しきみのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
2025/11/30
p.24
A君とB子が恋をした。二人は各々ねむられぬ。別れたあとでは死ぬほど苦しい。手紙を書く、泣きぬれる。そこまでは、二人の親もそのまた先祖も、孫も子孫も変わりがないから、文句はいらぬ。しかし、これほど恋しあう御両人も、二三年後には御多分にもれず、つかみあいの喧嘩もやるし、別の面影を胸に宿したりするのである。何かよい方法はないものかと考える。
しかし、大概そこまでは考えない。そしてA君とB子は結婚する。はたして、例外なく倦怠し、仇心も起きてくる。そこで、どうすべきかと考える。
その解答を私にだせといっても、無理だ。私は知らない。私自身が、私自身だけの解答を探しつづ -
Posted by ブクログ
2025/11/08
p.20
やや長い間、私は唯、無数の人間の雲の中を嫌応なしに進みました。行く手を眺めると、公園は案外近い所にあるらしく、燦爛としたイルミネエションの、青や赤や黄や紫の光芒が、人々の頭に焦げつく程の低空に、炎々と燃え輝いているのです。道路の両側には、青楼とも料理屋ともつかない三階四階の楼閣が並んで、華やかな岐阜提灯を珊瑚の根掛けのように連ねたバルコニイの上を見ると、酔いしれた男女の客が狂態の限りを尽くして野獣のように暴れていました。彼らの或る者は、街上の群衆を瞰おろして、さまざまな悪罵を浴びせ、冗談を云いかけ、稀には唾を吐きかけます。彼等はいずれも外聞を忘れ羞恥を忘れて踊 -
Posted by ブクログ
ネタバレリセットルームに招待された8人の中学生がリセットルームに招待される権利を得る為のAR空間
(実は学校ルーム)に招待される。
で出しから現れる欠席者 ぬえからの依頼で探偵になり、リセットルームにいける権利をリタイアし、バグの真相を追う中3の僕。(おなじみキリンのアバター)孤独と読書を好む少女(ヘビのアバター)
ピアノの音を追求する少女(ペガサスのアバター)
英語を早く学びたかった少年(サルのアバター)
小説を上手く書きたい少年(カワウソのアバター)
誰からも避けられない人生に憧れる少女(トラのアバター)
ネット依存症の少年(ネズミのアバター)
次々と自らリアルが良かったり、自分の意思で空間から退 -
Posted by ブクログ
谷崎潤一郎の『魔術師』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ17巻です。
ヨーロッパから遠く離れたどこか…東京のような都で仲良く歩く「私」と恋人でしたが、恋人が公園へのデートを提案したことで物語の歯車が回り始めます。
「私」は町に公園があることを知りませんでしたが、そこに人々を魅了する「魔術師」がいることを恋人が語りだします。
広場を抜けて魔術師の幻惑を求める群衆が集まる小屋へ入る二人。
生きた蛇の冠を頭に巻き、ローマ時代のトーガを身に着け、黄金のサンダルを穿いた魔術師がそこにいました。
男性なのか女性なのかわからない、両性の美しさを持つ魔術師に「私」は…。
不可思議で美しい純文学を -
Posted by ブクログ
中島敦の『文字禍』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ43巻です。
アッシリアのナブ・アヘ・エリバ博士は、アッシュールバニパル王から“文字の精霊”が引き起こす災いについて研究するよう命じられます。
研究の成果として文字の精霊が存在することを発見しますが、精霊の厄介さを知った彼は王に文字を使わないことを進言し軟禁状態となります。
この成り行きも文字の精霊の暗躍によるものとされましたが、博士には更なる災厄が待っているのでした…。
このような不可思議な物語を不可思議なイラストで彩った本書は、その世界観を増幅させている良書です。
特に文字の精霊は楔形文字を擬人化したような存在でとても素敵で