【感想・ネタバレ】夜叉ヶ池(乙女の本棚)のレビュー

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Posted by ブクログ

夜叉ヶ池には龍神が封じ込められている。自由を求める龍神は、遠い昔に人と約定を交わした。麓の鐘を必ず日に三度、撞き鳴らすこと。一度でも忘れたら、夜叉ヶ池から津波が起こり、村も里も水底に沈むであろう。

文学士で僧の山沢学円は越前琴弾谷で旧友の萩原晃に再会する。晃は、妻の百合と共に鐘楼守をしていた。
叉ヶ池の主•白雪は、白山千蛇ヶ池の主が思い人で、会いたくてたまらない。

"義理も仁義も心得て、長生きしたくば勝手におし。…生命のために恋は棄てない"

しかし、家を留守にした晃を慕い歌う百合の子守唄を聞いて約定を思い出す。
折しも旱魃続きの夏。村の人々は、夜叉ヶ池の雨乞いに、村一番の美女の百合を人身御供にしようとする…

再読。
突然思い立ったのは、やはり元旦の地震があったから。被災された方々の話を聞くといたたまれない思いが募る。僧の学円はこの地に多い本願寺派の僧侶。宗門とは何かを考える中で、この作品がまた読みたくなっていた所だった。
この立東舎のシリーズは、近代文学の短編を、最新のデジタルアート系のイラストで飾っていてなかなか美麗な装丁。とても良い取り組みだと思います。

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2024年03月09日

Posted by ブクログ

 乙女の本棚シリーズから、泉鏡花さんとしきみさんのコラボ作品「夜叉ヶ池」です。しきみさんのイラストは、「夜叉ヶ池」らしく青緑を基調としたもので雰囲気出てます。が…戯曲??何??しかも、今回も難しい…ってところから(^-^;)

 竜神が住むといわれる夜叉ヶ池。1日3回鐘を撞かなければ、池から津波が起こり、村は水の底に沈んでしまうという言い伝えがあった…それを守るのが萩原晃・百合夫婦だった。一方その言い伝えがあるために剣ヶ峰に行けない夜叉ケ池に住む白雪姫…この2つの恋の行方を戯曲で表現しているのがこの作品…でいいかな(汗)。

 ラストがまた息をのむ展開で…さすが泉鏡花さんです!!難しい…読めるかなぁ…と思わせておいて、気が付くとこの世界に引きずり込まれてしまったような…そんな感じなんです。深い深い作品でした。

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2023年07月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

幻惑幻想。
浮世離れした幻想に片足をいれたような夫婦と、下界といっていい現実世界に蠢く村人や権力者。
それに夜叉ヶ池の幻想そのものの住人たち。
この世ならざる夜叉ヶ池の住人たちとは直接関係はなく話が進むが、最後には幻想幻惑がすべてを飲み込む。
池の堰が切れたように。
さすが、泉鏡花先生。戯曲では天守物語が名高いけれど、それと比べても幻想の度合いと、美しさが際立つ。

冒頭の場面描写に「水辺の菖蒲」があったけれど、「妖剣紀聞」で菖蒲を好んでいた旨が書かれていたので、あわせて読むと、水辺の描写の美しさ・菖蒲の描くことへのこだわりがわかる…かも?

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2023年05月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

知らなかったから無意識なのだが、似たような話を続けて読んだのは……これもシンクロニシティというのだろうか。

きれいなイラストではあるのだが、この物語には現代的すぎる気がする。

結末は、正直いい気味である。約束を守る、池に棲む姫と鐘撞守夫婦の対極にいる、こういう村人みたいな集団はほんとに嫌い。もっともらしい顔した宗教者や教育者がいるのが情けないし、虫唾が走る。

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2024年04月13日

Posted by ブクログ

越前国鹿見村の琴弾谷、旱が続く盛夏。

萩原晃が日に三度鐘を撞くことで夜叉ケ池の竜神から村を守っていた……。

作中の晃の台詞「神にも仏にも恋は売らん」に胸をつかれた。

鹿見村の村人の身勝手さに腹が立った。

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2023年06月29日

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