小手鞠るいのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
本をめぐる物語というか、本に係わる物語って感じ。
色んなかかわり方があるとは思うけれど、それだけでなく、
本が出来上がるまでに、色んな人が関わっているんだと思ったら
ますます本が愛おしくなります。
アンソロジーは新しい作家さんとの出会いの場である。
ましてや本関連のアンソロジーときたら、期待度大である。
好きなのは、「メアリー・スーを殺して」
話の流れから、どんな結末になるかと思ったら
さすがの乙一氏ですね。
ある意味、予想外で中田氏らしい終わらせ方でした。
ちょっとしたきっかけで、人って変われるんだって思わせる。
これは読後感がよいです(p^_^q)
「砂に埋もれたル・コルビュジエ」
最後に一気にこみ上げてきます。ブワーって来ます。
「ラバーズブック」
ステキ過ぎるお話。周りの人の優しさが素晴らしい(*´◇`*)
原田マハさんと、小路幸也氏の本は、他の作品も読んでみたい。
短編集なのに、大いに楽しませていただきました。 -
Posted by ブクログ
DV夫から逃れてきた地で恋に落ちた相手は、妻子持ちの中年男。
愛する男の死を願う、それは男の魂を独り占め出来る気がするから?
究極のエゴイズムだと思えるそんな感情も、
「かわいそう」な立場から自分を救ってくれた相手への愛?
短かったけれど濃密な恋愛期間。
主人公は、最後の最後に、元同僚からの電話で、
「不倫?」と気づかされる。
自分たちのしてきたことは恋愛じゃなくて不倫?
読者は、最初からそんなことはわかっている。
ふと思ったことだけど、
恋愛≧不倫、恋愛≦不倫、どちらの不等号が正しいのだろう?
もちろん、恋愛に正負はないのだろうが、
彼女たちの恋愛を不倫と言う一括りの言葉にしたくないような気がした。
おかしいなと思う場面もあった。
中年男の3週間の海外出張に、仕事を辞めてまで付いて行かれるの?
中年男は小さい子供がいるのに、1日置きに泊まりに来られるの?
まぁ、これは、そういうことが出来る立場の人たちもいる、ということで。(苦笑)
「美しい心臓を持て。純粋な生を生きよ。 」
2人はこの深い言葉を、出張先の中米で知ることになるが、
小手鞠るいさんは、本当に外国の描写が素敵。
行った気分になれる文章だと思う。
離婚も成立し、中年男と別れる決心をし、
病床にある別れた男の「生」を願う主人公。
もう相手の「死」を願うことがない。
そこに「愛」はないから。
好き嫌い別れるテーマだと思うが、
私は、好き。(小手鞠るいさんだからかも?笑) -
Posted by ブクログ
若夫婦が猫を飼い、とても幸せに暮らしていたが‥?
愛あふれる切ない物語。
彩乃と未知男は見合いで出会って一目惚れ。
すぐに結婚して北米にわたります。
どちらもバツイチで、抱えているものもありました。
理想的な相手と、きれいな田舎町で暮らすことに。
まるで少女の夢見た物語のように、甘く可愛らしい展開。
保護施設で見つけた長毛のうつくしい雄猫マキシモ。
猫のことで毎日笑い、夢中になり、猫を中心にすっぽりと愛に包まれた暮らしが積み重なってゆきます。
そして16年。
猫の病気を見守る日々から、喪失へ。
これまでの幸福が暗転したかのように、苦しむことになります。
愛猫との暮らしぶりと、その後の嘆きがあまりにリアル。
設定は私小説というわけではないのでしょうが。
猫を見送った辛さを、こういう形で描かずには、乗り越えられなかったのかも。
夫婦でも悲しみ方にも違いがあり、慰め合おうにも当初は互いの顔を見ても悲しみが増すばかり。
やがて、二人の胸の中に同じ形をした空洞があると思うに至ります。
やっと少しずつ、気持ちの整理がつきかけたところまで描かれています。
まったく身動きの取れないようだったのが、いつしかさらさらと変化していく兆し。
そのことを救いに。
経験があるので、気持ちはわかりすぎるほどでした。
でもね‥出会えた喜びは、別れの辛さよりもきっと強いと思うんですよ。
悲しみは完全に消えることはないけれど、苦しみはだんだん薄れていってくれます。
そして、愛と幸せな思い出は、いつまでも続きます。 -
Posted by ブクログ
とても可愛らしい小説。
タイトル、表紙イラスト、作者名そのまんまです。
小手鞠るいさん、初読み。
3人の女性の恋模様が、いとおしむような雰囲気をまとった、わかりやすい文章で、さわやかに語られていくお話。
ひとつのエピソードが次へと絡んでいき‥
ああ、そういうことだったのか?と。
恋愛部分はよく読めばビターな要素も少し入ってますが、そこにはほとんど触れられない。
わくわくしたり、きゅんきゅんしたり。
ちょっとした問題もいつしか、あま~く解決☆
美味しそうなお料理が出てくるのも楽しいですね。
毎回、野菜や料理が絡んでくるため、ちょっとした知識も頭に入ります。
とても読みやすいですが、甘すぎると感じる人もいるかも?
