しきみのレビュー一覧

  • 夜叉ヶ池(乙女の本棚)

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    線がくっきりしているからか、キャラクターの顔が今どきすぎるからか、私の中の泉鏡花作品のイメージとは合わなかった。蟹と鯉は可愛い。

    話の内容もなんとなく分かるのだが、やはり昔の書き方のままなのでいくらか読みにくく、解説のあった方がありがたい。

    雨乞いの生贄として美女の裸体というのが如何にもだが、私が代わりに脱いで生贄になりますとも!と、夫や僧らが言うのは面白かった。
    そこからの展開があっという間で、気づくとサラッとした一文で主要人物が死んでいく。
    〆が白雪が百合に子守唄を頼もうというのが、ブラックな絵本みがあって良い。

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    2024年07月12日
  • 夜叉ヶ池(乙女の本棚)

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    舞台の台本のような書き方で、読み慣れていないからか、場面転換についていけず、疑問ばかり浮かび、よくわからないところが多かった。

    伝承に縛られるって、すごく息苦しい。
    ウソかホントかも分からないことに、人生を捧げて、他の人の命を楯に、自分の自由を奪われてしまっている鐘守の感じは、憐れな気がした。
    他人のために生きるというのも、度を越すと辛くなる。自分が満たされたからこそ、他人に優しくする。そういう順番が大切だと思った。

    大事な約束だと皆が思うのなら、一人に押しつけずに、皆で分担すればいいのに。一人の犠牲の上にあぐらをかいて生きようとするのは、生贄のようで気持ちの良いものではない。
    皆が気持ち

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    2024年06月27日
  • 魔術師(乙女の本棚)

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    浅草の繁華街と、本当にはないテーマパークのような存在のある世界観が、同じ乙女の本棚のシリーズにある江戸川乱歩の「押絵と旅する男」と似ている気がした。

    この彼女の存在がすごく嘘っぽい。本当に彼のことを好きなの? 何で魔術師のところにそんなに行きたがるの? とよくわからない。そして、二人で魔術師のもとにたどり着き、すぐに魔術師に魅了されて半獣人にしてほしいと言い出す彼も彼だ。そんなに、今に不満足だったのだろうか。

    この作品は正直、何を言いたいのかちっともわからなかった。ファンタジーは、世界観を楽しむものなのだと思うが、何か教訓めいたものがないと、私は物足りなさを覚えてしまうようだ。そのことに気

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    2024年06月07日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    乙女の本棚シリーズ。

    恋とは、愛とは…。
    この言葉の意味するものは何だろう?

    こむずかしかった。

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    2024年05月19日
  • 乙女の本棚2 猫町

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    口語自由詩の完成者(国語便覧より)
    萩原朔太郎文学忌、死因は急性肺炎。

    散文詩風小説
    幻想的で夢幻的、加えて人外の世界観
    距離と時間の移動から 異空間への移動
    猫町へのいざない
    薬物からの幻影なのか
    作家としての創作なのか
    あるいは、作者にとっての現実なのか

    村上春樹さんの1Q84で紛れ込んだ「猫町」を
    思い出します
    あちらは海外文学に着想があるらしいけれど
    いつもの街角からふと入り込む猫町
    幻想と現実の狭間 危うげな均衡
    共通点は多いと思う

    イラストはしきみさん
    彷徨える男がねずみとして表現されていて
    猫町からの対比からなのかしら
    そうすると村上春樹さんの初期作品に出てくるねずみ男も 

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    2024年05月11日
  • 詩集『青猫』より

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    萩原朔太郎文学忌、朔太郎忌
    「青猫」1923

    無数の雀は都会に集まる若者
    前半で東京-都会への憧れ
    都会の象徴は 建築・女性・高貴な生活
    後半から 現実の厳しさ 想いとのギャップ
    青い猫のかげ、幸福の青い影は 青い鳥の対義か
    影でしかない求める幸福

