小手鞠るいのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
小説で1番多く書かれているテーマは恋や愛だと思う。
それはやっぱり人間の動物としての本能で、人生において避けて通れない上に難関な問題だからなんだろう。
他の生き物はより優れた遺伝子を遺すために相手を選ぶが、人間は不思議なものでそうとは限らない。そのへんが難しくさせてしまうのかな。
本書はひっそりと帽子屋を営むつぐみと、間もなく死を迎える編集者の洋司、そして洋司が読んでいる原稿の中にいる夫を持ちながらも他の男性に惹かれてしまった由貴子の3人の視点でそれぞれの愛の物語が紡がれる。
なんだか平凡な恋愛小説だなと読み始めたが、中盤からミステリ要素が出てきてから、ああこれは単純に愛って素晴らしいでしょ?みたいな話ではないと楽しめた。
なんで人は恋するんでしょうね。好きで好きで仕方ないなんて、あの感覚はちょっと他では感じない不思議なもので、それが本能が命じるってことなのかなー。 -
Posted by ブクログ
中田永一(乙一)の作品が収録されていること、そして本にまつわる話のアンソロジーということで購入。
しかし、朱野帰子「初めて本をつくるあなたがすべきこと」と沢木まひろ「時田風音の受難」以外はすべて『ダ・ヴィンチ』に掲載されたものだった。
『ダ・ヴィンチ』に掲載される作品は結構クセがあるので苦手だ。
案の定、この短編集も特徴的というか・・・。
中田永一「メアリー・スーを殺して」
おもしろかった。しかし、終盤にかけておもしろさが加速していくような他の乙一の作品と比べると、ややしりすぼみしている。
あと、主人公の内面の話だと思ってたら外に向き始めたことにもやや違和感があった。
「メアリー・スー」という理想像は、完全になくしてもいけないのだろうな。
宮下奈都「旅立ちの日に」
手紙に書かれた物語と、父からの本当のメッセージの間に飛躍を感じる。
原田マハ「砂に埋もれたル・コルビュジエ」
実話が元になっているようだが、小説としての見せ方が中途半端だ。
ノンフィクションとして書くか、もっと飾り付けるかすればいい。
小手鞠るい「ページの角の折れた本」
どうして「あなた」という語りかけ口調なのか。
ストーリーもなんだかよくわからなかったが、読み返す気にもならない。
主人公みたいな女の人がとにかく苦手。
朱野帰子「初めて本をつくるあなたがすべきこと」
夫が情けないのは確かだとは思うが、主人公がすべて正しいような描き方が気に食わない。
ラストの主人公にキレ方はスカッとしてよかった。
沢木まひろ「時田風音の受難」
おもしろい。
官能小説は読んだことがないが、こういう感じの文章なのだろうか。
主人公が女性編集者の百山に翻弄されるのと同じように、私も翻弄されていた。
なおかつ、そうやって振り回されるのが心地良いのもよくわかる。
小路幸也「ラバーズブック」
素敵な話だと思う。
しかし、アメリカっぽさを出しすぎで、押し付けがましい感じがする。
宮木あや子「校閲ガール」
校閲ってそんなところまで見てるのか、と勉強になった。
ただ、やはり苦手な女の人が出てくる。
全体的に、小説を読むというより、世間話を聞かされるような作品が多い。
なので、あまり心に残らない。
強い女の人ばかり出てくるのもひとつの特徴だと思う。
『ダ・ヴィンチ』が女性向けだからだろう。
掲載される作品は芸術ではなく商品であり、読んだ女性が快感を得られるようになっている。
芸能界や海外といったキラキラ感も重要視している。
そういう作品をうまく集めてくるのは、編集部が優秀でコンセプトが定まっているからだと思う。
ただ、やはり男性にはうけないだろう。
私が嫌悪感を抱いてしまうのも、器か小さいということ以上に、仕方ない面が大きいと思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレニューヨーク州の森の家に住む作家のエッセイ。森の四季、動物や虫、たくさんの植物たちとの暮らしのお話。
擬人化、大好きだけどな…生物だけじゃなく無機物でも。アン王女の騎士を務めるチコリ、決死の花を夏に咲かせる豆梨、かわいい。
山のお話の「そこにはただ、到達したという満足感だけがある」というお父さんの名言。全てにおいて、ご褒美なんて、成果なんて、ない!
あと桃源郷の話で、元々の概念を初めてちゃんと知って、調べて完全にビビッと来てしまった。「……書物を通して、神話の世界を自由に飛翔することに喜びを見出していた。その結果として、心の中に生まれいづるのが桃源郷なのであると定義した。桃源郷は心の外には存在しない」
ユートピアの反対。幻であるがゆえに存在する世界。素敵だ、心の内の桃源郷が豊かに美しくなりゆきますように。