しきみのレビュー一覧
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谷崎潤一郎の『魔術師』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ17巻です。
ヨーロッパから遠く離れたどこか…東京のような都で仲良く歩く「私」と恋人でしたが、恋人が公園へのデートを提案したことで物語の歯車が回り始めます。
「私」は町に公園があることを知りませんでしたが、そこに人々を魅了する「魔術師」がいることを恋人が語りだします。
広場を抜けて魔術師の幻惑を求める群衆が集まる小屋へ入る二人。
生きた蛇の冠を頭に巻き、ローマ時代のトーガを身に着け、黄金のサンダルを穿いた魔術師がそこにいました。
男性なのか女性なのかわからない、両性の美しさを持つ魔術師に「私」は…。
不可思議で美しい純文学を -
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中島敦の『文字禍』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ43巻です。
アッシリアのナブ・アヘ・エリバ博士は、アッシュールバニパル王から“文字の精霊”が引き起こす災いについて研究するよう命じられます。
研究の成果として文字の精霊が存在することを発見しますが、精霊の厄介さを知った彼は王に文字を使わないことを進言し軟禁状態となります。
この成り行きも文字の精霊の暗躍によるものとされましたが、博士には更なる災厄が待っているのでした…。
このような不可思議な物語を不可思議なイラストで彩った本書は、その世界観を増幅させている良書です。
特に文字の精霊は楔形文字を擬人化したような存在でとても素敵で -
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人の夢の話って本当につまらない。その人の中の知識の共有のないまま、ランダムで不条理で支離滅裂だからだろう。
でも夏目漱石のこの作品は名作としてずっと残っている。
まず、第一夜の死の床にある女との会話がロマンチックだ。「百年待っていてください」という頼みも、真珠貝で掘り起こすところも。彼女の姿ではないけど、百合の花で再会とするところは、ブッダの生まれ変わりの話みたいだといつも思う。
第三夜の目が見えない子供を負ぶう話も、ちょっとホラー仕立てで面白い。
第十夜は、水菓子やの水蜜桃、林檎、枇杷と色鮮やかな果物を描写する漢字の単語が美しい。
イラストが美しいし、夢十夜の雰囲気ともとても合っている。特 -
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『今昔奈良物語』の『桜の森の満開の下』のパロディー短編を読んだときにわからない部分があったので、今回読んでみました。挿絵とレイアウトのおかげでとても読みやすくなって、文豪作品の敷居がぐっと低くなりました。
鈴鹿峠にある桜の森の花の下では花の季節になると、旅人は気が変になってしまう。この山に住む山賊は情容赦なく着物をはぎ人の命を絶つが、やはりこの花の下に来ると怖くなってしまうのだ。山賊がいつものように街道で男の着物と一緒に妻をさらう。山賊にはすでに7人の妻がおり、その女は他の妻たちを次々と殺すよう山賊に言う…
現代では絶対に出版できない内容。とても残酷なのですが、この山賊がそうであるように、 -
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夜叉ヶ池には龍神が封じ込められている。自由を求める龍神は、遠い昔に人と約定を交わした。麓の鐘を必ず日に三度、撞き鳴らすこと。一度でも忘れたら、夜叉ヶ池から津波が起こり、村も里も水底に沈むであろう。
文学士で僧の山沢学円は越前琴弾谷で旧友の萩原晃に再会する。晃は、妻の百合と共に鐘楼守をしていた。
夜叉ヶ池の主•白雪は、白山千蛇ヶ池の主が思い人で、会いたくてたまらない。
"義理も仁義も心得て、長生きしたくば勝手におし。…生命のために恋は棄てない"
しかし、家を留守にした晃を慕い歌う百合の子守唄を聞いて約定を思い出す。
折しも旱魃続きの夏。村の人々は、夜叉ヶ池の雨乞いに、村