小手鞠るいのレビュー一覧
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ネタバレ窓香は、父と祖母と日本で生活をしている。両親は、窓香が八つの時に離婚し、母はアメリカで夢を追うことを選んだ。
ある日、中学校から帰ってくると、外国から小包が届いていた。
封筒を開ける前から、窓香は、確信する。
このなかに入っているのは、母に関係している「何か」に違いない、と。
中から出てきたのは、明るいあざやかなピンク色の一冊のノート。
表紙にも、裏表紙にも、全面で刺繍がされてある。
開けてみると、何年も目にしたことがなかった、大好きなマミーの文字が並んでいた。
ノートに書かれた母の切ない想い、そして、母が見てきた世界の悲惨な子どもたちのこと。
読み進めていくと、胸が苦しくなった。
日本 -
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「かもめ」がかつて魂を焦がし、自ら終わらせた、2つの恋の物語。
10代後半、身も心も捧げたのは、男らしい人。
20代後半、生きたまま殺されているような愛をくれたのは、優しい人。
何もいらない、欲しいのはあなただけ、その言葉そのままに、ひたすら待って、追いかけて、愛して愛して行き着いたのは、生きたまま死ぬこと。
恋愛小説の楽しみは、どんな風にその恋が終わるのかということです。(暗い…笑)相手や主人公が死ぬとか、そんなのは全然面白くない。
主人公は、自らが死ぬほど愛した相手に、自らサヨナラを告げています。
気が狂うほど愛して、丸裸の心で、プライドなんてはじめからどこに -
Posted by ブクログ
「私のてのひらの中に、一冊の雑誌がある」
この書き出しで本書ははじまる。1976年に発行されたこの雑誌「Searchlight Monthly」には、当時頭角を現しつつあった日本人の報道写真家「鳥飼茉莉江」についての記事が載っていた。「私」はこの写真家の生い立ちから亡くなるまでを調べている。だが、「私」については「美和子」という名前以外、どんな人物で、なぜこの報道写真家にそれほど興味があるのかは、物語の終盤まで明かされない。読者は「私」とともに、報道写真家鳥飼茉莉江の数奇な人生をたどっていく。
1945年、岡山で激しい空襲がある。戦時動員の訓練中だった14才の鳥飼希久男は急いで家へ戻るが -
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時代は、軍国少年が戦争の終わりにより価値観を変えなければならなかった、1940年代終盤だろうか。作家たちのぶつ戦争批判に賛同していたころ、生活階級の違いをまざまざと見せつけられた隣の先輩に届いた一通の手紙を開けてしまう。
中にはアメリカからの手紙。勉強していなかった彼だが一生懸命辞書を引きながら訳した。そして、先輩から委託されたことにして返信をした。それがこの物語のはじまりだった。
当時はどんな時代だっただろう、戦争反対、自衛隊反対のうねりの中で、海外からの圧力を受けつつ実質的兵力を持つ決断をした国の国民は、段々と愛想を尽かせやがて何も感じなくなっていった末路がいまの世の中のような気がする。 -
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国を挙げて移民を奨励していた時代が日本にもあった。
今や難民や移民に冷たい国なのに。
アメリカに渡った3世代の物語。苦労してようやく手に入れたアメリカでの生活も真珠湾攻撃で激変していく。それまでも差別・排斥はあったけれど、それが露骨になっていく。どうして、戦争になると国というものに囚われてしまうのだろう。個人としてつき合ってきて、どういう人かがわかっている場合でさえも、敵対、排斥されていってしまう。本気でスパイだと思うのだろうか。本気で隔離しなくてはいけないと思うのだろうか。人は何のために戦うのだろう。どうして国のために人を殺したり、殺されたりしなくてはならないのだろう。
私たち人間は非常