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Posted by ブクログ
雪に閉ざされ、停電した家で過ごす「現在」のあいまに、50代半ばになった鈴子は母との「過去」をゆるゆると振り返る。
甘く穏やかなアメリカでの現在とは対照的に、日本での過去はほろ苦い。全編を通して登場する果物の、甘いだけじゃないそれぞれの味が記憶と結びついて、思い出したくないような過去をも鮮やかに見せてくれてしまう・・・。
けして嬉しいものではない過去の記憶に、雪と停電の静けさの中で対峙する。想像しただけでも、げんなりする。
ひとり、どんどん深みにはまり暗い方へと引きずられそうになった鈴子を光のほうへ引き戻してくれたのは、停電の復旧と雪かき業者の到着・・・でも、それだけじゃない。
ラストに差す光の正体に想いを馳せるとき、とてもとても、満たされた心持ちになる。
母と娘、という永遠のテーマを中心に据えて、そこから生じる暗いものを、恋や愛が掬い取ってくれるような物語。
Posted by ブクログ
さてさてさんのレビューを読んでから、この本を読みました。タイトルに先入観を持たずに読めて、よかったです。ありがとうございました。
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アメリカに移住し、夫と盲導犬と暮らしている鈴子。ある日、彼女に母親の病の知らせが。帰国予定の前に冬の嵐が訪れ、停電まで起きてしまう。そのなかで現実と過去へ思いを馳せる物語でした。
母親が娘に対する思いは、同じ女性としての思いと自分の子どもであるという思いが重なって、複雑なのかもしれません。この小説の母親は目が不自由で性格がきつく、鈴子に言いたい放題でした。鈴子は母親のいる町から離れることでやっと落ち着けていました。
そんな母親に対して、やはり親子だからか時には帰宅し、その度にもう帰るものかと決意します。でも病気だと聞けば、やはり会いに行こうとします。
母親に対してだけではなく、「あの町に、私の会いたくない人がいるからだ」「あの町に、私の会いたい人がいるからだ」という気持ちが、読んでいてよくわかりました。
鈴子の過去が綴られているなかで、現実では夫と盲導犬の茶々が、アメリカでの暮らしの冬の厳しさをほっこりさせてくれていました。
最後は、鈴子が歳を重ねて母親に言いたいことが言えるようになり、ようやくちょうどいい距離感がとれたのと、やっと繋がった電話だから、あのような感じになれたのかなと思いました。
望月青果店は、この本ではほとんど出てきません。目次の果物が、各章で色鮮やかにアクセントとして出てきます。そう言えば、果物言葉ってあるんですね。初めて知りました。
小手鞠るいさんのあとがきと、小泉今日子さんの転載された新聞掲載の書評も、あたたかい気持ちになれる文章でした。
〈目次〉
第一章 夏みかん
第二章 すももと枇杷
第三章 グレープフルーツ
第四章 苺
第五章 りんごとみかん
第六章 栗と苺
第七章 ゆず
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