ここまで可愛らしいのって、そうないので~
こういうものが読みたい!
という気分のときなら、最高ですよね。
気持ちのいい木陰で、取れたてのお野菜と、小さなデザートを楽しみながら☆ -
Posted by ブクログ
なんとなく表紙が気になって手にしてみる。
買い猫が死んじゃうお話なのね・・・と思いつつ、いったん手放すも、猫好きの本読み友達の顔が浮かんで、たまにはこういうのも読んでみますか、と購入w
猫のかたちの幸せは、猫のかたちの空洞に・・・。
愛し合っている二人は、喜びは何倍にもできるけど、喪失は半減させることができない。
それぞれが猫のかたちの空洞をかかえ、それはそれぞれの方法で埋めていくしかないらしい。
でも、その猫のかたちの空洞の中に猫はいる。
埋めるのでなく、お互いがそれぞれの猫のかたちを、悲しいものとしてでなく、愛おしむことができるようになったとき、また三人で一緒に暮らせるようになる・・・きっと。
そんな日が早く来るといいねと、そっと願いたくなる物語。
未知男みたいなダンナさん、なんて理想的な!と思いながら読んでいたんだけど、あまりに猫を愛しすぎてて、ラストでは、やっぱこの人の妻はムリだな、と思うw -
Posted by ブクログ
中学生は思春期の真っ只中。
小学校とは違う「大人」の世界がぐっと自分に近づいてくる。
それに憧れはするけれど、目の前にある世界は決して思い通りにはいかない。
恋や友情、親との関係、進学、容姿、その他いろいろ。
ちょっと気にくわないから悪口を言ってみた。
そしてそれで友人を失う。
ちょっとサボってみたら、あっという間に成績は落ちる。
ちょっと寝てたら、親に叱られる。
ちょっと食べたら、変なぶつぶつはできるし、なんだかプニプニしてきたみたい。
ああ、もう、こんな毎日のどこが楽しいの?!
私って性格悪い。
嫉妬もするし、腹も立つ、しかもブス!最悪。
あの人が好きみたい。
でも、本当に、私はあの人が好きなのかな?
誰かに好きって言って欲しくて、そうしたら自分に自信が持てる気がして、それでとてもわかりやすい記号、「好き」に飛びついただけなんじゃないのかな?
ぐるぐるぐるぐる、いろいろな感情が自分を巡る。
溢れてくる感情は嫌なものばかり。
だからもっと自分を嫌いになる。
でも......
「でも、味方につけるの。そういう感情でも、いやな感情でも、そこから逃げずに、きちんと向き合えば、味方になってくれるのよ」
「目の前にある、ひとつひとつの小さな目標。それを少しずつ達成していくことで、着実に未来につながっていくはずよ」
あの頃の私にとっては、今は未来。
今も、基本的なところは変わっていない。
理想とした私にはまだ遠い。
けれども、一歩ずつ歩み、ひとつずつ小さな山を乗り越えていけば、もうすこし未来の私が今を振り返った時、きっと私は思えるはずだ。
あの頃の私が今の自分を支えている、と。 -
Posted by ブクログ
読み始めて、しまった…と思った。ヒリヒリするような恋愛の追体験をしているような。けれど、やめられない。他人から見ると、どうしてそんな関係を続けるの? と言われるような恋愛も、そのさなかにいるときは、きっとこんな気持ちなんだろうなぁと、生き生きと伝わってくるような筆致。
激しく、強く、痛みさえ感じたあとの最終章で訪れる回想のとき。穏やかで、でもまだ痛みがあって。
「すべてを手に入れてもなお不幸な人間がいるように、すべてを失ってもなお、幸福でいられる人間もいるのだ」「愛を知るためには、愛さなくてはならないのだ」
この境地に至るまでの主人公の想いに、最後は静かにうなずかされてしまった気がする。
嵐のあとのような読後感は、悪くない。 -
Posted by ブクログ
小路さんがいらっしゃるので購入。
電車移動時間等におすすめな読みきりサイズの短編集。
宮下さんはスコーレNo.4のみ読んだことがあり、他の方々の作品は初めて読みました。
本というキーワードを多角的な視点でピックアップして物語が展開しています。
「メアリー・スーを殺して」は、二次創作の畑を通ってきた身としては、お、俺を殺してくれ、と思うような暗黒時代を思い出させるような、そんなリアリティのある空気にえぐられました。面白かった。
やっぱり大好きな作家さんということで贔屓目もりもりな気もしますが、「ラバーズブック」がとても好きです。読み返したい短編。短絡的じゃなくて完結していてなおかつ重量がある文章。すきです。