冒頭の場面描写に「水辺の菖蒲」があったけれど、「妖剣紀聞」で菖蒲を好んでいた旨が書かれていたので、あわせて読むと、水辺の描写の美しさ・菖蒲の描くことへのこだわりがわかる…かも? -
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この季節にぴったりな一冊。
私はとにかく昔から桜が大好きで、高校生のときの図書委員会便りでも「桜の小説」特集を組み、この作品を紹介していた覚えがある。
桜の美しさはほんとうに不可解といっても過言ではなく、このような恐ろしい逸話の上に咲いているのだと言われたらつい納得してしまいそう。
見目麗しければ人妻でも平気で連れ去る野蛮な山賊が此度捕らえてきたのは、わがままで、生首をおままごとに使って遊ぶような狂った女。
暴君な彼女に振り回され都会に引っ越したものの、ますます疲弊するばかりの男は取り憑かれるように桜の森の満開の下を訪れるが……。
ラストの描写の美しさは圧巻。散り積もった桜の花びらを目にしたら -
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「猫町」という作品自体がとても好きだと感じたのだけどそれだけではなくて、巻末エッセイの最果タヒさんの言葉にも惹かれた。
言葉を読むあいだ、遠いものと近いものとがぐるぐると回転をしながら目の前を通り過ぎていくような感覚に溺れる。
自分の体内に消化が難しい食べ物が急に飛び込んできたような感覚。
知っている、とすら思い、自分の「知っている」という感想に、あとでちょっと首をかしげる。
そんな経験はないのに、そんな経験を思い出したような心地がした。
描写された音もされない音も、私には聞こえているとどうしてか思いこんでいて…
読書っていうのは言葉を追いかけ回すことではないのかもしれないな。 -
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テーマが設定された中でチャットを楽しむSNS「ルーム」ある日主人公は奇譚好きのルームに招待される。10人の参加者が集まった時点で急に「マーダラー」と名乗るルームのホストが面白い奇譚を披露しないと一人ずつ殺していくと宣言。アバターと現実をリンクさせた為アバターが消えれば実際に死ぬと説明された中一人ずつアバターが消えていく。10人の中に潜む「マーダラー」は誰だ?無茶な設定だと思ったけどやや飛び道具だが地に足がついた真相に行き着いたのは流石。アイコンに吹き出しがついた横書き形式が実際のSNSを追っている感じで楽しい。奇譚の内容は人形遣いと遊民が良かった。自分の認識している世界と地続きな不思議はやはり