中山七里のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
フォローしている方のレビューを読んで「読みたい」に入れていた本。
陸上200m走でオリンピックを狙う市ノ瀬沙良は交通事故に巻きこまれ左足を切断せざるを得なくなる。加害者は隣家の幼馴染みの相楽泰輔だったが、沙良が隣家で引き籠る泰輔に恨みを募らせる中、泰輔が部屋で殺害された姿で見つかる…。
ここから物語は二つの流れに。
ひとつは、泰輔の事件を追う警察の捜査。こちらには、犬養隼人刑事と御子柴礼司弁護士が登場。完璧なポーカー・フェイスを操る御子柴に食い下がる犬養。丁々発止のやり取りが楽しめる。
もうひとつは、沙良が義足のランナーとして再び200m走に挑んでいくお話。パラアスリートを巡る世界を描いて、 -
Posted by ブクログ
春潮社の花形雑誌の副編集長の志賀は 家庭をかえりみず、仕事第一、他人にもそれを押し付けがちな高圧的な仕事人間。そんな志賀の息子が 自分の通う大学講師をストーカーし、その夫婦を殺害、自殺するという事件を起こす。仕事は左遷、ネットにさらされ、妻は家を出、会社にも抗議電話が鳴り響き、体も心もズタズタにされていく。そのなか、被害者家族である中学生の奈々美に出会い、被害者家族であるにもかかわらず、いじめや誹謗中傷にひとりさらされている事実を知り、体をはって護ろうと動き出す。その後、ストーカー殺人事件は、思わぬ展開を見せ、真犯人が現れて…と続く。志賀や奈々美の加害者、被害者家族の葛藤や気持ちの変化、社会の
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Posted by ブクログ
テロリストの家
**著者**: 中山七里
『テロリストの家』は、平和惚けした日本人を震撼させるテロ事件が勃発するところから始まります。公安部のエリート刑事・幣原は、突然上司から自宅待機を命じられます。驚くべきことに、テロリストに志願して逮捕されたのは、彼の息子・秀樹でした。
この事件をきっかけに、幣原は妻や娘から「仕事のために息子を売った」と疑われ、警察や世間からは「身内に犯罪者を出した」と非難されます。マスコミが家族に群がり、彼らの生活は心身共に追いつめられていきます。さらに、追い打ちをかけるような悲劇が続きます。
中山七里さんの他の作品同様、この物語も非常に面白く、引き込まれる内容で -
Posted by ブクログ
テロリスト一家の話かと思いきや、違った。重い。
5つの章で構成されているが、それぞれに「見知らぬ」と冠がついている。
中山七里さんの作品は、現代社会への警鐘が見え隠れするが、これもそのひとつだ。
テロリストはなぜテロリストになるのか?身近な人たちはなぜ止められないのか?家族がテロリストや犯罪者になった時、家族はどう対処するのだろうか?さまざまな葛藤がある。
父と母、父と息子、父と娘、母と息子、母と娘の思いと言葉が交錯する。主張と思いやりが入り混じる。無力感からテロリストになる気持ちは、あるのだろう。それぞれの思惑があり、秘めたるが故の不幸がそこにはあった。
ミステリーとしてのミスリードは