    様々な憂鬱の情景
    憂鬱ではあるけれど 詩自体はリズミカル
    都会は遠くにありて思うもの、だったのかな
    イラストはしきみさんです
    わかんないよね


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    2024年05月11日
  • 夜叉ヶ池(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    知らなかったから無意識なのだが、似たような話を続けて読んだのは……これもシンクロニシティというのだろうか。

    きれいなイラストではあるのだが、この物語には現代的すぎる気がする。

    結末は、正直いい気味である。約束を守る、池に棲む姫と鐘撞守夫婦の対極にいる、こういう村人みたいな集団はほんとに嫌い。もっともらしい顔した宗教者や教育者がいるのが情けないし、虫唾が走る。

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    2024年04月13日
  • 乙女の本棚8 夢十夜

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    夏目漱石は読んでみたいと思いながらも吾輩はも、坊ちゃんも途中断念。
    絵本なら読めると意気込むが意味不明の夢の話。ストーリーがないのは楽しめない。でも、理解しておすすめとかいう人や昔の人らは普通として読んでいたのかと思うと、私も理解し、感想も書ける能力が欲しい。

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    2024年04月09日
  • 奇譚ルーム

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    ネタバレ

    横書き、チャット風のやり取り、ポップなイラスト。
    どれも楽しく読むためのスパイスになっていて、ページをめくる手が止まりませんでした。

    SNSの仮想空間を行ったり来たりしながら語られる奇譚の数々。
    はやみね先生の作品には珍しいタイプのお話ばかりだな、と感じました。

    めちゃくちゃ読みやすいです。子供の頃に出会っていたら、大好きになっていただろうな。

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    2024年04月04日
  • 乙女の本棚8 夢十夜

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    「こんな夢を見た」から始まる、夢のお話。よく分からないところがあっても夢だから仕方がないんだと納得が行く。不思議で、幻想的な世界だった。挿絵も場面にピッタリで、素敵でした。

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    2024年03月31日
  • 桜の森の満開の下(乙女の本棚)

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    山賊と、妖しく美しい残酷な女の物語。昔読んだ時は「怖い」「気味が悪い」が先に立ってしまったけれど、改めて読むと幻想的なお話だと思った。満開の桜は綺麗だけれど、この物語の影響か、なぜだか死も連想してしまう不思議な存在。イラストも素敵で、物語を彩っていた。

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    2024年03月26日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    【愛と恋と恋愛の意味について】
    この恋愛論はここで初めて読んだ。絵本として読むとまた違たテイストで読めるのかな、と思った。
    日本語の、愛、恋する、恋愛について、著者なりの考えが書かれている。恋愛は幻影だけど無駄なものではない、そして恋愛はそれぞれで、一般化できるものではないからたくさんの小説などが今もこれまでも作られている、というところが印象的だった。

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    2024年02月24日
  • 恋愛論(乙女の本棚)

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    最初は恋愛を知らない子の純粋な恋愛に関する気持ちかと思ったが読み進めていくうちにだんだんと悲しみに満ちていくようなそんな風に感じました。
    恋愛というのは目にはみえない心でのやり取りなので難しいですね。

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    2024年02月18日
  • 乙女の本棚2 猫町

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    萩原朔太郎が詩以外の小説を書いているとは知らなかったので、まず、そこに驚いた。
    旅した気分になるために、モルヒネやコカインを使ってエクスタシイを感じるという日常は、朔太郎自身もしていたものなのだろうか。
    今いる町が、左右反転しただけで、非日常にうつるというのは、私もどこかで感じたことがある。例えば、普段見ている漢字の文字が、急に知らない記号に見えてくる、そんな感じとか。
    猫だらけの町というのは、なにかのアニメ映画で数本見た記憶がある。この作品がモチーフになっていたりするのだろうか。不思議な世界観が後世の作品にもたらした影響や、作者の薬物歴などが、妙に気になった作品だった。

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    2024年02月16日
  • 乙女の本棚8 夢十夜

