小手鞠るいのレビュー一覧
-
-
Posted by ブクログ
タイトル通り、本にまつわる短編のアンソロジー。
中田永一の作品が読みたかったのと、他の作家が著作を読んだことのない名前ばかりだったので、新規開拓のため読みました。
表紙のイラストを見るに若い読者がターゲットかと思いましたが、話のキーとなる本は二次創作の同人誌から戦争に関わるものや官能小説まであり、全体として不思議な一冊。
お目当ての中田永一「メアリー・スーを殺して」に関しては、メアリースーという言葉は知っていましたので、オタク趣味で中高生の時分そういった部活に所属こそしなかったものの周囲に部員の友人がたくさんいた自分としては、なんかもう胃が痛かったです。創作活動は簡単なことじゃないぞという内容 -
Posted by ブクログ
本をテーマとしたアンソロジー。
それぞれ「本」「読書」に対するアプローチが様々なので、飽きずに楽しんで読みました。
中田永一「メアリー・スーを殺して」は、オタク趣味の少女が二次創作小説を書くようになるが、いわゆる『メアリー・スー』(ファンが二次創作の中に登場させた自己投影したキャラクターのこと)に悩まされ・・・という話。
小説を書くことで現実と向き合った結果、小説から離れてしまった少女が、世界を広げていったその先でまた小説と出会うという、本好きにはたまらない素敵なお話でした。
小路幸也「ラバーズ・ブック」はノスタルジックな雰囲気が印象的。
この世界観でもっと続きを読んでみたい。
宮下奈 -
-
-
Posted by ブクログ
るいさんらしいタイトル。
ストーリーもるいさんの作品だと知らなくても
読めばわかる、とても”らしい”作品。
イラストを描く木葉と童話を書くアラシ。
偶然の出会いが二度あればそれは運命、
なんてことを聞いたことがあるけれどふたりはまさに運命。
木葉の大きくあたたかな心、強さ。
アラシの弱さを太陽にあててふっくらした毛布で包むかのよう。
あいだにはさまれる童話、
アラシ作「泥棒猫と遊牧民」がとてもよかった。
続きは?続きは?と気になってしまう。
そして泥棒猫が遊牧民から盗んだものは何なのか。
遊牧民のようなおおらかで外へ向けて解放しているような
自然体な姿勢に憧れる。 -
Posted by ブクログ
アメリカ国籍の男性を好きになった話(短編集)。女性はすべて日本人。
文化の違いや言語の違いによる伝わりにくいニュアンスから起こること、
芽生えることがうまく描かれている。
分かり合えない文化の違いは平行線で、そうなると心も通い合うことが難しくなるのだろうと思う。
同じ国で生まれ育っても、生活のなかで”当たり前”とすることが違う。
いくつもそんなことが起きて性格の不一致という理由で別れるカップルも少なくない。そう思うと国境を越えての結婚は、続いていくことが奇蹟に近いとさえ思えてくる。
けれど原点に戻って考えると、人と人との気持ちの行き交いで、
知らないうちに生まれる気持ちに国の違いなん