しきみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
舞台の台本のような書き方で、読み慣れていないからか、場面転換についていけず、疑問ばかり浮かび、よくわからないところが多かった。
伝承に縛られるって、すごく息苦しい。
ウソかホントかも分からないことに、人生を捧げて、他の人の命を楯に、自分の自由を奪われてしまっている鐘守の感じは、憐れな気がした。
他人のために生きるというのも、度を越すと辛くなる。自分が満たされたからこそ、他人に優しくする。そういう順番が大切だと思った。
大事な約束だと皆が思うのなら、一人に押しつけずに、皆で分担すればいいのに。一人の犠牲の上にあぐらをかいて生きようとするのは、生贄のようで気持ちの良いものではない。
皆が気持ち -
Posted by ブクログ
浅草の繁華街と、本当にはないテーマパークのような存在のある世界観が、同じ乙女の本棚のシリーズにある江戸川乱歩の「押絵と旅する男」と似ている気がした。
この彼女の存在がすごく嘘っぽい。本当に彼のことを好きなの? 何で魔術師のところにそんなに行きたがるの? とよくわからない。そして、二人で魔術師のもとにたどり着き、すぐに魔術師に魅了されて半獣人にしてほしいと言い出す彼も彼だ。そんなに、今に不満足だったのだろうか。
この作品は正直、何を言いたいのかちっともわからなかった。ファンタジーは、世界観を楽しむものなのだと思うが、何か教訓めいたものがないと、私は物足りなさを覚えてしまうようだ。そのことに気 -
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口語自由詩の完成者(国語便覧より)
萩原朔太郎文学忌、死因は急性肺炎。
散文詩風小説
幻想的で夢幻的、加えて人外の世界観
距離と時間の移動から 異空間への移動
猫町へのいざない
薬物からの幻影なのか
作家としての創作なのか
あるいは、作者にとっての現実なのか
村上春樹さんの1Q84で紛れ込んだ「猫町」を
思い出します
あちらは海外文学に着想があるらしいけれど
いつもの街角からふと入り込む猫町
幻想と現実の狭間 危うげな均衡
共通点は多いと思う
イラストはしきみさん
彷徨える男がねずみとして表現されていて
猫町からの対比からなのかしら
そうすると村上春樹さんの初期作品に出てくるねずみ男も -
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萩原朔太郎が詩以外の小説を書いているとは知らなかったので、まず、そこに驚いた。
旅した気分になるために、モルヒネやコカインを使ってエクスタシイを感じるという日常は、朔太郎自身もしていたものなのだろうか。
今いる町が、左右反転しただけで、非日常にうつるというのは、私もどこかで感じたことがある。例えば、普段見ている漢字の文字が、急に知らない記号に見えてくる、そんな感じとか。
猫だらけの町というのは、なにかのアニメ映画で数本見た記憶がある。この作品がモチーフになっていたりするのだろうか。不思議な世界観が後世の作品にもたらした影響や、作者の薬物歴などが、妙に気になった作品だった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレたまたま本屋さんではやみねかおる先生の本を見つけたので。
昔の夢水清志郎シリーズや怪盗クイーンシリーズの感覚で読んでたけど、ゆるっとしたミステリーでした。児童書だから少し読みやすくなってるのかな。
最初の数ページで違和感が満載だった。あの最初のパソコンやスマートフォンがたくさんある(全部足した機械の台数もちゃんとヒントだった)時点で察しがいい人は気付くよね。
話が進むにつれて、みんなが忌憚を話出せばその違和感は増していく…。みんなの話の内容もだし、主人公である語り手の情報が最初のパソコンの下り以降一切出てこない。そもそも主人公は何者なのかが一切わからない時点で怪しさいっぱい。ただ最後にお前も別 -
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夢十夜は、最初に“こんな夢を見た”とされ、、多少の理不尽や非合理性は、許してね、ということになる。その絵を描くというのはあまりに許容範囲が広すぎて難しかったでしょうねと思います。
第一夜
死んだ女が百合の花に転生する夢。
愛する女を失った男の夢。
「もう死にます。百年 私の墓の傍で待っていてくださいね。」
星の破片の墓石、その破片の丸み、苔むす様子などから、長い時を演出する。
女の死から再生の百年は、男にとって幸か不幸か、読む人によるかなあ。
百年経って百合となる。
第二夜
侍が悟りを得ようとする夢。
入室参禅で無を追う。
夏目漱石は鎌倉円覚寺で参禅していて、その経験は、小説「門」となる。