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    ネタバレ

    「こんな夢を見た」から始まる、十の美しい夢の世界。夢だからすべてに理由なんてないし、ちょっと怖い。でもこんな夢の話ならいつまでも聞いていたい。
    お話としては一、三、七が好み。
    しきみさんのイラストは第一夜の百合が儚い雰囲気で良かった。
    ページごとに文字や背景の色の変化があって、飽きずにするすると読める。美しい本だった。

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    2024年02月08日
  • 桜の森の満開の下(乙女の本棚)

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    ネタバレ

    女はいつから男自身だったか。旧い女房を一人殺したときからか、首を集めはじめた頃からか、そんな日々に倦んだ頃からか。あるいは、はじめからか。どんなに残酷であっても自分の内なる鬼を殺してはいけなかったとしたら、どうやって鬼と生きていけばよいか。どうしたら桜の森の満開の下を怯えずに居られるか。

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    2024年02月04日
  • 乙女の本棚2 猫町

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    この作品は文字だけの方がいいな。
    なぜなら、描写がものすごく細かく、描写だけで頭の中に細部まで映像化ができてしまうので、それと合わないイラストによって逆に再現された映像が壊れてしまう。
    猫が迫り来るシーンはまるでサメがあの有名な音楽と共に迫り来るジョーズのような緊張感があるのだが、イラストとはずれる。

    イラスト自体がどーの、というよりは作品の魅力とビジュアライズということが相性があわないのかな、と思いました。

    2024.1.27
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    2024年01月27日
  • 奇譚ルーム

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    ネタバレ

    たまたま本屋さんではやみねかおる先生の本を見つけたので。
    昔の夢水清志郎シリーズや怪盗クイーンシリーズの感覚で読んでたけど、ゆるっとしたミステリーでした。児童書だから少し読みやすくなってるのかな。
    最初の数ページで違和感が満載だった。あの最初のパソコンやスマートフォンがたくさんある(全部足した機械の台数もちゃんとヒントだった)時点で察しがいい人は気付くよね。
    話が進むにつれて、みんなが忌憚を話出せばその違和感は増していく…。みんなの話の内容もだし、主人公である語り手の情報が最初のパソコンの下り以降一切出てこない。そもそも主人公は何者なのかが一切わからない時点で怪しさいっぱい。ただ最後にお前も別

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    2024年01月16日
  • 乙女の本棚8 夢十夜

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    夢十夜は、最初に“こんな夢を見た”とされ、、多少の理不尽や非合理性は、許してね、ということになる。その絵を描くというのはあまりに許容範囲が広すぎて難しかったでしょうねと思います。

    第一夜
    死んだ女が百合の花に転生する夢。
    愛する女を失った男の夢。
    「もう死にます。百年 私の墓の傍で待っていてくださいね。」
    星の破片の墓石、その破片の丸み、苔むす様子などから、長い時を演出する。
    女の死から再生の百年は、男にとって幸か不幸か、読む人によるかなあ。
    百年経って百合となる。

    第二夜
    侍が悟りを得ようとする夢。
    入室参禅で無を追う。
    夏目漱石は鎌倉円覚寺で参禅していて、その経験は、小説「門」となる。

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    2023年12月09日
  • 悪魔 乙女の本棚作品集

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    乙女の本棚シリーズでお馴染み、イラストレーターのしきみさんがこれまで手掛けてきた作品の中から、ご本人が厳選したカットを一冊にまとめたイラスト集。
    ずいぶん前に読んでいたものをこうして見返すと、イラストの素敵さにまた溜め息がでるよう。
    萩原朔太郎「猫町」の、可愛いながらも妖しく奇妙な世界観。
    坂口安吾「桜の森の満開の下」の綺麗な女性と、般若の老婆の恐ろしさギャップ。
    この二作は特にお気に入りです。
    また、描き下ろしで芥川龍之介「悪魔」も収録されている。赤い瞳に赤い髪をもつ悪魔の悲しさが、普段よりも大きなページにとても美しく表れている。

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    2023年12月05日