小手鞠るいのレビュー一覧
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時代は、軍国少年が戦争の終わりにより価値観を変えなければならなかった、1940年代終盤だろうか。作家たちのぶつ戦争批判に賛同していたころ、生活階級の違いをまざまざと見せつけられた隣の先輩に届いた一通の手紙を開けてしまう。
中にはアメリカからの手紙。勉強していなかった彼だが一生懸命辞書を引きながら訳した。そして、先輩から委託されたことにして返信をした。それがこの物語のはじまりだった。
当時はどんな時代だっただろう、戦争反対、自衛隊反対のうねりの中で、海外からの圧力を受けつつ実質的兵力を持つ決断をした国の国民は、段々と愛想を尽かせやがて何も感じなくなっていった末路がいまの世の中のような気がする。 -
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国を挙げて移民を奨励していた時代が日本にもあった。
今や難民や移民に冷たい国なのに。
アメリカに渡った3世代の物語。苦労してようやく手に入れたアメリカでの生活も真珠湾攻撃で激変していく。それまでも差別・排斥はあったけれど、それが露骨になっていく。どうして、戦争になると国というものに囚われてしまうのだろう。個人としてつき合ってきて、どういう人かがわかっている場合でさえも、敵対、排斥されていってしまう。本気でスパイだと思うのだろうか。本気で隔離しなくてはいけないと思うのだろうか。人は何のために戦うのだろう。どうして国のために人を殺したり、殺されたりしなくてはならないのだろう。
私たち人間は非常 -
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再読。『二つの祖国』を読み、思い出して再度手に取りました。
アメリカンドリームを夢見た大原幹三郎とその妻佳乃から始まる日系人三世代の家族の話。
語り手は三世に当たるジュンコ。
母ハンナはアメリカ人として生き、子供達にもアメリカン人として生きることを望んでいたが、ジュンコだけは日本を焦がれ、日本人の心を求めていた。
『二つの祖国』ほど、アイデンティティに悩む人達の姿を感じることは無く、史実に基づいた実際にあった人種差別の、そして、母娘の話として読み進めていました。
戦争が生んだ更なる人種差別。
この歴史を知り、今後そんな不幸が起こることのないようにと願います。
二羽の鶴に有刺鉄線が絡まる -
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雪に閉ざされ、停電した家で過ごす「現在」のあいまに、50代半ばになった鈴子は母との「過去」をゆるゆると振り返る。
甘く穏やかなアメリカでの現在とは対照的に、日本での過去はほろ苦い。全編を通して登場する果物の、甘いだけじゃないそれぞれの味が記憶と結びついて、思い出したくないような過去をも鮮やかに見せてくれてしまう・・・。
けして嬉しいものではない過去の記憶に、雪と停電の静けさの中で対峙する。想像しただけでも、げんなりする。
ひとり、どんどん深みにはまり暗い方へと引きずられそうになった鈴子を光のほうへ引き戻してくれたのは、停電の復旧と雪かき業者の到着・・・でも、それだけじゃない。
ラストに差す光の -
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小手鞠るいさんの作品は「恋するからだ」を読んでからすっかりファンです。他の作品も読んでみたいと思いつつ、中々機会を逃していました。
この自叙伝がノンフィクションていうのが凄い!
小手鞠さんは恐らく私の母より少し若いくらいなのに、物凄くパワフルでいつも前向きな生き方。
それに色んなバイト経験をしてて、読んでて本当に時間が経つのを忘れてしまいました。
読んで感じたことは、頭の回転が早くて仕事が良くできる人なんだなあと思いました。様々な仕事に対する姿勢が素晴らしい。
我武者羅ってこういうことを言うんだと思いました。28歳で離婚して、それからすぐにまた違う仕事をして、泣いてる暇なしって感じで。教師業も